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不運な召喚の顛末  作者:
第一章
86/605

加護

この世界の九割の人間が持つとされる加護。

大体五歳頃までに確立する。

その為神殿で行われる加護属性の計測は五歳からと決まっている。

属性神の眷属や精霊が付与している。

これは長らく不明とされていたが、属性神の眷属と交流した研究員がそう証言している。同様の交流を複数名が持っており、各人の繋がりもないためこの証言が認められた。

「あぁ、だから私は闇属性か」

体内及び細胞に含まれた魔素が変質して加護になる。

「え?どういうことだ?」

精神の入れ替わりでこちらの世界にきた。身体に起因して加護がついてるなら、これはおかしい。

それに性格や適性などに関係するから精神的な物だと認識していた。

「……精神に加護がついている。から、身体が変わっても精神から体の魔素を変質させる。かな?」

ぶつぶつ呟き、疑問を書き込みながら読み進める。

一通り読み、本を閉じる。伸びをし、情報を整理する。様々な研究、学説があるが、

「属性神の眷属に会ってみたいなぁ。聞いたら一発な気がする。」

ついそう思わずにはいられない。

眷属なんてそうそう会えないだろうけど会って交流した記録があるってことは人との交流が禁じられている訳ではない。

他に判明した事もあるはずだし、他の学説も解明されててもおかしくない。それでも、まだ謎があるのは交流した眷属が教えてくれなかったのか、知らなかったのか。

「千加の神様も、万能ではないし、知識だって偏りがあるから単純に知らなかったのかも?」

今までに得た情報を並べてみる。

加護は属性神の眷属や精霊が与える。

守り石は霊素から守る働きがある。

加護膜は霊素から人体を守る。

加護膜を作るには、魔素を体内に取り込む。

「千加はオーラと表現した、」

私の体の外枠に飛び出してる物を見てたのか?

それに守り石が反応している。

「加護障害は霊素?が関係する?」

霊素は精霊由来の成分。可能性はある。

精神に霊素を付与したら、体内及び細胞に溶けこんだ魔素と化学反応を起こし、加護に変質。

加護障害を起こす程の加護は、精神に付与された霊素の量が多く、体の外に飛び出してる?

屋内であれば、守り石が霊素の働きを阻害。加護障害が和らぐ。完全ではない。

じゃあ、なんで守り石のアクセサリーでは完全に抑えられている?純度か?他の石と一緒だと効果が薄まるとか?でも、それだったら、守り石だけで、あ、駄目だ。強度が足りない。

だから、混ぜるのか。効果がある配合割合があるのかもしれない。

推察を書きあげる。

これは取り敢えず隠匿しようと決めた。

情報が足りない。裏付けが取れていない。自分の状況に当てはまる都合のいい情報だけでたてた仮説。かなりのバイアスがかかっている。もっと否定する情報を探してみよう。

あと、

「危険な匂いがする」

それにこの資料だけで考えつく仮説だ。神殿が考えつかないはずはない。なら、定説として普及していないのは何故?ニコルが言っていた切り札や優位性のため?他の理由?

「これはニコル先輩が集めた情報を、まとめた趣味本で、正式な物じゃない。けど学園で教わる内容より細かい情報がまとめられている。ん?あれ、なんで」

学園では別教科として教えてた?

加護膜と守り石を並列では教えてなかったし、加護は体内の魔素の変質とは習わなかった。眷属や精霊が付与するとだけだ。さらっと流された記憶がある。属性の方に重きを置いている。クラリスは勉強熱心な質ではなかった。基本的なこと以外自らすすんで勉強しなかった。

グラッドは知っているのだろうか?いや、知ってる。ニコルやジャック、フレッド達も、リリアナだって知ってた。

私がクラリスと別人だとした時に加護を確認した。

中身が変わっても加護が同じという判断は下さなかった。

もし知らないなら、『体内及び細胞に含まれる魔素が変質して加護になる』という情報の方かもしれない。

ニコルは完全に知ってて、私と同じ事を考えた。

「取り敢えず全部の疑問を書き込んでおこう」

そして、メモを全て文箱に入れた。

翌日、ニコルに資料を返す。

「知りたい情報は得られたかな?」

いつも通りの表情に、私もいつも通りの無表情で

「加護がどういった物かがわかったので取り敢えずは神殿に行かずに済みそうです」

と答える。

特に何の反応もなくこの話は終わった。

まぁ、いいか。ニコル先輩が本気で隠したら私には分かんないし。

昼食の後、ニコルがクリスと運動に出かけた時。

レイカが、こそっと尋ねる。

「ニコルと何かあった?」

「?何もありませんけど、どうしたんですか?」

「そう。ニコルが何か変な気がしたのよ」

「アランも感じますか?」

「いや、俺はわからないな」

どんな風に変なのかはわからないけど、緊張?してるみたいと話すレイカをアランがじっと見ていた。

レイカは人の感情の機微に聡い。よく見ていると思う。クリスも懐いているし

「レイカさんは保育士とか合いそうですよね」

「子どもは苦手なの」

意外な答えが返ってきた。

「え?そうですか?」

「クリスくらいよ。あんな風に懐かれたの」

何故か、逃げられたり泣かれるのよねと呟いていた。

話題を変えようと、考えてでた言葉が、

「レイカさんの趣味ってなんですか?そういえば聞いたことないですよね」

だった。

「何よ、急に。そうね、以前は旅行や映画とかだったけど、ここに来てからは、特にないわ」

「旅行、何処に行くんですか?国内?」

「自然の豊かな所が多いかしら。北海道は何度か行ったし、屋久島、小笠原諸島も良かったわ」

「寒いのは嫌って言ってましたけど」

「夏に行くの」

「海外には、行かない?」

アランが話に入ってきた。少しソワソワしている。

「パスポートもってないの」

「そう、残念。」

イングランドの良い所をつらつらと語りだした。普段より饒舌なアランに驚きつつ、そっとメモったのはこの仕事になれた証拠かもしれない。

「自然が豊か、か。この国なら何処があるかしら」

「ニコルが言ってた、サイス?」

「リーベック、コランダムも結構自然豊かですよ。山が多いです。」

「ビーチっぽいものがあるのは、ウパラ。マウリッツは山、川、海の観光地が揃ってるんだったか?」

「でもソルシエールって島国だったわよね。ウパラ、マウリッツ以外でも海はあるはずだけど」

「サイス、コランダム、リーベックは海抜が高いんですよ。ちょっと低くなってる場所もあるんですけど、大概高いので海遊びは釣りくらいです。」

「それはもう漁だよ」

二人から同時に突っ込まれた。

「仲良しか」

赤面する二人を無視して、王都も郊外は自然が豊かだよと話を続けた。

二人の勉強が実を結んでいるのを実感できた。


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