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不運な召喚の顛末  作者:
第一章
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千加2

『他に質問はありますか?』

クラリスの状況を一通り説明した千加に

「クラリスと直接話すことは出来ますか?」

ミレニアが質問する。

『出来ますよ。今は不在なので、明日の大体この時間に引きずってでも連れてきます。理央、その時は宜しく。私の名前を呼べばいいから。』

実は、ミレニアの表情がクラリスの事を聞いた時から少し怖い。私が怒られる訳ではないけど、少しドキドキする。

その後二、三質疑応答を繰り返して、今日はお開きになり屋敷へ戻ることになった。鏡から千加の姿が消える。

千加の登場で色々有耶無耶になっている気がする。

「あの、さっきはすみませんでした。」

勇気を振り絞って頭を下げる。

「リオさん、何について謝っているのかな?」

フレッドが不思議そうな顔で首を傾げる。

「え?あ、だって私暴走して、皆さん一歩間違ってたら死んでました。」

「それについては避けようがなかったと思うよ。どういう風に伝えられても、暴走はしたと思う。でも結果的に暴走未遂だ、私はリオさんだったから暴走を抑えられたと思うし、謝らないでいい。気がすまないというのなら、グラッドとミランダに沢山感謝したらいい。私とミレニアは別に何もしてないからね」

「逆にジャックを詰ればいいとさえ思うわ。もっと伝え方があったでしょうに。」

「それに関してはすまなかった。」

「リオさん、クラリスが迷惑をかけてごめんなさい」

「いえ、それはどうしようもないことで」

「違うわ、帰れないと説明されたのならそれを伝える必要があった。手紙にどんな質問があったにしろ、帰らないなんて答えは愚かでしかない。本当に申し訳ありませんでした」

「ミレニア様」

五人が目を伏せ謝罪の礼をする。

「あの、大丈夫ですから、謝らないで下さい」

居た堪れなくてやめてくださいと声を上げる。

「では、貴女ももう謝らないで、ね?」

ミレニアの微笑みに頷くしかなかった。

「わかりました。」

すっかり冷めてしまったが、お茶を飲む。

冷めても美味しいな、これ。

大分喉が渇いていたらしく、あっと言う間に飲み干してしまった。

ミランダにおかわりのお茶を淹れて貰う。

「その髪はリオさんの元々の髪色に近いのかしら」

ミレニアがふと呟いた言葉で、すっかり忘れていた髪について思い出した。

「そうですね。黒髪で直毛でしたので、馴染みがあります。そっか、魔法で調整しなきゃ」

髪の色が変わってしまった私は魔法で色を調整する。

「リオさん、目の色も変えられますか?」

グラッドが瞳を指さす。

目?

ポケットから手鏡を出して確認する。

瞳の色も青から黒に変わっていた。

集中して魔法を行使する。

「どうですか?」

「問題ないね。今日は戻ったらもう休みなさい。考えるのは明日にしたほうがいい」

フレッドが心配そうに言う。


屋敷に戻ると素早く部屋に引き篭もる。ミランダが気配を薄くする魔法を使って他の使用人の目につかないように先導してくれたおかげで引き止められることもなく部屋にたどり着いた。

魔法を解除する。

何故か、ゆるふわの癖がなくなっているようにみえた。

お風呂に入り、部屋着に着替える。着替えを手伝ってもらいながら、ミランダに今日の感謝を伝える。

「ミランダがいなかったら助けられたかわからないってグラッドが言ってました。ありがとう」

グラッドに馬車の中でこっそり教えてもらった話をする。

「いえ、魔力壁の破り方を知っていただけですので。どうと言うことはありません」

「それは凄いことでは?」

「そうでしょうか?よくわかりませんが、貴女を助けられたので知っててよかったと思っていますよ」

ミランダが私の髪の毛に触れた。櫛で髪を梳く。

「黒髪も似合いますね」

「なんだか姉妹みたいです」

「嬉しいです。リオ様、あの何故か髪の癖が収まっているようですが、」

驚きを隠せないミランダの声に同意する。

「やっぱり。私もあれって思ったんです。」

「取り敢えず、今日はもう休みましょう。魔力を使いすぎてますので、ゆっくり休んで下さい」

ベッドに入ると、眠くなかったはずなのに思いの外疲れていたようですぐに眠ってしまった。


夢も見ずに眠り続けて、起きたのはいつもの起床時間だった。

「おはようございます、リオ様、おきていらっしゃいますか?」

目が開かない状態で上体を起こしている私にミランダが怪訝そうな声で問う。

「起きてますけど、まだ眠いです。」

「もう少しお休みになりますか?約束の時間までまだございますし。」

「ううぅー、ミランダ鏡の準備をお願いします。手鏡ではなくて、鏡台とか、大きめの鏡を用意して下さい。もう少し寝ます、」

その後の記憶がないまま、又目が覚めた。ミランダと目が合う。

「あれ?今、」

「おはようございます。今ちょうど起こそうと思っていました」

「たくさん寝て、スッキリしてます。」

「ふふ、はじめに起きた時は起きてるとは言い難い状態でしたからね」

「記憶が曖昧です」

「準備は整っていますので、食事にいたしますか?」

「はい」

ベッドからテーブルへ移動すると、鏡が用意されているのが見えた。

結構豪奢な鏡だったので、何処から移動させたのか何気なく聞いてみる。

「離れに所蔵されている、大奥様愛用の鏡でございます。クラリス様が離れを訪れる際は、よくこの鏡の装飾に見入っていらっしゃいました。ご記憶がありませんか?」

「離れ、えっと、あ!ありました。あぁ、なるほど。馴染みのある品なら動かしやすいですね。」

「大奥様と奥様の仲は良好でしたので、愛用の鏡を見て幾分冷静にクラリス様とお話しできるかと思いまして」

「冷静に、……段々不安になってきました。」

「もうなるようにしかなりません、リオ様。クラリス様の言動を予想するだけで頭が痛いです」

「ミランダ、あの、諦めてます?その気持ちは痛いほど分かりますが、クラリス様の発言をフォローできるのは私達しかいないと思うんです。ですから、」

「ミレニア様にとって最良の結果になるよう善処致します」

うわぁ、ミランダが投げやりになってる

私は不安になりながら、用意されたサンドウィッチを頬張った。


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