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不運な召喚の顛末  作者:
第二章
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魔法省編再び12

レイカが難しい顔をしている。奥の部屋から

「リオ。ちょっときて。」

手招かれた。

「はい、なんでしょうか」

部屋に入るとベッドの位置が変わっていた。

「家具の配置についてですか?」

ミランダがドアを閉めるのを確認して、レイカが口を開く。

「違うわ。ちょっと聞きたいことがあるの。……リオは不運体質で物に不運が移るって言ってたじゃない?」

私を呼んだ理由がわかった。

「はい」

「それって今でも手に入る?」

「どうして必要なんですか?」

レイカには私の不運体質の話はしている。どういう事が起きるのかも。それでもあえて必要とするのは何故か。

「……加護無しの人でも魔道具を使えないか、考えてるの。管理棟は加護、魔力ありきの設備だから加護も魔力もないと生活自体が厳しいの。」

加護のない転移者は一定数いる。ただ近年は皆何かしら加護を持っている転移者ばかりだった。

魔力を持っている転移者は稀だ。十人の転移者の内、一人いるかいないかぐらいの割合。

「以前はどうしていたか、資料が残っていましたけど」

慎重に言葉を選ぶ。

「残ってた。私も読んだわ。でも不便」

「確かに『現代人』が転移してくるなら大分不便だとは感じました。でも設備は変更できません」

資料に加護無し転移者の生活について書かれた物があった。

様々な不便があったが灯りはなんとかなる。御手洗いが一番の問題だった。それを補うために水のこまめな補充が職員に求められる。

「その資料に沿って試してみたの。大変だったし、気を遣う。準備する側じゃなくて、される側が気を遣うから、そこを改善したい。その方法を、探したい」

便利な生活を送ってきた人間がいきなり異世界にきて不便な生活を強いられる。当たり前にしていた事ができない。考えているよりも負担が大きい。

「どんな風に活用しようと思っているのか、聞いてもいいですか?」

「指示棒の先にそれをくっつけて、魔道具のスイッチを押すとか。」

「なるほど。」

「レイカさん、少し宜しいですか?」

ミランダが挙手した。

「はい」

「魔法省の施設は魔力でも魔道具が使えると言ってましたが、両用の魔道具で間違いないですか?」

「あ、それは間違いないわ。ジャック様に直接聞いたから」

魔力持ちの加護無しという特殊な転移者がいたので、管理棟の魔道具はそれに変更したと資料にもあった。

「なら使える方法があります。」

と言うとミランダは手のひらにビー玉ほどの玉を生み出した。

「これは魔力弾です。先程言っていた指示棒に取り付けて魔道具に当てれば使えます。」

「魔力、それって保管できるの?」

「特殊な術式を組めば可能です。複雑で一般的ではありませんがブレンダンなら組めるのではないかと思います」

「ありがとう、ミランダさん。頼んでみる。それと、リオごめんね。嫌なこと頼んで」

レイカが申し訳なさそうな顔で謝る。

「いえ。なんの力にもなれなくてすみませんでした。」

「いいの。私の方こそ自分で考えたかったから準備案にリオを関わらせなかったのに都合よく利用しようとした。ごめんなさい」

「レイカさん。……仕方ありません、アランとどんな話をして付き合い始めたのかを教えてくれたら許しましょう」

神妙な物言いでそう伝えると、レイカが真っ赤になった。

口をぱくぱくさせている。しばらくの沈黙ののち喋りだした。

「先生の夢を諦めないといけないかなって、アランが泣いたから私が、此処で転移者からの知識を補ってまた挑戦すればいいって言って、その」

声が尻すぼみに小さくなっていく。

「慰めてたら、いきなり指輪を」

「おお」

「うるさいわよ。俺はレイカに助けられてばかりだなって言われてその。俺もレイカを助けたいって…指輪も前から渡したかったって…これでいいでしょ!!」

「アラン、頑張った」

優しいけど照れ屋だからはっきり言えたのか心配だった。私を手本にしたとは言ってたけど驚きはしたが、あんまり信じてなかった。

「話した私の事を褒めなさいよ」

レイカに怒られる。

「はぁ、もういいわ。ミランダさん。その魔力弾?貸してくれないかな?試してみたいの」

「はい。どうぞ。」

「消えたりしない?大丈夫?」

「はい。しばらく留まるように作っています」

ミランダから魔力弾を受け取るとレイカは近くにある灯りの魔道具のスイッチ部分に押し当てる。

灯りがつく。

「ちょっと待ってて」

レイカが棚を探る。細長い棒を二本探しだし、魔道具のスイッチを消す。もう一度魔力弾を、今度は棒で挟み当てる。

灯りがついた。

「すごいです。ミランダ、どうして知っていたんですか?」

「加護も魔力もない師匠と一緒に暮らしていたので、魔道具を使いたい時は私かミゲルが動かしていました。ある日ミゲルが面倒くさがって投擲でなんとかしようと魔力弾を、当ててみたら使えたので、」

ミゲルさん!!

「残念な兄のおかげです」

「興味湧くわ、ミランダさんのお兄さん」

「口が悪く大体の女性とは喧嘩になりますので、会うのはおすすめできません」

ブスって言われたのを思い出した。そんなミゲルと付き合ってるとか千加すごいわぁと心の中で感心する。

「あら、そうなの?兄妹似るとか言うけど似てないの?」

「外見以外は似てません」

「へぇ。ちょっと真似てみて」

興味津々のレイカの無茶振りにミランダはため息を一回つくと、ミゲルの振りをしてくれた。

結果レイカは「ミゲルと出会っても関わらないわ」と宣言した。

部屋から出るとすぐにレイカは机にむかっていたニコルに先程の話をする。

「そんなことしたの?」

愕然とするニコルに一般的な方法でないことが判明する。

「魔道具壊れなかった?」

「加減を間違えて何度か壊していました」

「うわぁ。魔力で動く魔道具は高いのに」

壊れた魔道具を思ったのか苦い表情で言う。

「あれは痛い出費でした。ミゲルが」

二人の会話に危機感を覚えたのかレイカが

「大丈夫よニコル。ペンくらいの長さで首からかけて使えば加減を間違わないわ」

すかさず補足する。

「まぁ、その案は採用しよう。ペンは僕が工房に依頼しておくから図案だけ提出して。術式はレイカがブレンダンに頼んで」

「わかったわ。ありがとう」

「いや。僕のほうこそ助かったありがとう。あ、それとこれ、もう少し練り直して」

ニコルはレイカに準備案の一部を戻す。男性向けの準備案だった。転移者ができる仕事についての部分だった。

「わかった」

レイカは準備案を抱きしめ、呼吸を整えてブレンダンの元へ向かう。そっと近づき、控えめに声をかける。

「ブレンダン。少しいいかしら。」

「え、あ、はい」

「術式について相談したいことがあるの。」

「どんな術式ですか?」

「魔力を保管するための術式なのだけど。ミランダさんが、複雑で一般的ではないけど貴方なら組めるかもと言っていたの。術式を組むことは可能かしら」

「魔力を保管。大きさはどのくらい?」

「これくらいね」

レイカが親指と人差し指で円をつくる。先程のビー玉くらいの大きさをブレンダンにみせた。

「わかりました。すぐには無理なので、時間を下さい。一週間くらい」

「ありがとう。でもごめんなさい、召喚課勤務初日から色々大変なのに頼んでしまって」

「い、いです」

ブレンダンは首を横にふる。俯いたまま、ぼそっと言う。

「ニコル先輩からレイカさんを助けて欲しいって言われてるから」

「そうなの?ふふ、じゃあお願いしちゃおう。宜しくね、ブレンダン」

「うん。」

二人のやり取りを見ていたこっち側の反応が面白かった。

アランはやきもち焼いてるし、ニコルは照れてそっぽ向いている。クリスとオスカーはニコニコで私はにやにや。

ミランダは安定の無表情だ。


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