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不運な召喚の顛末  作者:
第二章
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魔法省編再び23

苦しい。胸が気持ち悪い。息が、できない。

「リオ様!?」

「み、らんだ?」

心配そうに私をみつめるミランダに、涙が溢れる。

「ミランダ、私、ミランダに、悪意に、挫けないって言ったのに、ぅ、ごめん」

「何故謝るのですか?リオ様は悪くありません」

「だって、」

「人は決心したからって急に強くなれるわけではありません。一歩一歩強くなるのですよ?」

「うぅぅぅ」

「まだぎゅーが足りませんか?」

「足りない、です」

ミランダに抱きしめられて、また目を閉じる。

苦しくて起きるたびにミランダがそこにいたから、

「リオ?具合はどうですか?」

グラッドが目に映ると自然と夢かと受け入れた。

明晰夢って見たことないけどこんな感じなのか。

「グラッド。」

名前を呼ぶと

「はい?ぎゅーしますか?」

ミランダとしたやり取りを持ち出される。やはり夢だ。

「うん。したいです」

照れたように笑うグラッドに夢の中だけど照れる。グラッドにぎゅっと抱きしめられる。あったかくて、いい匂いがする。

匂いまで完全再現とか明晰夢がすごい。

「グラッド、すきです」

「私も好きです。リオ」

耳元で囁かれ、心が温かくなる。幸せでいっぱいになる。

苦しさが和らぎ安心感に包まれる、夢の中だけど目を閉じた。

「ぅ、ん」

また眠ってたのか。幸せな夢を見てたなぁと目を開けた。

「???」

目の前にグラッドがいる。

おかしい夢は覚めたはずだ。ん???

状況が理解できない。

「リオ?まだ早いです、もっと寝ましょう」

グラッドは私を抱き寄せ、寝かしつけようとする。

声が寝ぼけてて可愛いと思った自分を叱咤して、

「何でグラッドがここにいるんですか!?」

流されず問いただせたことは褒めたい。

「チカさんが休暇を前倒ししてリオに会いにいくことをおすすめしますと言うので採用しただけです」

千加!!

「じゃあ寝ましょう」

「え、あ、あの寝れませんよ!」

「いちゃいちゃします?」

「だ、だめです」

「おや?いつもと反対ですね?」

「だ、だって。」

「だって?なんですか?」

意地悪な顔をしたグラッドが尋ねる。

「いちゃいちゃ、したら、止まら、なくなりそうだか、ら」

恥ずかしくて目を瞑る。

「私もやめる自信がありません。」

と言いつつ、グラッドが額に口づける。

首筋に触れ、襟を広げ鎖骨から胸元までなぞる。

「んっ!」

「リオ、触れていい?」

触れて欲しい。

「だ、だめ。」

「抱きたい」

私もグラッドとそういうことしたい。

でも、

「だ、だめです。ちゃんと休みを合わせて、は肌合わせするんです!」

大きめの声が出た。

「ふふ、リオは可愛いなぁ。」

「そそれに仕事があるので!」

「休んでいいとレイカさんが来ていたよ?」

「へ?」

「出勤時期はこちらで指示するからと言ってました。あとは私を見るなり、婚姻前に手を出すとかないと思いますけど何かリオが不利益を被る事態になれば容赦しないって、」

レイカさん!!

「今日は休みだから、触れていい?」

「私も、したいけど止まらなくなって最後までしちゃいそうだからだめです。」

「わかった。じゃあもう少し寝よう」

「う、うん」

動悸が激しくて寝れる状況じゃないけど、グラッドに抱きしめられて目を閉じる。グラッドの寝息が聞こえてきてからは、私も眠っていた。

再び目を覚ますとやっぱりグラッドがいた。

「寝てる」

グラッドは意外と寝るのが好きなのか、人がいてもあっさり寝られる人らしい。でも目を覚ますのが早い。

「ぅ、ん?ぁ、おはようございます、リオ」

寝惚けまなこのグラッドが微笑む。目が溶けそうなほど可愛い。威力がとてつもない。

「鼻血が出そうです。」

思わず口から出てきた。

「具合が悪いのですか?熱はなさそうですね」

額に手をあてられる。心配そうな顔に申し訳なさが込み上げてくる。

「具合は悪くないです、たくさん寝たので大丈夫です」

「鼻血は」

「すみません、興奮して出そうだと思いました」

「ふふ、良かった」

額から頬を撫でられる。頬を摘まれた。ぷにぷにされたあと、両頬とも摘まれた。何故?!

「なんひぇふか」

「可愛い」

「かふぁひぃてすか?」

何故かグラッドが楽しそうだからいいかと諦める。

「ご飯食べにいきませんか?」

「いいてふよ」

両頬を解放されベッドから出る。昨日の格好のままだ。

「グラッド、お風呂に入ってきてもいいですか?」

「ええ。構いません。」

素早くお風呂にはいる。支度を整えて出ると、グラッドが楽しそうにグラッドブロマイドを見ていた。写真立ての面を変えたりして興味津々の様子だ。

忘れてた!

「ぐ、グラッド」

「おや?早いですね。もう少しゆっくりしても良かったのに」

「それはですね」

「ああ、チカさんが作成した『ブロマイド』という物ですよね?私もリオのブロマイドを貰いましたよ」

?なんだって?

「わ、私のブロマイドですか?因みにどういった私を」

主にグラッドの記憶から抽出されたようだ。寝顔だったり、刺繍している時の横顔、いつもの無表情だったり、家族の話をしている私と聞くだけで恥ずかしい。

「チカさんから、召喚前のリオのブロマイドもいただきました。あと、」

「あと?なんですか?」

「いえ。間違えました。」

視線を逸らしたグラッドにふと兄貴の言葉を思い出す。

『男の秘密は暴いてはいけない』って兄貴も言ってたな。なんのことかさっぱりだけど、これは秘密だろうか?

取り敢えず流そう。

「召喚前の私ですか。あまり似てないから」

「?今のリオと似た雰囲気がありますし、お父様とよく似ていらっしゃいました」

「へへ、恥ずかしいです。あのグラッドの支度は」

グラッドは髪の毛も整っているし、服も皺がなくなってる。

「ちょっと便利な魔法の使い方をしまして、」

「なるほど。じゃあ行きましょうか、食堂で食べますか?」

「目立つので外に行きましょう。おすすめの料理店を案内します」

隣りの部屋のミランダに声をかけると、セシルがでてきた。

「グラッド様がついているので行ってきて構いませんよ」

「ミランダは、大丈夫ですか?」

セシルが出てきたので具合が悪いのかと心配になる。

「?元気ですよ?寝てるだけです。ミランダは私がいると全部私任せなので、驚かせて申し訳ありません。」

「そ、そうでしたか。では出掛けます」

知らない事実にドキドキする。

「はい。いってらっしゃいませ」

グラッドと手を繋ぎ出掛ける。魔法省の本館前を歩いているとすれ違う人がこちらをみてくる。

「何か私浮いてませんか?武器も下げてるし」

「?そうですか?とても似合っていますよ。では私も武器を下げればいいでしょうか」

というとグラッドの腰回りに金属製のベルトが現れた。そしてそこには剣を差している。

「中遠距離なのに」

「地味ですからね。」

門を潜る時にやっと気づいた。

門番の女性職員がグラッドに釘付けだった。

ん?じゃあさっきのはグラッドを見てたのか、恥ずかしい。自意識過剰気味だった。

「どうしましたか?」

「いえ。自分の自意識過剰気味な思考が恥ずかしくなって。みんなグラッドを見てるのに」

「そんなことはありませんよ?ここにくるまでに貴女を見ていた男性職員もいましたから若干威圧をしてしまいました」

「可愛い」

「私のセリフですが」

二人で街を歩くのは初めてだ。

グラッドのおすすめ料理店に向かう。その後も王都観光を楽しんだ。


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