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不運な召喚の顛末  作者:
第一章
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召喚課一日目5

「さっき言ってた、女性生存者の性被害についての話をしようか。まず、年代毎の割合の資料は見た?」

「はい、10年毎の転移者の発見生存の資料のことですよね。」

「そう、建国の頃は殆ど資料が残ってないけど、次第に生存条件が分かり情報が揃ってきた頃から続いている。資料を見たなら話は早い。生存率が上がると共に女性の性被害が増えてる。でも、ある時期から少し被害が減っている。」

「はい、100年前頃から生存率が上がりました。それから、60年前頃から被害率が下がっています。」

何故か分かる?と問われた。

それについての理由はまだ調べていない。推察はしてる。

100年前は転移者の情報が集まってきて生存条件が判明した頃。60年前には何かがあったはず。

被害率を下げるにはどうしたらいいか、冒険者への協力依頼位しか思い浮かばなかった。

推察ですが、と断って話す。

「うんうん、生存率はそうだね。合ってる。サイス領から生存条件の提示があった。性被害の減少理由は惜しいかな、まぁサイス領が始めたことなんだけどね」

冒険者ランクの設置と同時に依頼完了の結果に質を求めるようにしたこと。

「これがサイス領から国中の冒険者ギルドに広がると徐々に被害率が下がりはじめた。でも、サイス領以外では転移者の保護依頼が出てないこともあり結果的にサイス領の被害率が著しく下がり、そのおかげで全体の被害率が下がっただけ。あと、これからサイス領はもっと被害率が下がると思うよ」

「どうして、ですか?」

「フレッド様の代になった当初、転移者に危害を加えた冒険者に対してサイス領への出入りを禁止したんだ。まだ、転移者の保護数が少ないからこれから下がってくると僕達はみている。」

「フレッド様は転移者支援に手が回せていないと話されていましたが。」

「それは今対策がされているのは保護段階の話で、フレッド様が手が回っていないと言ったのは支援対策のことだと思うよ。サイス領で暮らす転移者の数って結構少ないし」

「そうか、一緒くたにしていました。」

保護段階、支援段階と繋がっているけど別の問題だ。

「ニコル先輩、召喚課の課員少なくないですか?転移者の数結構多いですよ」

「一昨年までは僕の他に外回り以外の職員が一人いたよ。辞めちゃって後継募集してるんだけど不人気なんだよね、召喚課。でも転移者の人達、意外と言葉を覚えるのが早いんだよ。平均一年もいないから。唯一の共通点かな?」

「なるほど」

あ、そういえば聞きたいことを思い出した。

「あのニコル先輩、私、他の領の転移者についての姿勢に少しモヤモヤするのですが、」

「あぁ、僕も。王都にいる僕が言うのもなんだけど、そこなんか違うでしょって思ってる。数が少ないとかじゃなくて、その知恵なり知識、技術にあやかってんじゃんと本当に思う。だから、サイス領のいいとこ優先して話してる。」

「ニコル先輩、」

「でも、何故か王都とウパラ、マウリッツに集中するんだよ。」

「なんて説明してるんですか?」

「領主が善良、冒険者の質が高いし自然が豊かで住みやすい」

「サイス領ではなくて、他領の案内です」

「魔法大国ソルシエールの王都とか、ウパラは服飾が有名な領地、マウリッツは貿易商人の土地、コランダムは騎士が多い、シノノメは知識の宝庫、リーベックは鍛治が盛んな鉱山都市って感じかな。」

「その説明だと、サイス領の売りがないっていってるような物ですよ。独自の技術力があってって付け加えてください」

「でもさ、サイス領の説明が本当に難しくて」

「……わかります。他領との交流、特にウパラとマウリッツを避けてる節があるし、自領内で生産も消費も完了してる。」

「でも、それでは駄目だと思ってる?」

「そうは思っていませんが、」

「ふーん、そういえばさ、なんで転移者支援なんて考えたの?」

ニコルが真剣な表情で急に尋ねる。

「?召喚事件に巻き込まれて、この世界で私はグラッドやミランダ、フレッド様、ミレニア様に凄く良くしていただいて、その恩返しがしたかった。グラッド達の役に立ちたかったんです。だから私に何が出来るのか考えて、異世界人である事を活かそうって思いました。自己満足でしかないんですけど」

ジャックから話を聞いていないのだろうか?

不思議だったが、答えると

「まぁ、それはそれで良いよ。大体のことは自己満足の範疇だし。やっぱりリオさんは面白いね」

ニコルは何か意味深な笑いを浮かべた。

「?」

何か変だと思い、背後を振り返るとそこにレイカが立っていた。思いっきり目が合う。

互いに無言のまま、視線を逸らせずにいた。

「……昼間は言い過ぎたわ。」

「レイカさん」

嬉しくて名前を呼ぶとぷいっと顔を背ける。寝間着なのか、昼間とは違うラフな服を着ている彼女のある部分に目が留まる。

「レイカさん」

私は立ち上がり、ニコルからレイカを隠し、見えない位置まで誘導する。

「な、なによ」

「間違っていたらごめんなさい……下着のサイズ、合ってませんよね」

「は?……!!」

ぽかんとした表情から、すぐに私の言葉の意味に気づいたレイカは慌てて胸を隠す。

「た、助かったわ。あ、ありがと」

「下着買いに行きましょう、一緒に」

「ま、街は駄目。」

レイカが首を横に振る。

服職人を連れてきた方がいいのかな。でも、そんな知り合いいないし。

「あ、そっか。じゃあ、私が作ってきます。サイズ測っていいですか?」

「作る?」

「はい、下着は初めてですけど裁縫は得意なんです。任せて下さい」

恥ずかしそうに顔を赤らめたレイカだったが、意を決したのか頷いた。

「ちょっと待って下さいね。」

ニコルにレイカと話があるから、今の話はまた今度と断りをいれる。

奥の部屋の更に奥。衝立の裏側に招かれる。そこには、ベッドがあった。

「ここは、私の個人スペースなの。」

「じゃあ測りますね、」

「服、脱ぐわ」

「はい、お願いします。」

思った以上に豊満なバストをしている。昼間はきっちりめの服だからわからなかった。

「触りますね、」

下着を外し、アンダーバストとトップを魔力を帯状にしてメジャーの代わりにして測る。それから、バストの位置確認やストラップの長さなども考えながら測る。

「この下着はレイカさんのですか?」

ブラのみの下着は見たことがなかった。下着はビスチェが基本型だ。だから元々レイカのものだろうと思っていたのだが、

「違うわ。貰いもので、これくらいしかサイズが無くて他の人に言えなくて、困ってたの。ありがと」

まさか貰いものだとは。

あ、よく見るとコルセット部分を切り取った跡がある。

顔を真っ赤にしているレイカはとても可愛かった。

試作品を作ったらすぐ持ってくる約束をして、部屋をでる。

ついつい裁縫熱が高まってたから作るって言ったけど、買ってきて方がいいよね。作れなかったら買おう。

「ニコル先輩、私はそろそろ帰ります」

「じゃあ、僕も帰るか。」

ニコルはもっと残るのかと思ったと言うと、僕だって偶には早く帰る日ぐらいありますぅと膨れっつらで返された。

「あ、ニコル。今日は帰るのか?ゆっくり休めよ」

部屋を出たら、お風呂から戻ってきたアランとクリスに会った。クリスは半分お眠状態で、バイバイと手を振っていた。

「愛されてますね、ニコル先輩」

「愛玩動物扱いされてましたが」

管理棟を出ると外はすっかり暗くなっていた。

灯りらしい灯りがなく、寮にたどりつけるのか不安になる。一人だと無理だったかも、と思いニコルの気遣いに気付いた。

寮までニコルのクリス可愛い自慢を聞きながら戻る。

結局寮の部屋まで送ってもらい、別れた。

すぐさま裁縫箱からメジャーを取り出し、長さをメモしていく。

お風呂に入りながら、手順の確認をする。

明日の準備をして、就寝までの時間でどこまで出来るかわからないが作り始めた。


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