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不運な召喚の顛末  作者:
第三章
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休暇編18

翌日。会議室に集まった千加に質問書を渡す。

まだ時間には余裕があるので、最終確認をする。

「ミランダも気になることがあれば質問して下さい」

「かしこまりました」

ミランダも質問書に目を通すと、イザベラっぽいですねと笑った。

再度調整をして、時間がきた。

質問は千加が担当することになった。私では相手が余計に緊張するからと言われた。

アイゼンとウィル、ケイトが入室する。

評価書類には肖像画などはついていないので、どっちがアイゼンかウィルかわからない。

三人が席に着くと私は

「本日はお集まりいただきましてありがとうございます。これはわたくしの事業に必要な人員を探す為の面談でございます。」

笑顔で口を開く。

「異動申請を出されている文官を対象とさせていただきました。仕事内容は転移者の保護と支援をし、領の利益にすることです。まずは先に確認したいことがございます。」

三人の顔を順に見る。

「この事業に携わりたくない方は、挙手を。その場合は他部署を紹介致します。評価に響くようなことはございません」

私の言葉に三人に動揺が走る。どうするのか周りの反応を窺っている。しばらくして、ケイトが手を挙げた。

「私は上司に働き方を考えるようにと言われ異動申請をだしました。リオ様の事業では自身の働き方を顧みることができないと思い辞退致します」

「はい。わかりました。では、管理室へはわたくしの方から連絡を入れておきます。お集まりいただきありがとうございました」

退室を促す。

ケイトが部屋を出ると、残った二人に

「簡単に自己紹介をお願いします」

向き直る。

「私はアイゼン・リバーです。ギルド部商業ギルド交渉係で勤めていました。体調不良が続き休職をしています。」

アイゼンは前髪が長く顔を覆っている。鼻と口しか見えない。しかも少し俯いている。

千加が小声で「へぇ」と笑った。

「ウィル・エルブです。農務部で研究職を経て農村での技術支援の際に、環境に馴染めず戻ってきました。王都から出ない仕事を探しています。」

ウィルは癖のない、青みがかった灰色の髪を短く整えている。緊張しているのが分かるほど強張っている。

「幾つか質問をさせていただきます。」

「ではここからは私が担当致します。リオ様の専属情報官、チカです。まず、今までに転移者との関わりはありましたか?アイゼンさんから」

「はい。商業ギルドに転移者の方がいますので、仕事でご一緒しました。」

「私は会ったことがありません」

「どのような印象をお持ちですか?」

「私が接した方は大人しくて周囲とは印象の違う方でした。謙虚な姿勢は好感が持てました。」

「転移者とは関わりがありませんが、農業技術の向上に転移者の知識が活かされていると聞いています。我々にはない知識に興味があります」

「えー、次は」

住み込みでの仕事を想定していること。

一緒に仕事をする人に求めるもの。

現在の仕事に対してどう考えているか。

自身の長所と短所。

出来る仕事と出来ない仕事。やりたい仕事とやりたくない仕事。

「私からも一つ質問を宜しいでしょうか」

ミランダが挙手した。

「専属筆頭のミランダです。お二人は文官ですが、どの程度戦えますか?差し支えなければ攻撃手段なども伺いたいです」

らしい質問だった。

「戦いの経験はありません。剣も握れません。魔術での援護射撃くらいでしょうか。学園で習う程度です」

「農村への移動中、魔獣が出現したのでその討伐の手伝いをしました。武器を持って戦う経験はありませんが、術式札は常に所持しています。」

「ありがとうございます」

私はただ笑みを浮かべながら二人を観察する。

アイゼンは表情は隠れてよくわからないが、緊張しているのだろう。身体が少し揺れている。

ウィルの方は逆に質問に答える度に落ち着いてきたようだ。表情に最初の強張りはない。

その後も二、三質問をして面談は終了した。

「後日ご連絡致します。もしご縁がなかった場合も評価には一切影響いたしませんのでご安心ください」

二人が退室すると、ほっと一息つく。

「疲れたぁ、なんか疲れたぁー」

千加が机に突っ伏する。

「お疲れ様。次は転移者の面談でしょ?千加が連れてくるって言ってたけど、これから迎えに行くの?」

「あ、隣の部屋にもう控えてもらってます」

ん?初耳ですが?

「じゃあ、始めようかな」

うーんと伸びをした千加の肩をミランダが押さえる。

ミランダの笑顔が怖い。

「チカ。報告はしっかりしてください。聞いていませんよ?」

「あ、すみませんでした。貴族側の面談を見てもらう為に呼びました。」

「見てもらうって、どうやって」

「魔法で」

はぁとミランダがため息をついた。

千加は会議室を出たかと思うとすぐに戻ってきた。

「すみません、三人連れてきたんですけど、その内のクレアさんがやっぱり参加できないそうです」

「クレア・フローレンスさんね。男嫌いでしたか。ケイトが断ったからですか?」

「はい。そうです。」

「残り二人ですか。難が無ければそのまま採用で話を進めたほうがいいでしょうか」

悩ましい。私の独り言を拾ったミランダが千加に問う。

「チカ。男女比は」

「一対一」

間、髪をいれずに千加が答える。

女性は問題なければそのまま採用でもいいだろう。

「では問題なさそうであれば採用の方向で話をしましょう。チカ、二人をお連れしてください」

「わかりました。」

再び千加は会議室を出る。しばらくして見知らぬ二人を連れて入室した。

「リオ様。クロムで働く転移者の中から転移者支援に興味のある二人をお連れしました。」

「はじめまして。どうぞこちらへ」

黒髪黒目の男性と女性。

千加が一人一人紹介していく。

黒髪黒目の女性はユーリ。緩く三つ編みにし、服装は和装のような格好をしている。伏せ気味の目と視線があうことはなかった。

黒髪黒目の男性はスバル。ぴょこんと癖毛なのか左の前髪だけはねている。ユーリ同様こちらをみることはしなかった。

「宜しくお願いします」

恭しくユーリがお辞儀をする。スバルもそれに倣う。

「では、かけて下さい。はじめましょう」

レイカ達以外の転移者は初めてだ。呼吸を整えて臨む。


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