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不運な召喚の顛末  作者:
第二章
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魔法省編再び24

寮に戻ったら、部屋の前で待っていたミランダから

「レイカさんから今日の外出は良かったとお褒めの言葉をいただきました」

そう言われた。

「そうでしたか」

何でも咲良が会いにきたらしい。会えなかったことで事態が悪い方へ動いているとプレッシャーを与えられたと悪い顔をしていたと報告を受けた。

「レイカさんがかっこいいです」

「取り敢えず音が気にならないような対策を取っているようです。耳栓を使用しているとか」

「あのミランダ、明日は」

「休みです」

「へ、どうして」

「サクラさんに罪悪感を持ってもらいたいそうです。リオ様はあっさり許しそうなので」

「わかりました。明日も出かけた方がいいですか?」

「部屋にいてください。またサクラさんが来た時に弱った感じで対応してほしいそうなので」

「はい」

どういう状況になっているのか全貌は掴めないけど頑張ろうと一人拳を握る。

「では、グラッド様とセシルはお帰りください」

ミランダが笑顔になる。

「嫌です」

とグラッドがいうやいなや腕を掴まれ、手にした鍵で流れるように部屋に連れ込まれた。

ミランダが手を伸ばすが透明な壁に阻まれる。

ドアを閉め鍵をかける。

「グラッド」

「一緒にいたいので」

若干拗ねた雰囲気が可愛かったので許す。

お茶を飲みながら武器に刻む術式を考えたり、魔法を術式化したりして楽しく、色気はなく過ごす。

勿論一緒のベッドで寝ることになった。

先にグラッドがお風呂を使っている。何もしないけど緊張してきた。術式の本を読んでも全然内容が入ってこない。

「リオ?」

「うひゃい」

急に話しかけられ、変な声がでた。

「ふふふ、お風呂あがりました」

「はい、失礼しました」

笑われた。

自制心の強化の魔法をかけて欲しいくらいだ。加護がないからあまり期待できないだろうけど。

お風呂に入っても落ち着くことはなく、気持ちが浮ついて、いつもの自分と違う状態に戸惑う。

若干のぼせてお風呂からあがった私はグラッドから水の入ったカップを受け取る。

「すみません、」

「緊張が表にでてるリオはとても新鮮で可愛いですが、…私は戻った方がいいで」

「え?駄目ですよ!戻らないでください。」

服を掴む。ですが、とグラッドは心配そうに私をみている。その緑の瞳を見返して宣言する。

「緊張はしますけど、嬉しい緊張といいますか、えーと、帰ったら怒ります」

私の言葉にきょとんとした表情をする。

「怒ったらどうなるのでしょう」

素朴な疑問が返ってきた。

「そ、そうですね、グラッドの好きな腰を抱かせません!」

「困りました」

全然困っていない顔で言う。

「あ、あとミゲルさんとミレニア様からグラッドのかわ、んんっ、恥ずかしい話を全部聞き出します。」

「可愛いって言いかけましたよね?」

「気のせいです」

全然堪えていない。比較的ダメージの大きい手札を切ったのに。おかしい。

「怒り慣れていない感じが可愛いです」

にこにこして私を見ているグラッドに困惑する。

「なんで余裕そうにしてるのでしょうか。恐ろしい手札を切ったはずなのに」

「?恐ろしい、ですか。どの辺りが」

まだ気づいていないようだ。仕方ない最終手札も開示しよう!

「最終的に恥ずかしい話を子供の前で発表します!どうですか!?これはかっこつけの母さんが速攻で謝る父さんの切り札なんです!」

力説したら何故かグラッドが赤面した。やっとこの切り札の恐ろしさがわかったようだ。

「戻りませんから、」

「ふっふっふ。」

どうだ!と笑うとグラッドが私を抱きしめた。

「腰も抱いていいですか?」

「いいですよ。でも本当に腰が好きなんですか?」

「つい腰を抱きたくなるので、そうなのかもしれません」

「好きな腰があるんですか?」

「それはないです。好きな人の腰を抱きたくなるだけです」

「ふふ」

グラッドにくっついて、しばらく抱き合っていた。

就寝時に自制心を上げる魔法の話をしたら、やはり属性の問題でほぼ意味をなさないらしい。強化系は結構属性の有無の影響が出るそう。

緊張しながらも眠れるのは、そろそろ神経の太さだけの問題ではないような気がしてきた。

翌朝私に

「リオは眠るのが唐突ですね」

とまだ眠そうなグラッドがふにゃんと笑って言う。

グラッドは寝起きが言葉では言い表せないくらい可愛い。

昨夜の私は話をしてたと思った次の瞬間に寝ていたみたいだ。

「あはは、あ、そうだグラッド。朝ご飯作りますけど食べますか?」

「いいのですか?ありがとうございます」

休日は食堂を利用しないことも多いので食材はいつも保管している。食材庫から野菜とパンを取り出す。

ちゃちゃっと朝ご飯を用意する。お茶はグラッドに任せた。

「こんなに手早く用意できるのですね」

私はもう少し時間がかかってしまいますと感心されたが、

「グラッドも料理するのですか?」

そこに驚く。食事をしながらそんな話になった。

「その日ある食材を焼くだけです」

完全に予定のない、セシルもいない日は側務めの控え室に保管してあるパンを焼いたり卵を焼いたりする。

「セシルには感謝しています。」

何もない日は前日焼いたカップケーキが置いてあったり、不精しないで食堂まで食べに行くことと言付けメモが残っているそう。

「大変だろうと休みも別の侍従をつける話をしたこともありますが、私が休まらないのでは意味がないから気にするなと、何も用意されてない日は食堂に行ってくださいと言われています」

あと性分だから気にしないでとも言われているそう。

食事の後は何をしようかと話していると、グラッドが魔法省のローブを指差して

「ローブを着たら紛れられそうですね」

と悪戯を思いついた子供のように言う。

「完全に怒られるやつです。ローブは他人に貸したら罰則があるので」

「そうですよね」

「ですが、その理論でニコル先輩は魔導局以外に紛れて情報収集しているようです」

その後も魔法省での日常やあるあるを話せる範囲で話した。

計画をたてる練習の一環で予定表を書いていると言うと、

「それでは、今度の休暇の予定を合わせませんか?」

手を握られた。じんわりと手に汗をかく。

「はい。わかりました」

「そんなに構えないで、気楽に、ね?」

「はい。」

グラッドは握った私の手をくすぐり始めた。

「く、すぐったいです!」

「ふふ硬い表情になったらすぐ、くすぐりますよ」

「どんな脅しですか!」

「昨夜のリオの脅しとそう変わりはありません」


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