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不運な召喚の顛末  作者:
第二章
178/605

魔法省編再び29

レイカがニコルに咲良の意志を伝えると、

「日常会話と基本的な読み書きができるようになったら神殿に移ったほうがいいかもしれない」

ということになった。

帰る為の方法を探している転移者が神殿にいるからだ。

今回はその研究の一環で外出していた為咲良は面識がない。

『へぇ、似たような人がいるんだ』

『彼女から志を同じくする転移者がいたら教えてほしいと言われているから、話を通しておこう。』

「ありがとーニコル」

『軽いな。まぁいいけど。』

『よーし、言葉と楽器作り頑張るぞー』

咲良は解体した部品を部屋に持っていく。

「帰る方法か、開示していい情報とかあるの?ニコル」

その背中を見つめながらレイカはニコルに問う。

「最終的な判断は僕がする。けど、レイカが資料室で探して僕にどこまで開示したいのか資料作って。」

「わかった。リオ、転移者の転移状況の資料はどの棚にあるかしら」

「案内します」

「レイカ、君ね」

「資料室の主人に敬意を払っただけよ」

勝手に資料室の主にされている。

レイカを資料室のある棚の前に案内する。

「ここからここまでが、転移当初の位置と元の世界での位置を研究した資料。そして、ここは神の庭を通ってきた方達の証言集です。この中には転移者以外の証言もあります。」

「ん?どういうこと」

「神の庭はこの世界と地球を正式に繋ぐ場所です。こちらの世界の方達も迷い込むんです。そして、神と出会い説明を受ける。引き返した方の証言が面白いです」

「面白い?」

「それは、読んでみると解ります」

「ありがとう、助かった。しかし本当にたくさんの資料があるのね。」

「年間の転移者総数が少ないって言っても二百年ですし、結構転移者資料の補足資料が多くて実際の資料数はもっと少ないです。あと壁側は召喚者の資料ですから」

「へぇ。流石資料室の主人ね」

「違います」

召喚課へ戻ると、レイカは紙に何かを書き始めた。すぐにそれを私に渡す。

「これリストだから」

中身を確認すると

「お土産品一覧」

「結構な量ありますが」

びっしり書かれている。

「二言はありません。」

お土産一覧をローブの内ポケットにいれる。そろそろ終業時間だ。

「ニコル先輩、明日から二週間休みをいただきます。宜しくお願いします」

「任せて。」

ブレンダンとレイカにも挨拶して、咲良にも声をかける。

『サクラさん、明日から二週間休みます。お土産買ってくるので楽しみにしてて下さい』

『あ、そっか。研修、頑張ってねー』

部品を自分のスペースに片付けている咲良に近づく。

『収納できますか?結構な量でしたが』

『んー、まぁなんとかなるっしょ』

ベッドの下に置いた箱に分類しているようだ。

『楽器の最終目標はギター、ですか?』

『そう。今はドラムが目標だから。』

『やっぱり。』

『やっぱり?なんで?』

不思議そうな顔で私を見る。

『?だって打楽器なら手で叩く太鼓が一番簡単です。なんならその箱でいいので。』

咲良が持っている箱を指差す。首を傾げた私に咲良が、

『あー、やっちまったー。リオ天才。ありがとーまじ、抜けてた。』

天を仰ぐ。

「サクラさん、ありがとう」

「『あ、やべ。』ありがとー」

つい日本語で言ったありがとうを指摘する。

「いえいえ。」

『夜も箱叩いていいか、レイカに確認しなきゃ』

ぽんぽんと箱を叩いた。陽気な音がする。

有名映画の主題歌に聞こえる。

『上手いです。』

『昔の映画だけど好きなんだー冒険心がくすぐられる。歌詞は映画の内容関係ないけど』

鼻歌を追加した。

『手は痛いけど。心の栄養は必要だし、うん。一応満足。』

咲良は小さく呟くと箱を床に置き、さっそくレイカに確認しに走った。

『まさかの事態に驚いているわ』

『私もーえへへ』

咲良は笑顔で頭をかく。

『まぁ、寝る前までなら構わないわ。それより、洗濯物取り込みに行くわよ』

「はーい」

外に出るレイカ達を見送り、ミランダと管理棟を出る。

するとブレンダンが追ってきた。

「どうしましたか?」

「本館まで行くから、途中まで一緒に行こう」

「いいですけど、本館に何しに行くんですか?」

「寮の部屋の返却書類に不備があって」

「それは大変ですね」

三人で話しながら歩いているとその途中で、ミリィを見かけた。

「あ、ミリィさんだ」

私の言葉に、ブレンダンが

「僕、ここで失礼します」

と慌ててミリィを追いかける。

「ミランダ、これどう思います?」

呆然とブレンダンの背を目で追う。

「追いかけましょうか。ブレンダンが不審者の可能性もありますので」

「それは嫌だな。行きますか」

はぁとため息をつき気持ちを切り替えてブレンダンの後を追いかける。一応姿を隠す魔法は忘れない。ミランダは足音も消している。いいな、風魔法。

「ミリィさん、あの」

ブレンダンとミリィの会話が聞こえる位置で成り行きを見守る。

「ブレンダン?どうしたの」

ミリィも洗濯物を取り込む頃合いだったようで籠を運んでいた。

「……好き、です!付き合って下さい」

「ぇ?……え?」

突然の告白にミリィは混乱しているようだった。

「いきなり、こんなこと言ってごめんなさい」

ブレンダンはあの日からずっと好きですと言葉を重ねる。

「その後も朝ちょっと話したり、ミリィさんが気にかけてくれるのがとても嬉しかった。ミリィさんが好きです」

耳も頬も真っ赤な二人に、流石のミランダも気まずそうに

「帰りましょうか」

と言った。そっと離れようとすると、

「……私でいいの?」

雲行きが怪しくなった。

「ミリィさん」

「だって、私。理由を聞いても、信じられなくて。ブレンダンが嘘ついてるって疑っているわけじゃないの、それに私もブレンダンのこと、いいなって思ってる。でも私。」

ミリィは俯き涙を流す。

「ごめん、うまく言葉にできない。」

ブレンダンは泣くミリィを抱きしめた。

「ミリィさんが僕のこといいなって思ってくれて嬉しい。もう少しこうしてていい?」

「ぅん」

二人の動向をじっと見守る。しばらくしてミリィが

「ありがとう、ブレンダン。私、やっぱり私でいいのかなって思っちゃう。でも、私もブレンダンと、つ、付き合いたい」

言葉にした。ブレンダンは笑顔で

「ミリィさん。ぇっと、これを!」

ミリィに指輪を贈る。

突発的な行動ではなかったようだ。告白するのは前から決めていたのか。

「リオ様。指輪も特に怪しい物でもなさそうですし帰りましょう」

「そうだね。良かった告白上手くいって」

今度こそその場を離れた。離れたところで気になったことを聞く。

「ミランダ、何か怪しい指輪があるんですか?」

「魔力の流れを阻害して魔法が使えない状態にする魔道具が指輪型ですし、後有名なのは毒の指輪、憂鬱の指輪と持ち主を苦しめる指輪の話があります」

魔力の流れを阻害する指輪は魔力封じの刑罰で使われる物から悪事を働く者達が作らせた粗悪品までさまざまな物が出回っているそう。

「公に使われる物は高品質で少しも魔力が使えないと言われています。粗悪品は魔力を使おうとすると痛みが走ります。ですが、痛みに耐えかつ魔道具の上限値以上の魔力を流すと壊す事ができます。そのあと医師の診療を受ける必要はありますが」

「何故それをミランダは知っているのですか?」

「試しにつけてみました」

「そんなもの、どこで手に入れたんですか!?」

冒険者として各地を旅していれば、夜盗にも遭う。女だと侮って襲いかかってきた盗賊が所持していたそう。ミゲルも一緒だったが、「だれが女だ、クソ野郎が」と荒れ狂っていたと淡々と言われても困る。

「ちゃんと医師がいる状態で試しました。中々痛かったです。指輪を左手に嵌めたのですが、魔力を使うと指から手の甲、そして腕まで傷が出来ました。少量では壊れなかったので段階を上げて試し」

痛そうな報告を聞きながら寮に戻った。


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