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不運な召喚の顛末  作者:
第二章
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魔法省編再び10

武器工房では、実際に自分に合う武器の診断をしてもらった。厳つい顔のおじさん職人と武器を選ぶ。

「重量は軽いが切れ味はいい。だがな、耐久性はないから安易に剣を受けると折れるのが難点だな」

女性冒険者に人気の剣を試してみる。軽いなぁ、ミランダにすぐに弾かれそうだと思った。

「なるほど」

ミランダは工房内の武器を棚の端から一つ一つ手にして試しに振っている。

「女性冒険者は投擲も多いが、どうだい?」

「あ、それは結構です。」

「弓は」

「結構です」

「苦手か」

「すみません」

武器工房の職人とあれこれ様々な武器を試し一番しっくりきたのは細身の片刃剣だった。刀っぽいなと思っていたら、転移者の職人が鍛えた品だった。

「結構重量あるが大丈夫か?」

「そうですね。でもこれが一番安定して振れるのでこれにしたいです。これを作った武器職人さんの工房って何処にあるんですか?」

「ん?ああ、ここで働いてる。呼んでくるから待ってな。」

おじさんは奥へ入っていくとすぐに同年代の職人を伴って戻ってきた。

「お嬢、こいつがその剣を作っている。マサアキだ」

「初めまして」

「よろしく」

言葉少なめに挨拶をした男性はマサアキと紹介された。日本人だ。四十代後半から五十代前半くらいだろうか。黒髪に白髪が混ざっている。

「お名前は、マサアキさんとお呼びすればいいですか?」

「ああ、かまわない」

話し方は少したどたどしいが通じる。

「貴方の武器を使いたいです。他に種類はありますか?」

マサアキが聞き取り易いようにゆっくり話す。

「お嬢さん、ありがとな。ちょっとまってて」

武器収納庫へ入ってすぐ戻ってくる。手には複数の剣が握られている。

「お嬢さんの体格にあった、『刀』だ。ためしてくれ」

刀。やっぱり刀なんだ。

刀を片っ端から手に取り確かめていく。握り、重さ、振りやすさ。数ある中から、一本を選ぶ。

「これがいいです。」

「わかった。これをむこうの『レジ』あー会計課にもっていって」

「ありがとうございます」

「気遣ってくれてありがとう」

マサアキが頭をかきながらそう言う。

「?」

「ゆっくり話してくれて、助かった。」

「また来ます」

気づかれていたようだ。恥ずかしい。

選び終えた私とは別にミランダはまだ棚の前にいる。

帯刀するためのベルトも別売りであると教えてもらったのでそれも一緒に会計課へ持って行き、支払いを済ませる。

「こちらは武器職人から手入れの方法が書かれた説明書です。ご一読ください」

「ありがとうございます」

「あのぉ、マサアキさんとはお知り合いですか?」

対応した職員から尋ねられる。

「?いえ、初対面ですが、何か?」

「すみません。マサアキさんが楽しそうだったのでお知り合いかと。説明書とかも初めて見たので」

「そうなんですか。御礼を伝えて下さい。助かりましたと」

刀を差し、会計課から棚の前のミランダの所へ戻る。

「ミランダ。武器を購入するのですか?」

「違いますが、初めてギルドの武器工房にきたのでいかほどのものかと思いまして」

「私はこれにしました。『刀』と言います。ミランダは普段何を使っているのですか?武器見たことないのですが」

「私ですか?大ぶりのナイフです。これです。」

腰に差しているナイフを指差す。

「え、ナイフで接近戦?!」

「はい。一撃で殺せば問題ないので」

「そ、そうですか。驚きです」

「リオ様は良い買い物ができましたか?」

「はい。」

「良い代物に出会えたのなら良かった。では行きましょうか?」

「はい。次は解体屋に行きましょう」

武器工房の次は解体屋へ向かう。

が、すぐ退散した。臭いも凄いが、実際の解体作業を目にして衝撃的で目眩がしたため、早めに見学を切り上げた。

「慣れですよ。リオ様」

「は、はい。精進します。」

クラクラする頭をおさえ、冒険者ギルドに戻ってきた。

その隣の資料館へ入る。

「ここは最新の資料がいち早く追加されるので、王都にきた際にはよく利用していました。」

ミランダが資料館の中を案内してくれる。

ここは窓口もなく、入り口にギルドカードを差し込む魔道具がありギルドカードで入館を管理しているようだ。

資料の豊富さに比べ冒険者の利用率は低い。

「ギルド上位者の利用率が高めです。情報の大切さを知ってる人達しか利用しません。利用しないなんて理解し難いです。こんなに膨大な資料を読めるなんて得しかない。これだけの情報を調べようと思ったらどれだけのお金と時間がかかるかわかりませんから」

ミランダの言う通り沢山の資料が並んでいる。しかもちゃんと分類されて並べられているから目的の資料も探し易い。

「こんなに沢山。」

棚を見回して館内を歩いていると、

「ミランダ?久しぶりだな」

一人の男性に話しかけられた。眼鏡をかけた知的な印象の男性だ。金髪碧眼、薔薇の花の似合いそうな容姿をしている。

「レイモンド。久しぶりです。お元気そうでなによりです。では」

ミランダは挨拶だけすると踵を返した。

「ちょっと、待って!冷たい!流石に酷い」

嘆く男性を完全に無視して歩を進めるミランダについていきながら尋ねるも

「ミランダ、あの方はどなたですか?」

「記憶を消してください。」

何もわからなかった。

ミランダは資料館を出る。

「ミランダ、流石にあれは酷いのでは?知り合いですよね?」

「知りません」

「レイモンドと呼んでいたではありませんか」

「気のせいでしょう」

「じゃあ戻って確かめてきます」

資料館へ戻ろうとする私の腕をミランダが掴む。

「リオ様。駄目です。あれと関わると時間の無駄です。今日は帰りましょう」

「教えてくれてもいいじゃないですか」

「教えますから帰りましょう」

足早にその場から移動する。

「あれは王都の冒険者の中で最も面倒臭い人間です。話が無駄に長い。こちらが知識で勝てばムキになり、聞き手に徹すればこれ幸いと延々と喋り続けます。その内容は資料館で探せば出てくるもので、絶対関わってはいけません。」

実感のこもった力説に思わず頷いた。

取り敢えず今日は寮へ戻ることにした。


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