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不運な召喚の顛末  作者:
第三章
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休暇編33

なんだかやけに眩しいなぁと思いながら起きたら、水の中にいるような幻想的な光景が広がっていた。

体を起こす。服は着てなかった。

「……」

隣りで眠るグラッドも裸だった。

まてまて、へ?記憶に残ってない。いやいや、まさか。

充足感のある夢みたなぁって感じがするけど、夢じゃないのか。おぅ。

一人反省会をしていると、

「リオ?大丈夫?」

グラッドに声をかけられた。

「昨日はごめんなさい」

色々と迷惑をかけた気がする。

「?何故?」

私の謝罪にグラッドが首を傾げた。

「あんまり覚えてない」

「いいですよ。それよりもすっきりしましたか?」

「はい。」

「なら良かった。あと少し寝ていましょう。」

「はい、でもいいのかなぁ」

「ユル様が神殿に呼ばれるだろうって言ってたのが、もし今日ならもうすこし英気を養っておきましょう」

「それもそうか。はい」

ミランダに起こされるまで、二人で惰眠を貪った。

お説教をされながら支度をして朝食を取る。

「おはようございまーす」

千加がミゲルと一緒に現れた。目の下に隈が出来ている。

「おはよう。千加」

「おぅ。怒って、る?」

私を見て千加が怯む。

「今は怒ってない。座って。ミゲルさんも」

「あぁ」

ミランダは淡々とお茶を淹れ千加とミゲルの前に出す。

「すげぇ違和感」

ミランダの侍女姿はあまり知らないようだ。

「美味っ、ぇ、料理は殺人級に不味いのに。嘘だろ、どうなってやがる」

ミランダの気配が怖いから黙ってて欲しい。

「千加は朝からどうしたの?寝てなくていいの?」

ミゲルとミランダを無視して千加に尋ねる。

「寝てる場合ではないので、えっと今日神殿から招集がかかる。本当は昨日の予定だったけど、理央様が体調崩して寝てるって断った。襲撃もあったから。」

「千加も一緒に行くってことかな」

「そう。一応、神殿では敬われる加護障害持ちなので。発言の信用度が違うし、ユル様を一応すぐ呼べるように」

「私も言われたよ。ユル様から何かあれば出るって」

「まじ理央には甘いな。……グラッド様もご一緒しますか?」

「ええ」

「理央様の加護は何処で計測しても闇3水1で計測されるって狂信使ってるので大丈夫です。最悪その場の全員の記憶消すんで安心して」

方向性が物騒だけど、嬉しく思う。

「ありがとう」

「理央様もグラッド様も変な人物に纏わりつかれますね」

千加が指折り数える。

「不運じゃないな。?元々?違う、だめだ視えないや」

「視えないってあるんだね。」

向こうにいる時は結構なんでも視えていると思っていた。

「偶にあるよ。でも視えないのは神様に関係ない場合もあるんだよね。能力の揺らぎみたいなの。体調とか周期とか。意外と万能じゃないとこがもどかしい」

「私はちょっと安心した。以前はそんな風に言わなかったから」

千加にも変化がある。良い方向への変化だといい。

しばらくして神殿から正式に招待状が届いた。

一昨日の騒動での発言が居合わせた神官や住民に不安をもたらしている。それを払拭するためにも神殿で加護測定を行なってほしいという内容だった。

「では行きましょうか」

この場にいる全員で神殿へ向かった。

お兄ちゃんの趣味で設計されている神殿はつい笑みが零れてしまう。グラッドと腕を組み、神殿内へ立ち入る。

神殿は人で賑わっている。受付と書かれた窓口は列が出来ていた。

就業訓練所や学校の側面もあるため、大人から子供の姿まで幅広い年代が利用しているようだ。

「グラッド様。リオ様。お待ちしておりました」

祈念室の前で待っていたのはクロムの神殿長だった。

恰幅の良い年配の男性で質の良い白の神殿服を着ている。穏やかな表情をしていた。

「では、こちらで」

計測の為の部屋がある。祈念室の隣りの部屋に通される。

広い部屋には神々の像と壁に書かれた星図のような紋様、中央の台座には計測の道具が置かれている。

クラリスの記憶の中に一瞬映る壁に似ている。

「あちらにある計測の魔道具を手に取って握りしめて下さい」

床にも術式のような紋様があり、計測の魔道具までは一人で行くことと説明された。

ゆっくり、中央の台座まで足を運び、魔道具を握る。

以前にも同じ魔道具を握ったことがあるけど、特別製だったようで、眩く光った。クラリスの記憶では、途切れ途切れだから定かではない。

神殿長は私に近づき、手を開いて下さいと声をかけた。

「リオ様の加護は闇3水1で御座います。」

神殿長が宣言する。

「珍しい加護の組み合わせではありますが、昨日の女性が騒ぐほどのことはありません。昨日居合わせた神官や住民には私のほうから正式に連絡を入れておきます」

珍しい組み合わせにしなくても良かったのではと思いつつも

「ありがとうございます」

笑顔でお礼を言う。台座に魔道具を戻す。

「リオ様は神殿に良い思い出がないとルルーから伺っております。ですが、サイス伯爵夫人となられる方。神殿の業務や建物の内部構造など知ることも肝要かと」

「その時は宜しくお願いします。本日はこれで失礼致します」

挨拶を済ませて部屋を出た。神殿長は計測室に残るようだ。

丁度同じタイミングで祈念室から出てきた男性と鉢合わせた。その弾みで男性が手にしていた文箱を落とした。

紫の瞳にレンガ色の髪。驚いた様子で私とグラッドを見る。

「申し訳ありません」

文箱を片付ける彼を手伝う。

盛大にぶち撒けたようで、あちこちに紙が散らばっている。

遠くに飛んだ紙を千加とミゲルが回収していた。

「申し訳ありません!」

書類を回収し終えた彼は泣きそうになりながらお礼を言って去っていった。

「あの人、あの人ですよね。別人じゃ」

思わず呟いた私の口にグラッドの人差し指が触れる。

「行きましょうか」

秘密の案件だったようだ。

神殿を出て屋敷に戻る。

途中で千加とミゲルを馬車から降ろした後、グラッドがポケットから一枚の紙を取り出した。

「彼は今、神殿に入って調査をしています。神殿の暴走を防ぐための調査員です。神殿長は無関係、神官に協力者あり。ウパラからサイスに移住してきた神官の一人、春に問題を起こしたのもウパラからの神官だったな」

後半のほうは独り言に近い呟きだった。

それを聞くと、完全に目をつけられているのだと憂鬱になる。ミランダも同じことを思ったようだ。

「リオ様。魔法省に戻るのは危険では?」

「ですが中途半端なことは出来ません。あと少し勉強したいので戻ります。ちょっと嫌なだけです」

「リリアナの後ろにウパラ侯爵の影が見えていますから、たしかに不安ですね。魔導局とは犬猿の仲でしたか。サイス領ともウパラ領は交流が希薄ですし」

過去の、初代様より以前の因縁相手が、現ウパラ領の前身だった商人組合だというから頭が痛い。昔から変わらないようだ。

「もうこうなったら後見人に縋りましょう。」

「ジャック様に丸投げですか、リオ様」

「だって!もう流石に私では対応できません。最悪の場合はソルシエールを滅ぼしかねないですもん。ジャック様と陛下に任せましょうよ。」

いくらこっちが何もしなくても、あっちが行動を起こすなら無理だ。どうしようもない。今はまだ対応できる範囲だが、これが拡大して規模が大きくなったら危険度は跳ね上がる。

「陛下は胃が痛いことでしょうね」

「リオ。ジャック様へはフロストの調査が終了してから情報提供をします。それまで、魔法省へ戻るのを遅らせていただけませんか?」

「……そう、ですよね。連絡します」

屋敷に戻り、魔法省に連絡をとろうとしたら、既に連絡済みだと聞かされた。フレッドが先んじて連絡をいれたそうだ。

「流石フレッド様ですね。」



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