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不運な召喚の顛末  作者:
第三章
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休暇編5

ソフィアを部屋に招き話を聞く。

「下着を作製しました。こちらです。確認して下さい」

ソフィアから渡された下着は私の想像以上の出来だった。

「とても素敵です。ソフィア、ありがとうございます」

「いえ、リオ様のお手本があったからです。」

下着はセパレート式になっているが、上下共に同じような刺繍を施し今までと同じような下着にみえる。ブラの下についた布がブラとコルセットと境を隠すためだ。

これならコルセットやブラに同色の生地や似た刺繍をすれば自分にあった下着が作れる。

「ありがとうございます。」

「リオ様。興奮されていますが、落ち着いて行動をお願いします。宜しいですか?」

ノヴァが心配そうな表情で言う。

「ノヴァ?」

「先程の侍女達への態度はあまり褒められたものではありません。あれは確かに彼女達に非があります。ですが、主人が叱責すべき問題です。リオ様が指摘することは越権に見えます」

「そう、ですか。指摘、ありがとうございます。気をつけます」

「普段なら筆頭のライラが収めるのでしょうが、不在で筆頭代理が経験不足なのでしょう。はぁ頭が痛い問題です。」

「アンナがついたほうがいいでしょうに」

「リオ様。アンナは今新人教育で多忙です。それに昨日捕縛者がでて、輪をかけて忙しくなりました。」

あぁ、強烈な嫌味になってしまったようだ。

「なるほど。他に侍女達の教育を受けもてる者は?古参の侍女はまだ居ますか?」

「いえ。おりません。女性は結婚して仕事を辞す者も多く、元侍女であっても侍女として働かない場合もあり、今教育を受けもてる人物はライラ、ミランダ、オリビア、カナン、ティナと私の六人。内三人は専属。オリビアはアンナを助け教育係をしています。カナンは新参使用人をまとめていますし、ティナは使用人達の相談役です」

「どうしたら負担が軽くなるでしょうか。」

「今教育係が少ないので、私が手伝えればいいのですが」

「教育内容で教育者を替えればいいのでは?紅茶を淹れる技術でいったらイザベラは上位ですよね」

「以前はその様な教育形態だったようです。領主一族の女性が多くおりましたので」

女性の領主一族が少ない近年採用する数も少なく今のような教育体制になったようだ。ただ今年は採用数を増やした。私が婚約者として加わったからだ。そのあとにミレニアの妊娠が判明して慌ただしい状況のようだ。

「ミレニア様に提案書を出しましょう。あと侍女を一日研修として引き受けますとかどうでしょうか?一日でも余裕を生みたいです」

「リオ様の負担になりませんか?それが心配です」

「負担?違いますよ。私は対策を考える立場になるのです。そのための練習だと思って下さいね?」

「失礼致しました。」

「ソフィアも何か気づいた点があれば教えて下さいね」

「ふぇ、は、はい」

まさか自分にもお鉢が回ってくるとは思っていなかったソフィアは変な声をだした。可愛い。

教育体制変更提案書を書き上げる。

少しでも仕事量を分散させることが出来れば良い。最初から全て上手くいくとは言わないけど、少しでも改善できたらいい。

改善に改善を重ねていけばいい。

ミレニアへのお見舞いの手紙を添えて、提案書をノヴァに託す。

「ノヴァ、宜しく頼みます。」

「かしこまりました」

部屋にソフィアと二人きりになる。まだ二人きりは緊張するようで表情が硬い。

「ソフィア。私の留守中にあったことを教えていただける?」

「リオ様の留守中ですか。ライラのお見舞いにいったのですけど可愛い赤ちゃんでした。頬がぷくぷくで、ライラも幸せそうで、旦那さんだけじゃなくて上の子二人は男の子なので妹に興味津々で」

ソフィアが楽しそうに色々話して聞かせてくれる。春の宴で冒険者達をたくさんみたとか、不審者騒動があって貴族街が騒然としたことがあったとか。マウリッツからの移転してきたお店が今流行していて、他のお店も新商品開発に熱が入っててイザベラが楽しそうだとか。

「旦那様とは仲良くしていますか?」

「春は忙しくて、全然時間が合いませんでした。帰宅後はご飯を食べるとすぐ寝てしまうので、寂しい思いをしましたが、切り替えて、ここは彼の身体を守るためにと料理の研究に勤しみました。」

「料理研究ですか。どうでした?効果はありましたか?」

「ふふふ、リオ様。私、料理の才能に目覚めたかもしれません。褒められたのです。いつも美味いしか言わないのに、これを食べたいとか好きな味だとか細かく意見を言ってくれるようになって。あと身体が軽いって」

「良かったですね、ソフィア。」

「はい!他の家事はメイドに任せているのですが、料理は好きなので頑張ってよかった」

ハウスメイドは利用者の多い職だ。千加も通いのメイドがいるって言ってた。元侍女の再就職先として人気がある。

「侍女を辞めた方がまた戻ってきてくれるといいのだけど」

「領主屋敷で勤めた侍女は引くて数多らしいので難しいかもしれません」

「そうよね。」

「声かけてみたらどうですかって話したことがありますよ」

私もヒルダの紹介で勤め始めましたと色々な情報が出てくる。

「ソフィアは情報通ね」

そういうと照れたように笑う。

「話しやすい、らしいです。食堂でぼーっとしてるとよく話しかけられます。ティナさんも似たような感じですよ。」

「ティナは相談役をしているのよね?」

「はい。歳上の方なんですけど、ほわわんとした方で、とても話しやすくて。一度育児との両立が難しくて辞めたのですけどアンナ様がどうしても戻ってきてほしいとお願いして、今は相談役として色んな部署を巡回しています」

「へぇ。じゃあ、オリビアは?」

「ふふふ、リオ様。オリビア様は万能侍女です。大奥様に愛想があれば完璧と言われ、愛想を研究しに侍女を辞めようとした逸話のある方です。全力で大奥様が止めたそうです。あ、あとオリビア様は仕事をふるのが上手ですよ。愛想はカナンさんが担当してます」

「愛想担当、って何?」

「カナンさんは、めちゃくちゃ外面がいいんです。自室では無表情でひたすらぐうたらしてるってまあ本人談なんですけど。」

「おぉ、それ私に言ってもいいの?」

「新人さんも後で全員気付くので、秘密ではないです」

新参使用人の指導係で部署に振り分ける前に基礎的な研修を行うそう。ソフィアも服飾係で採用されたけどその前にカナンから指導を受けた。

「施設案内から食事の時間や休憩場所、敬語を使う前に丁寧な言葉でゆっくり話して慣れるとか、仕事に関係あるのかなぁっていう事もありましたけど、馴染みやすかったです。」

カナンに連れられて屋敷を回る際、この柱の傷はクラリス様が遊んでてつけたとか、ここのは大奥様が嫁いできた頃に夫婦喧嘩した時のとか色んな話をしてくれて、なんだか微笑ましい話を聞かされたと懐かしそうに話してくれた。

クラリスのつけた傷については記憶にある。

お転婆だったからなぁ。

「ノヴァもミランダも教育係だったのですか?」

「いえ違います。教育係ではないのですが、指導できる資格があるんです。年に一度資格試験があります。受かるだけでなくこれを更新する必要があるので、結構大変って話です。ララは今回合格したばかりなので指導はまだできません。あとニーナはめちゃくちゃ優秀ですよ。まだ十八歳なのに合格しました。来年更新できたら指導側に回れる人材です。」

「そうなのね。ほらほらお茶どうぞ、それで?」

「新人侍女の有望株は、ってリオ様!なんでお茶淹れるんですか。しかも私ばっかり喋って、申し訳ありません」

「?いいんですよ?ソフィアは話し上手で聞いてて面白いですし、それに私がお願いして話して貰ってるのだからお茶くらい淹れますよ」

駄目ですぅとポットを取り上げられた。可愛い。



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