表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不運な召喚の顛末  作者:
第一章
87/605

加護2

ニコルが緊張?気を張る?理由は何だろう。

神殿が公表しない情報が載ってるのを忘れて私に貸した?

……こういう、うっかりはしなさそう。

その情報を私が安易に口にしないか気にした?

それだったら口止めしそう。

口止めするような情報だと気づかせたくない?

なら、そもそも本を貸さないだろう。

私の考えすぎで全然関係ないことで緊張してる?

不運が感染った?

そもそも守り石を外してない。

外回りの職員が戻ってくるから?

もう戻ってくる?下っ端発言から考えると先輩達。

だから?でも、タイミングがなぁ。

「あ、ニコル。丁度よかったわ。」

レイカが席を立ち、戻ってきたニコルに近づく。

今日は早かったなぁ、と振り返ると、クリスが膨れっ面をしていた。どうしたのだろうか。

「?なんですか?レイカ」

「何でピリピリしてるの?」

どストレートに聞いている。

「何のことですか?」

「だから、クリスに嫌われるのよ」

「ぐっ、別に」

「今日のニコルは、つまんない」

クリスの追い討ちに、ニコルが天井を仰ぎみる。

「はぁー、なんなんです。二人とも敏感ですね」

ニコルはため息をついて、

「ヒジリさんとオスカー先輩が帰ってくるので」

訳を話し始めたが、

「嘘やー」

クリスが被せる。

「……ニコル先輩」

「ニコル」

つい、じとっとした目で見てしまう。

「なんだよ。僕にだって言えないことの一つや二つあるんですよ」

「だったらそう言えばいいじゃない。変に誤魔化すからクリスが怒るのよ」

「ニコルとはもう遊ばなーい」

クリスがかなり怒っている。

「クリス、運動は出来なかったのか?俺と遊ぶか?」

「お風呂はいって、ねむぅるぅ」

「じゃあ、行くか」

「うん」

クリスとアランが部屋を出て行くと、ニコルがしゃがみ込んでいじけ始めた。

「リオさんの所為ですよ。クリスに嫌われたら」

私の所為らしい。何したかな。

「は?何、人の所為にしてるのよ。いい大人が」

レイカの言葉に答えず、しばらくいじける。

どうしたものかと思っていたら、

「…昨日、リオさんに本を貸したんですよ。」

ニコルが急に話始めた。

レイカは頷いてそれを聞いている。どうやら本当のことを話すことにしたようだ。

「うん、それがどうしたのよ」

「リオさんの役に立ったみたいなんです。」

「?それは、よかったのよね?」

「その知識を何処で活用してくるか考えたら、胃が痛くて」

???

「アラン、レイカと、やらかしてるリオさんですよ?クリス相手に何かやらかさないか、心配で」

???

「……分かるわ。確かに心配になる。」

実感のこもったレイカの声に何も言えずに二人のやりとりを見ているしかなかった。

「だったら何で貸したのよ」

「加護関係は言われたら資料を貸してやれって局長に言われてるんだよ」

知らなかった。そうなのか。

「資料を返された時には何もなかった。午前中も昼食時も何もなかった。いつくるのか、気を張りすぎました。」

はぁと何度目かの大きなため息。

「言っていただければ良かったのに」

「考えてなかったら藪蛇でしょ。」

「そうですね。完全に藪蛇です」

ほら、やっぱりーと嘆いている。

全くもって考えてなかった。クリスのことかぁ、対抗免疫不全のことだよなぁ。

「考えたら、ニコル先輩に言います」

「信用ないわよ、その言葉。」

「猪突猛進だから」

二人からの評価にダメージを負う。

もうただただ謝るしかない。

「クリスはここに来る前、短期間だけ神殿に預けられていたんだ。そこで実験に巻き込まれて、その所為で加護膜が未熟なままなんだ。それを本人は知らないし、言うつもりもない。でも、別角度からリオさんが塩を塗り込んできそうだから、ちゃんと言葉にしておく。」

ニコルは暗い表情で、そう言う。

「君が考えそうなことは実際試した。守り石を試したけど駄目だった。」

「駄目だったんですか?」

「クリスは子どもだから色んな所にぶつけたり、引っ掛けたりして壊れたし、危なかった。」

「効果自体がないわけではない?」

「かなりの量が必要だった。実用的ではない」

「あ、あのキラキラ祭りって言って沢山のアクセサリーつけさせてたの、クリスのためだったんだ」

キラキラ祭りは一年前、みんながお互いのことをまだよく知らない時にやったパーティーのことらしい。

「ニコル先輩、魔力は」

ふと思いついたことを口にする。纏ってはどうだろうか?

「クリスはまだ子どもだ。危険が伴うことはできない。」

「危険、なんですか?」

「あぁ、子どもは発想力が豊かで且つ考えを保てない。すぐに目新しいことに興味を持つ。魔力操作の時にそれは危険だ。集中することが大事で、無意識にできるようになるまでの大変さは分かると思うけど」

「そうですね。失礼しました」

「ニコル、最初から討論した方がクリスを怒らせなくて良かったんじゃない?」

「言わないで」

どうせ、僕はいつもこんなんですよーと本格的にいじける。そこにクリスが戻ってきた。

ニコルの背にくっついて、頭をいい子いい子する。

「嘘しない?」

「してないよ。クリス、怒ってないの?」

「アランが、いまごろニコルはレイカに泣かされてるから?許してやれって。」

「クリスぅ」

ニコルはクリスを抱きしめる。

「一緒に昼寝しようか」

「しかたないなぁ。じゃあ、くまさんきれいきれいしたらいいよ」

「任せて」

二人は奥の部屋に入っていった。

それから、しばらくしてアランが戻ってきた。クリスが水に八つ当たりしたから、ずぶ濡れになったらしく掃除して、服まで着替えていたそうだ。

「アラン、私がニコルを泣かせてるってどう言うことかしら」

「その方がニコルに同情するかと思った。」

「まぁ、『結果オーライ』ね」

「結局、なんだった?」

「リオさんに本を貸して、その新しく得た知識アンド不意な発言でクリスが泣くことにならないか心配で胃が痛かったそうよ」

「あぁ。」

私をチラリと見たアランの顔には納得と書いてあった。

重ねて詫びる。

「じゃあ、ニコルはほっといて勉強しましょ。」

棚からレイカが数冊資料を抜き出し、持ってくる。

各領の資料だった。

「これは、」

「前にも、勉強したんだけど、今見たら何か違うかなって思ったの。」

席に着いて、向かいあったアランを見て笑った。

「アランは、教師になるために頑張るって言ってたから。私も自分のこれからのこと、考える時期がきたのかなって思って。もう一度、復習したいなって……何よ、二人してニヤニヤしないでよ」

耳も頬も真っ赤で可愛い。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ