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不運な召喚の顛末  作者:
第三章
201/605

休暇編23

翌朝、少し早めに起きた私はお風呂を借りる。

ブラをつけて寝た記憶がないけど、ちゃんと着てた。

次の目標はナイトブラだなと思いつつ、グラッドにそっと声をかけた。

寝惚けてるグラッドはやっぱり可愛い。

「いいれすよ」

って舌が回ってない感じが堪らなくキュンときた。拝む。

服を回収してお風呂に入り、上がるとセシルがグラッドを起こしていた。

「あ、おはようございます。お風呂借りてました」

「リオ様。お見苦しいところを」

「いえ。いつも起こしているのですか?」

枕に突っ伏して起きる気配がない。

「そうではありませんが、ご実家に行くのが嫌みたいで。嫌な予定が入っていると大体朝起きません」

「嫌なんですね。実家に帰るの」

「グラッド様は養子でございますから、領主選別の特殊なサイス領であっても初代様の本家筋から領主をと言う声はありますから。ご実家に滞在すると戻ってきた時にうるさいので今まで表立って関わりを持たずにいたのですが」

「変な方達もいらっしゃるのですね。初代様の本家筋をと言いつつ初代様の方針を否定するっておかしなこと言ってるって気づいていないのかな。そう言う人達は領主になりたくないんだろうけど、なら黙ってろって思うし。養子って言っても血筋はそう離れてないんだから問題ないし。なんなら」

つらつらとおかしな点をあげていく私に同調してセシルが

「本当、そうですよ!」

拳を握る。

「大体子供は一人でつくれないんだから、初代様の血筋も何もないってわかんないかなぁ」

「リオ様ぁ!素敵です」

セシルと笑いあっていると、眠そうな表情でグラッドが枕から頭を上げた。

「セシル。リオと楽しそうにしないでください。」

「はいはい。グラッド様が起きたらやめますよ」

「うぅ」

グラッドは不機嫌そうにベッドの上に座る。服は着てから寝たみたいだ。

「立ち直りがいつもより早いです。リオ様のおかげですね」

「セシルうるさい」

「リオ様。朝食はこちらに運びますか?」

「はい。お願いします。」

セシルが部屋を出ると、ベッドに腰掛けて眠そうなグラッドの髪を梳く。

腰に抱きつかれる。

「寝ちゃダメですよ」

「リオ。私と同じ石鹸の匂いがします」

すぅと寝息が聞こえてきた。

セシルが戻ってくるまでそのまま、グラッドの髪を梳かしていた。

朝食を食べ終わる頃にミランダが迎えにきた。

「グラッド、また後で」

部屋に戻り支度を整える。

「グラッドの家族に会うので、綺麗めのこっちか。それとも、落ち着いた印象のこっち。どれが正解だろう。」

服を手にあれこれ悩む。ミランダに二つの服で悩んでいると伝えると

「セシルから聞いたグラッド様の本日の服とあうのは、こちらの綺麗めのワンピースです。」

と答えが返ってきた。

「では、こっちで」

「リオ様が服を選ぶ楽しみを覚えたようで嬉しく思います」

「まだ選び間違いもありますけど楽しいです。帽子はこれにしよう。」

いつものように帯刀しようとしたら流石に止められた。

「癖づいてきたようで、良いことではありますが本日は冒険者としてのリオ様は出さずにいきましょうか」

「そうですよね。私も驚いてます」

支度を済ませ、玄関へ向かう。

念の為刀は馬車に積んでもらった。魔力が使えない状況を打破するための武器という側面もある。

「リオ様。安心してください。ある程度動けるのですから、最悪椅子の脚でもいけます」

ミランダからある程度動けるとお墨付きをもらえたのは嬉しいが、椅子の脚かぁ。まぁ、なんでも使えってことだな。

グラッドは朝の姿が嘘の様な顔で馬車に乗り込む。

クロムを出て北西方向へ進む。途中にある転移術式で近くまで移動する。


サイス北西部とコランダム東部大部分にまたがるウラノ山脈の麓にあるのがフォッグ子爵が治める街ヘイル。

石垣の造りがクロムとは少し違う。

興味深げに眺めていると、

「リオは石垣も好きなのですか?」

問われた。

「好きですよ。石垣は緻密な計算と計画の元積み上げられてるかと思えば端材を詰めて微調整していたりするので面白いです。あと曲線が優美なクロムの石垣と違ってヘイルの石垣はおおらかさや豪快さを感じる石垣で味があります。街の人達ももしかしたらそんな方達が多いのかなぁとか考えるのも好きで、…失礼しました。喋り過ぎました」

グラッドが驚いた表情をしていたから、またやらかしたかと謝る。

「刺繍と同じ熱量で話すので驚いただけです。色んな面が知れて嬉しいですよ」

刺繍と同じ熱量で話していたのか、恥ずかしい。

「一方的に喋り過ぎました。グラッドは鉱石鉱物が好きですけど、建築はあんまりなんですか?」

「そこまで興味はないです。あの石材使ってるのかとか、総工費は幾らとか考えてしまうので」

「おぉ、いいですね。その視点はなかったので、ちょっと教えてください」

「グラッド様、リオ様。そろそろ到着します。一度フォッグ子爵邸で挨拶をしてからフロスト家へ参ります。よろしいですね?」

盛り上がっているとミランダから声をかけられた。

「はい。」

「まさか総工費を考えてたなんて驚きです。グラッド様」

「セシルは一言多い。」

「セシルは彫刻好きでしたか、…そういえば。」

「多趣味ですね。セシルさん」

料理に菓子作り、ダンス。そこに彫刻も。ジャンルのまとまりはないが、琴線に触れるものがあるのだろう。

彫刻はいまいちよくわからないが、技術力がものをいう世界なのはわかる。

「リオ様興味がおありでしたら本をお貸ししましょうか?」

「リオ。断っていいんですよ。いえ、断りましょう」

「リオ様。是非断りましょう」

グラッドとミランダが口を揃えて断れという。

「理由を尋ねても?」

「仲間を作りたがるので、自分の速度で楽しめません」

「最初から専門書貸す神経が信じられません」

「あ、あぁ。やりがちですね。セシルさん、一番薄い本と文字が一番大きい本を貸してください。」

「リオ!」

「リオ様!」

二人の意見はわかった。でも私もやられたことがある。

兄貴はセシルと同じタイプだ。

こういう時は、面白いとか簡単とかの主観が伴う本を借りては駄目だ。

他の基準で借りると失敗は少ない。

翻訳者が誰とか、写真が一番多い本とか、画集、何ページ以下の本とか。文字の大きさが一番大きいもいい。

漢字が少ないとか。条件を絞ることで難度が限られてくる。

「わかりました。今から楽しみです」

「よろしくお願いします」


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