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不運な召喚の顛末  作者:
第二章
158/605

魔法省編再び9

ジュリエットが出発した次の日、私とミランダは冒険者ギルドにいた。最初の予定から随分時間が経ってしまった。

ジュリエットが婚約を決めた日、ミランダと話し合い、もし何かあるなら無闇に出かけないほうがいいと、ジュリエットが出発するまで昇級試験を延期することを決定した。

結果的に何もなくジュリエットは出発した。

「昇級試験を受けます」

窓口に声をかけると、職員の女性が一枚の用紙を取り出した。そこには、昇級試験の内容が書いてある。

「こちらの中から一つ選んでください」

採取と狩猟の依頼ばかりだった。

どれも経験のある内容ばかりだった。

「全部受けたことのある内容ですが、問題ありませんか?」

一応確認すると、職員は慌てて私のギルドカードを確認した。

「リオ様、失礼致しました。こちらの用紙から選んで構いません」

「わかりました。では、こちらのイバの採取にします」

「かしこまりました。では、イバを10株、三日以内に採取してきてください」

「はい」

冒険者ギルドを出て、すぐに王都の外へ向かう。

「ちょっと拍子抜けしました。試験っていうからもっと特別な内容なのかと」

「私もです。王都で昇級試験を受けたことがなかったので知りませんでした」

ミランダも頷く。

新人冒険者の受けられる依頼の中では難易度の高い依頼ではあるが達成出来ない内容じゃない。

「へ、じゃあ別の所は試験内容が違うのですか?」

「はい。コランダム、サイス、マウリッツで昇級試験を受けましたがどちらも依頼とは別の内容でしたから」

新人からの三級への昇級はマウリッツで、採取と狩猟を同時に受けて達成するという内容だった。

「なるほど、だから私にも二つ同時に受けさせたのですね」

三級から二級はサイスで、採取、狩猟・魔獣討伐と調合、術式実験助手など試験内容が多数ありその中から違う種類の依頼を受け、その合計点で判断された。

「同種依頼は受けられないので、依頼内容の偏った冒険者は苦労します。サイス領には採取に特化した二級上位の冒険者がいますが、彼は二級に上がる時が一番大変だったと話していました。調合の技術を磨いたので、合格できたそうですが。まぁ今ではサイスでも人気の薬屋です」

「あ、イザベラから聞きました。」

「ほう。では何が足りないと言っていましたか?」

「たしか冒険者のことしか考えてない割に量が少ないと」

「イザベラはすごいですね。彼は冒険者のための薬屋ですが、怪我の多い冒険者からしたら薬の量が少ないんです。高品質なのですが、すぐに無くなる。だからよほどのことがないと彼の薬には手を出しません」

怪我の治りや解毒の速さが他の薬と比べて格段に速くても、普段使いし辛い。値段も高い。

「彼曰く今の段階で効力を維持できる量らしいので技術向上が待たれます」

二級から一級はコランダムで、戦闘試験だった。

「一級にあがる試験もサイスで受けるつもりだったのですが、ミゲルがコランダムで受けると言い出してコランダムで受けました。所属がサイスなのでサイスの一級冒険者ですが、サイスの一級昇級試験は受けていません。後日試験内容を確認したのですけど、コランダムで受けた物と遜色ありませんでした」

「戦闘試験ですか、」

「対人、対魔獣選べますよ」

因みにグラッドも一級冒険者の試験を受けて合格しているそう。流石に公表は控えているが。

王都の外で採取試験を始める。

以前もこなした内容なので戸惑うこともなく、丁寧に採取することを意識して行う。

そしてさっさと冒険者ギルドの窓口に戻った。

「おめでとうございます。本日からリオ様のギルドランクは三級でございます。三級の依頼が受けられます。それからこれは三級冒険者が使用できるギルドの施設一覧でございます。何かございましたら、ご利用下さい」

職員からギルド施設一覧を受け取る。

「ありがとうございます」

ミランダと一緒に三級の依頼内容を確認してひとまずギルドを出る。

「三級から採取狩猟以外の依頼が増えるのですね。確か、情報収集、失せ物探し、探索、調合、店番、討伐。」

「他にも癖のある依頼があります」

「冒険者って感じがします」

「では、施設確認に行きましょう」

「はい」

三級冒険者が使用できるギルド施設。

ギルド公認解体屋、調合施設、武器工房、資料館の四種だ。

用紙には使用注意や地図が書かれている。

「解体屋はその名の通りです。依頼ではない解体も三級冒険者であればお願いできます。」

「調合施設は正門側にあるのですね」

「こちらは薬屋も併設しているので人通りが多い正門付近にあります」

「武器工房に資料館、資料館はギルド内にありそうでしたが他の建物なのですか。」

「ええ、資料館はギルドの隣です。武器工房は自身に合った武器のアドバイスなどをしてくれる所です。素材の買取もしてくれます。さて何処から行きましょうか」

「じゃあ調合施設をみたいです」

「では行きましょう」

調合施設の見学に向かう。正門近くの大きな薬屋がそれだった。大きな窓が店舗についていて冒険者らしき人とそうではない人達が入り混じり店内で買い物をしているのが外から確認できる。調合施設はこちらと案内札が立っている。

薬屋の裏手に回ると調合施設の入り口がある。

そこの窓口に声をかける。

「すみません。調合施設を見学することは可能ですか?」

書類を整理していた女性職員が顔を上げる。と一瞬驚くも直ぐに対応してくれた。

「かしこまりました。ギルドカードを確認致します」

ギルドカードを渡す。すぐに返された。

「確認できました。三級冒険者のリオ様ですね。では、ご案内致します。そちらの方は、一級冒険者のミランダ様でしょうか?念の為ギルドカードを確認してもよろしいでしょうか?」

ミランダを見て驚いたようだった。

「はい。構いません」

「ありがとうございます……お返し致します。ではこちらへ」

施設入り口のドアが開く。

「お邪魔します」

中に入り、職員の案内で施設内を見て回る。

「此方が大調合室です。複数人で使用できますので、薬屋の棚に並べる薬などを一気に作成する際に使います。あとは冒険者講義などでも使用します。」

そのあとも一人用の調合室、薬草保管庫、薬草毒草資料室などを見学する。

「ここは調合に使用する道具類を作製する部屋です。職人が駐在していますので、個々人にあった道具の作製調整もしてくれます。」

部屋の壁に棚が作り付けられていて沢山の道具が並べられていた。奥の方で職人が作業しているのがみえる。

「へぇ」

「これで施設内の案内は全てです。何かございますか?」

「ここでは依頼以外の買取もしているのですか?」

「いえ。こちらの施設では行っていません。薬草類はギルドでの売却をご案内しています」

「道具類の貸し出しはありますか?」

「いえ、全て持ち込みでお願いしています」

「わかりました。ありがとうございます」

気になったことを尋ねて施設見学は終了した。

「次は武器工房に行きたいです」

「かしこまりました。では行きましょう」

地図を片手に調合施設を後にした。

そのあと調合施設の職員が

「あのミランダ様がミゲル様以外と行動を共にするなんて、リオ様って一体どなたなんでしょう」

と騒いでいたことを私は知らない。


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