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不運な召喚の顛末  作者:
第三章
205/605

休暇編27

それから話はフォッグ子爵家の話に移行した。

オリバーが順を追って話していく。

一年前アデルの次期子爵の発表があり、そこからルーカスとレティシアに不審な行動が増えた。

冒険者ギルドに出入りし、依頼を別人の名前で出す。

剣術指南の家庭教師と称して何度も別の冒険者を屋敷へ招いていた。サイス領以外の領所属の冒険者に何度も他の依頼を指名で出して交流を深めていた。ここまでは特に問題ではない。

その後、先に子爵達へグラッドの婚約報告があった。

その頃から術式管理室の担当者が変更、アデルが頻繁に出入りするようになる。

度々魔力封じの術式が発動することがあり、それを子爵は次期子爵の訓練だと説明している。

が数が多すぎると文官からの報告があがっていた。

「そこで調査員を派遣して謀反の疑いありと判断致しました。ルーカスとレティシアに至っては仲間内でも口にするほど不満を隠していなかったようです。」

計画の全貌は二人の調書をとり、解明する予定だ。

グラッドが自分達の立てた予想をオリバーに話す。

「グラッド、もしかしてニビやスレートでもそれやってる?」

「スレート子爵は私の実力を知っているので、向こうから縛りをきつくしての手合わせをさせられますけど。ニビの現当主とは互いに縛りをつけて手合わせしていました。」

条件をつけないとやりすぎるからと呟くグラッドに、以前ハロルドが「グラッドは戦闘狂」と言っていたことを思い出した。

かなりミランダとミゲルに毒されている。

「アデル殿は結構剣の腕はあるのだと思っていたけど、そうでもないのかな。」

オリバーの言葉にグラッドが

「リオは騎士団の部隊長補佐レベルの実力があるので、アデル殿では力不足です。貴族令嬢として考えるなら腕はいいでしょう。一般騎士よりは強いですから」

補足する。ティエラが驚愕の表情で私をみる。

知らなかった。私、そんな強かったんだぁ。ミランダって教えるのも上手だから感謝だわぁ。

内心狼狽えていたが、なんでもない風を装い微笑む。

「ここからはオリバーに任せて、グラッドは久しぶりの実家を楽しんで。リオ様も我が家と思ってくつろいでください」

「ありがとうございます。」

アシュレイはフローラを伴い先に席を立つ。

「先に失礼するよ。ティエラ、あとは任せました」

「はい。お父様」

二人が部屋をでると、

「グラッド、あの。フローラ様。無理をされていたのでしょうか。私、つい夢中になってしまって、ごめんなさい」

グラッドに謝る。

健康ではないって知っていたのに、と反省している私にティエラが

「いえ。リオ様。お母様と一緒に楽しんでくださりありがとうございます。あんなに楽しそうなお母様は久しぶりにみました」

微笑む。

「あれはおそらく全員の婚約者にする予定だから」

オリバーがそう言うとティエラが暗い顔をする。

「ちょっとそれは嫌ですわ」

「私も嫌だよ。年齢的に私のほうが恥ずかしさは倍増じゃないか」

二人の様子に驚き、

「え、嫌なのですか。グラッドも、いやでしたか?!」

グラッドの腕を掴む。

「私は嬉しいですよ。恥ずかしいことは恥ずかしいですが」

「同じ道を辿りそうなのですが、」

「リオについてはそういうものだと思っていますから。安心してください。」

親バカは想定済みと言われた。まぁ、あの家族をみればそう思うのも納得だ。

「リオ様、お部屋はお母様が用意していたので準備は出来ています。案内しましょうか?」

「どうしますか、リオ」

「一度お部屋を確認してから、グラッドが行きたいところに行ってみたいです。」

「では案内します」

応接間から宿泊する部屋まで移動していると、グラッドが何かに気づいた。

「ティエラ。まさか部屋って」

「まあそのまさかですわ。……こちらです」

案内された部屋は子どもの頃グラッドが使っていた部屋だった。荷物は既に運び込まれている。

「楽しそうに準備する様子が目に浮かびます」

「グラッド兄様、それはもう楽しそうで。わたくし、止めるに止められなくて。」

「いや。いいよ。母上が楽しいならそれで。それで部屋は」

「一部屋だけですわ」

「ん?私も?」

「と、そのようにきいておりますが」

「……わかりました」

興味津々で室内をうろうろする私を眺めながらグラッドはティエラの話を聞いて色々と諦めた顔をした。

「グラッドの思い出の場所はどこですか?そこに行きましょう」

お部屋見学を完了した私の言葉に

「では、行きましょうか。」

グラッドが手を差し出した。手を繋ぎ廊下を歩きながら、

「家の中の思い出の場所と言えば、」

グラッドの言葉に

「グラッド兄様は執務室でしょ」

「グラッドは使用人控え室かな」

ティエラと私がクイズとばかりに答える。

「何故その答えに至ったかを聞いても?」

あれどっちも不正解?

「お母様が言っていましたから、お父様の後をついて回っていたって」

「子どもが大体冒険して怒られる場所なので」

私達の答えに微妙な顔で、大体あってますと言われた。

正解は書庫と道具倉庫。アシュレイの後をついて回っていたのは書庫に入るのは大人と一緒じゃない駄目と禁止されていたから。

書庫には子ども用の本棚も設置されていた。

「まだあったのですね」

グラッドがそれに懐かしそうに触れる。

「グラッド専用ですか?」

「えぇ」

本棚の中を覗くと

「子ども向けの歴史本に、植物図鑑、生き物図鑑。魔生物図鑑。」

まさかのタイトルを見つけてしまった。

「……冒険者ミゲルの冒険。うわぁミゲルさん本になってるぅ。グラッド、数年後弟子になった気分はいかがですか?」

「子どもにこの本は与えないぞって決心しました。」

「ですよね」

私とそんなに歳は離れていないのに、凄すぎる。

本にするあたり脚色してもいいが、許可金は弾めよと大金を積ませたとグラッドが教えてくれた。恐ろしい。

「え、グラッド兄様がミゲル様の弟子!?」

「ミゲル、様?」

いや、待てよ。ソフィアもそういえばミゲルを様づけだった。ファンなのか?

「紹介してください、兄様!」

「ティエラ、」

「あ!ち、違いますのよ!わたくし一読者として」

ファンなのか。

グラッドと私は、ティエラの肩に優しく手をおく。

「ティエラ、悪いことはいわないから、ミゲルに夢はみないように」

「ティエラ様、もしミゲルに出会ったら開口一番グラッドの妹ですって言えば衝撃は少なくて済みますよ」

私達の言葉にティエラが混乱する。

「え、え?」

「リオ。接触を禁止したほうが」

「いえ。禁止してしまうと余計に熱が高まる可能性があります。ですから、開口一番「グラッド兄様の師匠のミゲル様ですか?」の方が邪険にしないと思います」

ちょっと可愛げがあるセリフのほうがいいのではと言うと

「会わせたくない」

そもそもの話になった。

「ミランダに真似してもらって幻滅させるとか?とても似てましたよ」

「兄様、リオ様、一体どういうことでしょうか」

ティエラにグラッドが嫌そうな顔で説明する。

口が悪くて横暴、傍若無人。物語とはぜんぜん違ったので、ティエラがミゲルに夢をみてるならやめた方がいいと伝えた。

「ミゲル様が、横暴、ですか?そ、そんな」

ティエラがショックをうけている。

物語の中のミゲルはどうなっているのか。怖くてきけない。

「妹のミランダに会いますか?外見はそっくりですよ。」

結果ティエラがミランダのファンになった。


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