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不運な召喚の顛末  作者:
第三章
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休暇編10

南門に比較的近い場所に千加の家があった。以前ミランダから話は聞いていたが、本当に古い洋館だった。

ミランダが玄関のベルを鳴らすと、中から白髭を蓄えた男性が出てきた。彼が執事マーリンだろうか。

「お待ちしておりました。どうぞ」

私達は館の中に入る。

通された応接間には、千加と一人の少女が待っていた。

「リオ様、グラッド様。いらっしゃいませ。」

千加の後ろに隠れるように立つ少女も、こちらをこっそりと見ている。ミゲルの面影がある少女だ。

「ほら、キキも挨拶して。」

「キキです」

千加に促され挨拶をした少女はミランダをみると驚いた顔をした。オレンジ色の瞳が大きく見開かれる。

「ミゲルがスカート履いてる」

その言葉にミランダとキキ以外の全員が笑う。

「キキ、彼女はミランダ。ミゲルの妹で私の職場の先輩だよ。」

「ミゲルの妹。顔そっくり。吃驚した」

「キキ。はじめまして、ミランダです。」

「それから、私の主人のリオ様。その隣は婚約者のグラッド様。」

千加が私達を紹介する。

「は、はじめまして」

「はじめまして」

キキが私とグラッドを見比べ私をじっと無言でみつめる。

な、なんだろう。

「チカ、これお土産。よければキキも一緒にどうぞ」

「お、ありがとうございます。ほらほらこちらにかけてください。マーリン、よろしく」

千加に手土産を渡す。席に着くと、執事がお茶を用意する。

「グラッド様、あんまり上等なお茶はお出しできないんですけど、大丈夫ですか?」

申し訳ないですと千加が言うと、グラッドがお気になさらずにと笑う。外行きの顔だ。そういう顔も好きだ。

「リオ様、あんまりそういうの考えないほうがいいっすよ。」

速攻でバレる。

「?リオは何を考えていたのかな?」

「グラッド様の外行きの笑顔に、にやにやしてるみたいです。まあリオ様は好みの中心を撃ち抜かれているので、グラッド様が何かしても大体は問題ないですよ」

爽やかな笑顔でサムズアップをかます。

「何かしても問題ないって、逆に何をしたら問題があると思いますか?」

グラッドが面白そうに返すと

「悪逆非道とかは流石に駄目っすね。浮気くらいならリオ様はギリギリ許しそうです。あ、完全に相手と揉めますからそこは理解しててください、えっとあとは酒に溺れても大丈夫で、暴力は駄目っす。束縛は大丈夫ですけど、洗脳は駄目。他に何か聞きたいことはあります?」

真面目な顔で千加がつらつらと暴露しはじめた。

「チカ!」

「まぁ今のところグラッド様は問題なさそうなので、私も安心しています。」

「リオは結構駄目な男も許せるのかい?驚きなのですが」

グラッドが驚いた表情で私をみる。私も驚きだ。

「私も知りませんよ。グラッドが初めてなのに」

全くとため息をつく私の隣でグラッドが照れる。

そうこうしている間にお茶が運ばれてきた。私の手土産もテーブルに並ぶ。キキがキラキラした笑顔でお菓子を頬張る。

「リオ様。キキ可愛いでしょ?」

千加の娘自慢が始まった。

ミゲルに似て可愛いんですと言うとミランダが嫌そうな顔をした。

「ミランダ先輩、そんな顔しないで下さいって、ほら瞳の色とかそっくりじゃないですか。あと、この目尻の」

ミゲルの瞳の色はミランダと同じ水色だ。オレンジ色ではない。

「チカ。何故それを」

千加の言葉にミランダが狼狽える。

「??へ?何故って見てるから」

「貴女の前で眼帯を外したのですか?!」

「眼帯?あ?あーやらかした。」

千加が天を仰ぐ。その行動になんとなく事情がわかった。

「透けて見えてるので、気にしたことなかった。です」

千加はたまにやらかす。

人が隠している物が隠されていない状態で見えることがある。でもそれはその人のことを好きじゃないと起こらない。

ミゲルの眼帯で隠された瞳はオレンジ色のようだ。オッドアイか、珍しい。

それにしても友達の恋愛って意外と恥ずかしい。

「透けて見えてる、それはミゲルは知っているのですか?」

「言ってません。けど気づいては、いると思う」

「他の人には内緒にしてください」

「う、すみません。」

二人のやり取りを不思議そうに見ているグラッドに小声で事情を説明する。

「ミゲルのことを想っている証拠ですか。なんだか気恥ずかしくなりますね」

「同感です」

グラッドも私と同じ恥ずかしさに襲われているようだった。

その後も千加の娘自慢は流れるように続き、今はお勉強を頑張っているんですよって言い出すとキキが真っ赤になって千加を止める。

親馬鹿だなぁ、でも意外だった。

「チカは子どもには興味ないと思ってた。」

「そうっすね。他の子どもには興味ないっす。」

はっきりと言い切った。キキも驚く。

「ママはわたしのこと最初から可愛いって言ったのに」

キキのママ呼びに動揺する。

千加がママ?!

「?キキはミゲルの子どもですので、最初から可愛いです。何か問題がありますか?」

「ママはわたしがミゲルの子どもじゃなかったら、可愛いってしてくれないの?」

「まぁ、そうですね。ですが、それは無意味でしょう?キキがミゲルの子どもであることは覆りません。そもそもミゲルの子どもでなければ出会うこともなかったでしょうし」

「そっかぁ」

しゅんと落ち込んだキキの頭を撫でる。

「何を落ち込んでいるのか、わかりますけど。一通り落ち込んだら吹っ切ってくださいね。」

「ママのばか」

「リオ様、今日のデートは楽しかったですか?」

膨れっ面のキキの文句を無視して私に話を振ってくる。

「うん、楽しかった。チカの話してくれたクリームベリーパン食べたよ」

キキが気になりつつも話をする。

服飾、雑貨、貴金属店などの店を回ったり冒険者ギルドで依頼を受けてみたりと話をするとさっきまで頬を膨らませていたキキが興味津々顔で聞いている。

「それは良かった。幸せ『オーラ』がでているのでそうだとは思いましたが一応確認しました。あ、そうだ。お二人の肌合わせの後少しお時間をいただいてもよろしいですか?」

「え、うん。わかった。けど何の話?改まって」

「それはその時に。」

千加が澄ました表情をしている時は何を言っても教えてくれないことは知っている。深く追及はせず流す。

千加が冒険者ギルドで登録した話やその時ギルド長に呼び出された話をする。

「主従揃って似たことになってますね」

ミランダが呆れたようにそう零した。

私は別に登録時には何も問題はなかった。ただ依頼完了の不正を疑われただけだ。千加は狂信関係かな?

「私の時もそうでしたよ」

グラッドも登録当時を思い出して笑う。

なんならギルド長が登録の対応をしていそうだと思ってしまった。

「それは流石にそうでしょうよ、グラッド様」

ギルド長も吃驚っすねと笑っている千加の服をキキが引っ張って尋ねる。

「何でグラッドさまがギルド登録したらギルド長がでてくるの?」

「ん?だってサイス伯爵の息子ですもん」

口を開けたままキキが固まる。説明してなかったらしい。


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