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閑話1 婚姻の決め方

 婚姻を決める前、リンザニアでの話。


「結局どうするんだ?婚姻は」

 サディスの言葉に、レキアスは執務机で別の書類を読むのをやめて顔を上げた。

「国内はなしだ」

 疲れた表情をしながらもキッパリとそう言った。まだ帝位に就いてから一年余り、思うように事が運ばないことの方が多かった。

「じゃあ国外のどこだ?停戦からそのまま和平交渉に持って行くなら、ヴェルトリクか?」


 リンザニアと国境を接する北東部に位置する国、ヴェルトリク。先帝時代には戦争を行っていたが、崩御と同時にレキアスは停戦交渉に出た。ヴェルトリクも十分に疲弊していたのか、交渉自体は問題なく終わった。ただ、あくまで停戦である。


「ヴェルトリクはない。つけ込まれて終わりだろ」

 レキアスはあまりヴェルトリクを信用できないと感じていた。停戦しているものの、機会があればすぐに攻めてくる気がしていた。そこから花嫁を迎えるなど、こちらの情報が筒抜けになるだけである。

「併合したところも国内なら、そんなにないだろ?」


 先帝時代には大陸の半分を手中に収めたリンザニア。大陸の中央に聳える山脈がなければ、正直大陸の制覇など容易かったかもしれない。

「順当にソロイスか」

 リンザニアの南に位置するソロイスは、レキアスの母親の生まれた国でもあった。レキアスも母と何度か訪れたことはある。レキアスにとっては友好な国だった。

「いや、なんの策にもならないし、婚姻も一つの手段だろ」


 仲の良いところとさらに縁を結んでも仕方ないというのがレキアスの考えだった。解決しておくべき問題が、婚姻一つでできるのであればしておきたい。


「先帝の意志を継いで、ニジエの併合を求めてくる連中をどうにかしたい」

「ニジエと婚姻を結ぶのか?ただ、あそこにはもう嫁げるような王女は……」

 サディスの言葉にレキアスが笑う。

「いるだろう?」

「いや、国に残ってるのは、精霊が視えると言われてる精霊姫だ。数に入らないだろう」


「どうして?」

 レキアスの疑問にサディスが眉を寄せる。

「どうしてって、ニジエが差し出すとは思えない。それに周辺国の反発も大きいぞ」

「だからこそ併合を求めてくる連中に示すには丁度いい。ニジエを掌握したと思わせやすい」

 レキアスの結論に、サディスは反論ができない。少し思い出すように口を開く。

「確かあの王女は、もう24とか、25とかそれぐらいだろう」

「10歳ぐらいでイメージが止まってるんだけど、もうそんなに大きいのか」

「いつの話だ」

 呆れるサディスに、レキアスが笑う。

「留学時代に精霊姫のファンがいたんだよ」

 窓の外を眺めたレキアスは、他国に留学していた頃のことを思い出す。

「だから僕のなかのイメージはそこで止まってる」


 視線をサディスに戻したレキアスはもうそれを決めた顔をしていた。

「その年齢なら、丁度いいじゃないか。ちょっと上手く話を進めてみてくれ。あと、嫁いできても問題なさそうかだけ確認して欲しい」

 レキアスの言葉に、サディスはため息を吐いてから大袈裟に仰々しく承ってみせた。

「承知しました」

読んでくださる方が増えてきて感謝の意味も込めて追加してみましまが、中途半端なところに入れるなって感じしますね。すみません。。。

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[一言] 読者を大事にする作家さんですね。 どうぞあやまらずにお好きなように書いて下さると、読む方はうれしいですね。
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