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不運な召喚の顛末  作者:
第二章
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魔法省編再び16

「それじゃあ。始めましょうか」

レイカの号令で魔道具の外装の分解作業を開始する。

「リオもブレンダンもミランダさんも、途中使えそうな魔道具の部品があれば避けるのを忘れずにね!」

レイカは慣れているのか恐ろしく速い速度で分解していく。ブレンダンも私も慣れると速さがでてきた。

ただ

「レイカさん。私では戦力になりません」

ミランダが苦手な分野だった。本人も愕然としている。

「ここまで役立たずだったとは」

と悔しそうだ。

「えーとじゃあ、お金になりそうな部品は判別つくかしら?」

「それはわかります」

「分解したものを金額別にいい値、まあまあ、だめの三つにわけていって。大雑把で構わないから。それが終わったらまた声をかけてください」

「では開始します」

さっきとはうってかわって活き活きとしている。

「一括で持っていくと買い叩かれるから判別できて良かったわ。」

ミランダは武器、道具の値段も一目見てわかる特技があるからうってつけだ。

それから黙々と作業を続ける。

「一旦休憩にしましょう」

レイカは私達が使えそうと避けた部品を覗く。

「これは、」

「レイカさんが作ろうとしている魔力を溜める道具の外装に使えるかなって」

カード型の外装。最終目標がよくわからないけど、ICカードみたいだなと避けていた。

「僕もこれくらいの大きさなら術式組みやすい」

「あとは、こっちのちっちゃいルーペっぽいものとか。何かに活用できそう、何かは思いついてませんけど」

大きな外装に使われていた小さな部品を集めた箱をレイカに渡す。

「僕は腕輪、靴底、指輪、髪飾りの一部、ペン、ボール?使えるかなと思って」

大きい魔道具が多い中、小さい魔道具は珍しいとブレンダンが言う。

指輪サイズは滅多にない。小さいと術式も総じて小さくなるし、効果がより限定される。言ってしまえば魔道具にする意味がない。

「ある程度の大きさがあるとよりいいわけね。ありがとう、このカード型とルーペ?、ペンと腕輪は私が預かるわ」

昼食の後も作業を続け、外装の入った箱が明らかに減った。

半分とはいかないが三分の一は減った。

途中からミランダは未開封の箱の中身を確認する作業をしていた。その中で見つけた高価な素材が使われている外装を別の箱にまとめ始めた。

「流石一級冒険者」

ブレンダンが感心していた。

細かい作業が多いため、目、肩、腰に負担がある。大きく伸びをして固まった身体をほぐす。

「お疲れ様。あとはこれを魔道具局に持っていって買取してもらわなきゃ。」

と言うレイカにミランダが

「ギルドに持ち込まないのですか?」

尋ねる。確かにもっとお金になりそう。

「それだと横領になるんですって。ニコルが言ってたわ」

「ニコル先輩、やろうとしてたのか」

箱を階下に運び、アランが用意してくれた台車に積む。

魔道具局にはニコルとアランが持っていく。

分別されてるから楽しみだと悪い顔をしていた。しかも白衣ではなくわざわざローブに替えているあたり人が悪い。

「三人はもう帰っていいわよ。」

管理棟の玄関先でレイカと別れる。

「はい。お疲れ様でした。」

「あ、リオさん。ちょっと待って。休みの申請の返答がきたから、はいどうぞ」

帰ろうとした私の後ろからオスカーが追いかけてきた。手渡されたのは、休暇申請の用紙だった。

夏の始まりから二週間。申請が通ったようだ。

「ありがとうございます。オスカー先輩。」

「構わないよ。そうだ伝えておこうかな。ブレンダンの飲み込みが早くて、僕達の出発が早まりそうなんだ。三日くらいで出発しようと考えているから」

まだ二日しか召喚課で働いてないのに、信じられなくてブレンダンを凝視する。

「リオさん、見過ぎだよ」

オスカーに苦笑される。ブレンダンは顔を背けている。

「すみません。信じられなくて」

「ニコルもいるし、流れさえ掴めれば出発しようと思っていたから。」

「教えていただきありがとうございます」

クリスから贈り物をもらった者としてお返しに気合いをいれなくては。

寮に帰りながら、クリスに何を贈るか考える。

私だけでは良いアイデアはでなさそうだったので二人に早々と相談した。

「クリスさんはくまさんがお好きですから、ぬいぐるみでしょうか」

「でもクリスくんは貴族になるから」

テディベアの好きなクリスのことだ。喜ぶのはわかっている。が、ブレンダンの言うこともわかる。

「そうでしたね。あの歳の子供が何を喜ぶのかわかりません。」

「難しいです」

下に弟妹がいないから想像もつかない。二人で首を傾げる。

「リオさんとミランダさんは子供の頃嬉しかったことって何かありますか?」

ブレンダンからの問いにミランダは

「嬉しかったこと、ですか。初めて武器を買ってもらったことでしょうか」

らしい答えが返ってきた。

「私は、うーん。父の調子が良い時に家族で出かけたこと、かな?公園でも買い物だけでも嬉しかった、です」

父さんは調子が良い時は仕事で外に出ていることが多かったから余計に嬉しかった記憶がある。

「それにしませんか?街に買い物に出掛けるってどうでしょうか」

ブレンダンの言葉にミランダと顔を見合わせる。

因みにブレンダンの嬉しかった事は弟ができたことだった。

翌日オスカーに相談した結果、あっさりお出掛けが決定した。

出発の前日、明日出掛けることにする。

資料室で観光地図をオスカーに見せる。

ルート確認をして、剣術を教えているミランダからは武器を見繕いたいと申し出があった。

「冒険者ギルドにも興味があるようだったので連れて行きたいです。」

「クリスのこと考えてくれてありがとう」

「いえ。お礼はブレンダンに言ってください。私達だけでは何を贈ればいいのか検討もつかなかったので」

「そうなんだ?わかった、後でお礼しておくよ」

地図を見たオスカーがアクセサリー店を指差した。

「このお店って立ち寄ったことある?」

「はい。一度行きました。お金もなかったのでみるだけでしたけど」

「比較的手頃な値段で購入できる店です。店構えは怪しい店ですけど、店内は普通です」

「手頃な値段か。何でかな?金属の質がよくない?」

「宝石を使用しない分、手頃なだけです。金属部分だけ、あとは宝石ではなくガラスをあしらっているので値段が抑えられているといったところでしょうか」

ミランダの説明にオスカーが関心を寄せる。

「へぇ。寄りたいな」

「あのオスカー先輩。コランダムに行ってその後はどうするのですか?召喚課は」

ニコルがクリスはオスカーと生活するように、離れて暮らすと言っていた。短期間ではないのだろう。

「仕事は辞めないよ。でもコランダムにある家も放っておけない。一、二年はコランダムで過ごす予定だ。貴族としての教育も受けさせないといけないから。たまには召喚課へ顔を見せにくるけど生活基盤は一度コランダムに移す。」

「寂しくなりますね」

「ニコルが荒れそうです」

ミランダの言葉にオスカーは苦笑する。

「そうだね。不甲斐ないことにまだニコルに指輪を贈れてないんだ。」

「なるほど。結婚指輪ですか。」

「派手な物は嫌がられるから、落ち着いた物を探したいし。」

なるほど。だからアクセサリー店か。

「オスカーはそこのところ、抜かりないと思っていました。意外です」

「外見が派手だから?もっと上手く出来なかったのかと元彼によく言われたなぁ。」

「失礼致しました。失言でした」

「いやいや。いいって。ニコルはそういうのを元々求めないから無理なく自然体でつき合えているし、って惚気だね。これ」

「面白いので構いません」

珍しくミランダが面白がっている。

「無表情でそんなこと言われても、ね」

まぁ確かに。



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