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不運な召喚の顛末  作者:
第二章
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魔法省編再び19

レイカはアランを呼びつけた。

「どうした?」

「リオのことで話があるの」

「リオさんの?」

「そうよ。これから先の転移者にリオの事情は話さない方針ですすめるわ。それを覚えててほしい。」

アランは少し考えて問う。

「理由を聞いても?」

「私のような境遇で連れてこられる人間があの子を責めないためによ。ジャック様が異国から呼び寄せた、この世界の貴族の女性。多少気安くて地球の文化への理解があるけど、この世界の人間だと教えるわ。召喚課で転移者支援をするなら必須の知識だって」

「なら俺たちに知らされた理由は、」

アランの当然の疑問にレイカはすぐに答える。

「あの子のためよ」

「リオさんのため?危険じゃ」

「あの子の事情を知ってる人が近くにいなかったからよ。ニコルだけではフォローし切れないから、私達にやむなく教えた。私達にこの世界での信用度がないから、例えば他所で吹聴しても揉み消せるし事故に見せかけて殺すことも可能だし」

ニコルとジャックの考えだろうとレイカは思っている。

「ジュリエットさんが知らないのは、」

「彼女は貴族だから。私達より発言力があるから危険が大きい。だからよ」

アランは黙る。

「多分ニコルに説明されると思うけど、先に伝えておくわ。先に考えていたのとそうでないのでは印象も信用も段違いだからね」

「わかった。」

神妙に頷くアランにレイカは

「難しく考える必要はないの。難しく言っちゃった感があるけど内緒話を関係ない人にやたらめったらと話さないのと一緒よ」

笑顔をみせた。

その話し合いのあと、アランはすぐにニコルからレイカと同じ話をされた。

「レイカはすごいな」

「へ?どうしたの?」

「いや、」

ニコルにレイカから言われたことを伝えると、

「アランよく聞いて。」

急に真剣な表情になる。両肩を結構な力強さで掴まれた。

「他の奴に掻っ攫われないように気をつけること!」

「はぁ?」

「ここにいる奴等は基本的に賢い奴が集まってる。例外はいるけど!そしてそいつ等は、賢い女性が好きな傾向にある。例え魔力がなくとも愛妾にと望まれる可能性はゼロじゃない。指輪してるから大丈夫だと思うけど注意すること」

「わ、わかった」

「はぁ、心配になってきた」

ニコルはこんなに心配なの初めてだよと呟いた。

魔力のない人間が魔法省の下働き以外で働くことがまず初めてでかつ、召喚者と呼ばれる人物と仲良しなんて心配事がいっぱいらしい。

「いや、転移者にも色々な人間いただろ。」

アランの言葉にニコルは視線を逸らした。

「僕が初めて受け持ったのは男性の転移者で、めちゃくちゃ向こうにも自分にも未練のかけらもなかった。死にそうだなって思ってたけど言葉を覚えてからは、さっさと自分のやりたいことみつけて出て行った。その次は怯えた女性、レイカみたいな被害にあった人だったけど、とある貴族にみそめられ本人の希望もあってさっさと出て行った。サイスで保護された人達は基本的に楽観的というかちょっと心配の種類が違うと言うか」

あまり心配で胃が痛いなんて経験したことがないと言う。

「そうなのか」

アランは内心神経図太そうなのになと思いつつも頷く。

「転移者の出身地が偏ってるからずっとそうではないけど、近年は多い。」

「偏っているのか?」

「うん。建国当初はエジプトとかイスラエル、トルコ、中国

、ペルー辺り」

それから時代を経て、フランス、スペイン、ドイツ、ロシア、近年はアメリカ、日本、イギリスに偏っている。

「確認されていない地域はこれから来ると思うか?」

「可能性はあるよ。または、建国以前か。」

「地域の偏りか、なんでここなんだろうな」

「わからない。アランは検討つく?」

「さあ。なぁ、このエジプトって本人がエジプト人だって言ったのか?間違いじゃなくて」

「王様の名前を叫んでたらしいよ。それを初代シノノメ侯爵が、彼はエジプトからきたらしいって言ったのが最初。」

彼が同胞だと証言した転移者もいたし、都市の名前で判別していた転移者もいる。

「王の名前で判別できたってことはシノノメ侯爵の知識は凄いな。二百年前ならアリー朝か?それとも、別時代の、ニコルその証言って残っているのか?」

「いや、建国当初は混乱期で殆ど概要しか残ってない。気になるならリオさんに聞いて。大分資料は読みすすめているらしいから」

「わかった聞いてみる。ニコルはあまり歴史探究とか興味ないのか?」

今の会話だけで大分知的好奇心がくすぐられている自分とは違いニコルは興味がないようだった。

「んー、まぁ別の世界の歴史だし。それに元々歴史に興味がない。家庭教師に呆れられたなぁ」

流石に自国の歴史くらいしっかり勉強しろって詰め込まれたなぁとぼやくニコルに

「苦手なことあったんだな」

驚く。

「歴史全般は本を丸暗記した。剣術も駄目だな。」

それからダンスも下手だし、音楽もだめ、絵も苦手と指折り数えはじめた。

「意外だ。ニコルはなんでもできるんだと思ってた」

アランの素直な感想にニコルは自嘲した。

「アランやレイカがしっかりしすぎなんだよ。あの三者面談合格したんでしょ?僕は無理だったし、今もあれ合格してないと思ってる。オスカー先輩も局長も仕方ないなって顔してたし。召喚課が人員不足の時期だったから、」

「そうじゃないと俺は思う。」

遮るように大きな声で言ったアランを

「アラン」

ニコルは驚いた表情で見つめる。

「甘め合格でも合格は合格でいい。俺はニコルがいてくれて良かった。程よく距離を置いてくれたし、レイカやクリスと協力するように言って輪の外でみててくれたから、今自分の足で立っていられる、んだと思う。」

ニコルは恥ずかしいとしゃがみ込んで

「アランがリオさん化してる」

茶化しにきた。

「うるさい。」

「アランに泣かされたってレイカに告げ口してやる」

耳が真っ赤だから全然本気に聞こえないし、

「絶対ニヤニヤされて流されるだけだからな。やってみろよ」

大分混乱しているのが手に取るようにわかった。


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