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不運な召喚の顛末  作者:
第一章
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狂信

翌日。お土産を買いに外出することにした。

イザベラとノヴァが一緒だ。

お土産選びの才能は皆無なので、二人の意見と昨日ニーナと考えたリストを元に買い物をしていく。

そして、買い物した商品は全て屋敷に送ってくれるそう。

凄いなぁと思っていたら、

「リオ様はグラッド様の婚約者でございますよ?お近づきになりたい商人は山ほどおります」

とイザベラに言われた。

黙っていたら分からないのでは?と言ったら、そんなの商人じゃないので付き合いは考えたほうがいいと言われた。

「侍女服の人間がついて買い物をする女性は貴族令嬢か夫人達です。彼女達は当然家に届けて貰います。というか、商人を招きます。街での買い物はしません」

出発前に、徒歩で行こうとする方は皆無です。馬車を使って下さいと言われたことを思い出した。

「非常識なことをしていると思われますか?」

「いえ、そうではありません。クラリス様やグラッド様も街での買い物を楽しまれますし、ミレニア様も婚約時代はよく街に出られていたと聞いております。荷物などは任せていただけると私共も助かります」

「リオ様が自立した女性であることも、現在周囲に任せる訓練中だということもミランダから聞いております。心置きなく任せていただけると幸いです。」

二人に言われて、自分で色々してはいけない範囲のことだと思い至った。

「二人共ありがとうございます。これからも指摘していただけると助かります。」

二人にお礼を言う。

「街歩きをしたい時は私服でお願いするわ」

「そうですね、その時は冒険者らしい服装であるといいと思います」

イザベラが言う。

「冒険者らしいってどんなものかしら?私、普段通りの格好で依頼は受けるよう言われているのだけれど」

今日の格好は少し他所行きのワンピースだ。でもそんなに格好が変わるわけではない。

「ミランダの方針ですね。それなら普段通りの格好で構わないでしょう。伴をする者も私服なら、そこまで目立たないのではないでしょうか。どうですか?イザベラ」

「まぁ、お金持ちの令嬢だと思われると誘拐の危険があるのは否めないので、ミランダかノヴァをつけていただければ良いのではないでしょうか」

「一応冒険者なのだけれど」

「用心は必要です。」

「確かに、リオ様に何かあってからでは遅いですので」

二人から主にグラッド様とチカがと副音声で聞こえた気がする。

買い物の後は、イザベラの案内を聞きながら馬車でクロムの街をまわる。今日の馬車は一番小さい型の馬車で、というか馬車らしい馬車で、二人と向き合って座る。

「あの、リオ様。」

イザベラがどうしても聞きたかったのですがと前置きして声をかける。

「どうしました?」

「あのチカさんなのですが、いつもああいう感じなのですか?」

「ああいうとは」

「ニビ子爵への苛烈な追い込みのことです」

???はい?

聞きたくないけど、

「説明をお願いしてもいいかしら?」

聞かなくてはいけないようだ。

あの日ニビ子爵を拘束し人目につかない部屋に移動した。イザベラはミランダに、ノヴァは侍従長に呼ばれて駆けつけたようだ。最初は侍従長、ハロルド、イザベラ、ミランダ、ノヴァだけが部屋でニビ子爵を拘束し監視していた。そこに、ふらりと千加が現れた。ミランダの制止を無視して室内に入るとニビ子爵に話しかけ始めた。

ニビ子爵の言い分を笑顔で聞く姿に一同呆気にとられた。

子爵の話が終わると「で?」と笑顔のまま尋ね、追い詰めが始まった。

「たしか、ニビの役割を履き違えてるクソ野郎が精霊姫語るな。から始まって、」

弟の婚約者に横恋慕した挙げ句振られて、子爵位に無理矢理ついたけどニビの実力者達からは軽んじられてる子爵様笑。

手前が成人を迎えた時にまだ生まれてもいない相手に求婚するとか、しかも婚約者いるってわかってるのに、頭おかしいんじゃねぇ?。

正統な後継者が可哀想だわぁ、まさかこんな兄貴だったとは夢にも思ってないだろうからな。等等。

イザベラとノヴァが互いにああ言ってた、こう言っていたと続ける。

千加、何やってんのぉー。

「あれは確かに面食らいましたけど、その後も強烈でしたよ。確か子爵が、実力者達を納得させて子爵位に就くための方法も絶望的でしたね」

フォッグ子爵の長女アデル様との婚約話を受けていれば今頃は違った未来があったんですよねー、あ、駄目か、アンタが二番手に甘んじられねぇもんな。そんなんだからニビの役割を見失うんだよ、バーカ。

本人を前に腹抱えて大笑い。終いには指さして笑う。

「千加はそんな事を。」

「情報収集能力の高さに全員が唖然としていたんですが、」

「高笑いしてから、急に、」

イザベラが口にするのを躊躇い始めた。

「ど、どうしたのですか!?」

「切り落とそうか、と真剣な口調で言い始めてそれから、急に笑顔になって」

骨折る?あ、骨はくっつくから大丈夫だよ?変な方向に繋げるから笑。

爪の間に針入れよう。等等。

口にするのも憚られる聞いてても痛い事を延々と言い続け、止まらなくなったからミランダが私を呼びに走ったと。

「頭が痛い。」

「リオ様、申し訳ありません」

「いえ、私が説明を求めたので。千加は、私が絡まなければ人に無関心で無害なのですが。」

「絡むとああなるということですか」

不審者遭遇時は大体千加が追い払ってる。私は逃げる一択だったから。

「はい。」

「チカはリオ様のことを大切に思っているのですね」

「無理しないでいいですよ。やり過ぎなのは変わりませんから」

思わぬタイミングで聞いた事実は、胃が痛くなる内容だった。千加ならやりかねないとも思うけど、やり過ぎだ。

屋敷に戻り、一応ミランダにも確認するが、間違いありませんと頷く。侍従長からフレッドには報告がいってるそう。

若干引き気味だったが、狂信ならやりかねないと納得していたとか。

「狂信関係ないです。」

「後半は置いといて、前半は感心致しました。侍従長も同じ意見です。精霊姫の捉え方を間違っていると憤慨していましたから」

「そうなのですね」

「ええ、精霊姫は奇跡を起こせますが、それは自身のための奇跡ではなく好きな相手のために自身を犠牲にして起こす奇跡です。伝わっている話は全て悲劇ですので」

「悲劇なのですか、」

「好きな相手を救う為に自身の命を差し出したり、記憶や想いを失い、決して実ることはありません。そのようなものにリオ様を付き合わせようなんて、……思い返すだけでも腹が立ってきました」

ミランダの苛立った表情をみて、つい笑ってしまった。

「リオ様?」

「愛されてるなぁって思っただけです。ありがとうございます、ミランダ。嬉しいです」

ミランダに頭を撫でられた。無意識の行動だったようで失礼致しましたとすぐに引っ込める。

「リオ様。グラッド様とのお時間ですが、明日は一日予定がはいっており、王都へ出発される日の午前中ならとのことですがいかがされますか。」

「それで、お願いします。ミランダ、ごめんなさい。急にお願いしてしまって」

「いえ。大体の原因はあの変態にあるので忘れてください。リオ様が頑張ろうとしてる時に掻き回して、」

「あの変態って、言い方」

「ニビに戻されたのなら、子爵位からも降ろされることでしょう。降ろされなかった時は乗り込む覚悟で」

淡々と告げるミランダの表情は真剣そのものだった。

「ちょっと、ミランダ。それはやめよう。ね?」

「リオ様が止めるなら、やめましょう。ですが、いつでも命じてくださればご期待に沿ってみせます」

「気持ちだけ受け取っておくよ。」

物騒だなぁ、何かあった時の手綱が握れる気がしない。

それから訓練の話に移る。

「王都に戻ったら、冒険者の訓練やリオ様が苦手としている計画を立てるなどの練習を開始致します。」

まずは一週間単位、月単位と次第に長期計画を立てられるようになるための練習だ。

「宜しくお願いします。」

「術式の改良、魔力操作、発動速度など徐々に改善していきますのでしっかりついてきて下さい」

ミランダ曰く私の魔法魔術はまだまだ魔力消費の無駄が多いそうで、それをなくす為の訓練方法もあるとか。

「ミランダに頼りっきりで、申し訳ないです。お休みしっかりとれてないですよね。うぅ」

「安心してください。ちゃんとその辺も考慮して計画を組みますから。」

ミランダが不意に私を抱きしめる。

「グラッド様に知られたら、怒られるので内緒にして下さいね。リオ様。……あまりにも可愛くて思わず抱きしめてしまいました。」

「ミランダ」

私もミランダを抱きしめ返す。

リオ様と焦ったように名前を呼ばれる。

「ミランダがかっこいいからですよ」

「いえ、これはなんというか、とても恥ずかしいですが嬉しいですね」

二人で笑いあった。

「私、無理はしません。でも、ちゃんと頑張ります。ミランダが私の侍女でいることに胸をはれるような主人になります。」

「ふふ、もうリオ様は領主一族の仲間入りしていますよ?グラッド様に嫉妬されるので内緒にしなくては。」

ミランダに笑われた。

「もっと領主一族の一員として精進します」

そうだ。私は、領主一族になるんだ。

ある存在が脳裏を掠めた。



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