婚約者編74.5
婚姻式は無事終了した。
セシルの祖母が何か口にする前に威圧して黙らせたのは正解だった。アラバスター家から感謝された。
本家は理解しているようだ。なら安心か。
感動屋さんのリオ様が大分自分を律していたのが嬉しかった。全ては私の為だと思うと口元が緩む。
「ミランダ?もう遅いですから、早く休みましょう」
セシルに声をかけられる。正装を解いたセシルにドレスのままの私は、勇気を振り絞って
「セシル。貴方の役目がまだ残っています。」
「ミランダ?」
「ベールを外してください」
伝える。
ベールを外すのは旦那となった相手の役目。マウリッツの婚姻初夜のしきたりの一つだ。
「外しますよ。……ミランダ、綺麗です」
セシルがベールを外し、私の唇に触れる。
ドレスを脱がしたセシルが笑う。
「なんですか、いきなり笑うなんて」
「ミランダが最新の下着を身につけているから驚いただけだよ」
「リオ様が作った下着を身につけて何が問題があるのですか。専属筆頭として当然です」
「うん、そうだね。失礼しました。よく似合っていますよ、ミランダ」
下着姿になった私をセシルがベッドに誘う。
「ミランダ、とても緊張したでしょ?震えてる」
私に口づけるセシルがまた笑った。
「夫婦に、なった、はじめての夜、だし。わ、私はこういうのはあまり自分からしたことないから。」
「うん。ありがとう、ミランダ。じゃあいっぱいしましょうか?」
「ほどほどでいい……!ん」
その夜はセシルに隅々まで愛された。
翌朝。
山のように届いた婚姻祝いの贈り物を確認していく。
「これは、骨が折れそうです」
旦那様や奥様、グラッド様にリオ様と贈り物を確認していく。
「手紙?」
リオ様からの贈り物の箱を開けると一通の手紙が入っていた。封を開け中身を確認する。
そこには見慣れた、懐かしい筆跡で
『ミランダ。結婚おめでとう』
と書かれていた。
止める間もなく涙が頬を伝う。
『幼い頃からわたくしを見守っていてくれたミランダの結婚はとても感慨深いものがあります。喜ばしく思っています』
『光属性の呪縛から解き放たれて初めて、わたくしは自分がいかに愚かだったかを理解しました。不出来な主人で苦労をかけました。』
『わたくしの為に叱ってくれてありがとう。そしてその言葉に報いることが出来なくてごめんなさい。』
『どうか末永く幸せが訪れますように、異国の土地から願っています。クラリス』
手紙を抱きしめて泣く私の肩をセシルが優しく抱きよせる。
以前リオがチカにこそこそお願いしていたのはこれです。




