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不運な召喚の顛末  作者:
第一章
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お泊まり会

泣きそうなグラッドが可愛くて撫で撫でしていると、何処からともなくノックの音が聞こえてきた。

「セシルかミランダでしょうか、解除します」

魔力壁が解除されると、ミランダとセシルがソファの側に立っていた。ミランダの目が怖い。

「リオ様、お迎えにあがりました」

「は、はい。では、グラッド。私はこれで失礼します。」

耳元で、またしましょうねっと言って立ち上がる。

「セシルさん、ミランダも私の我儘に付き合ってくれてありがとうございました」

感謝の気持ちを伝え、部屋を後にする。

セシルは優しく見送ってくれたが、ミランダは厳しさを崩さずにいた。

「ミランダ、怒ってますか?」

「いえ。グラッド様のあの魔法はなんだろうかと考えていました」

「水の中にいるみたいでしたよ。外からはどうみえたのですか?」

「鏡のようになっていました。自分の姿が映る、でも中は見えない。……秘め事にはもってこいの魔法ですね」

「そうだったんだ。内緒話には最適ですね」

素知らぬ顔で探りをいれてくるミランダを素知らぬ顔で躱す。躱せているのかはわからないが。

部屋は数ある客間の内の一つ。豪快な装飾のされている部屋だった。

寝る支度を整えた頃、ラフな格好で枕を抱えて千加がやってきた。

「千加?なにそれ」

「?理央が眠れないかと思って、お泊まりにきた」

?初耳ですが?

「チカ。私も聞いていません。」

「へ?言ってなかったですか、うわぁ、ただの恥ずかしい奴じゃん」

そう言うと千加は、踵を返し帰ろうとする。

「千加。流石にこのまま帰せないから。泊まっていってください」

夜も遅いし、どうやってきたのかは疑問だが泊まっていっていいと言うと千加は申し訳なさそうにする。

「どうやって入ってきたのですか?もう施錠されているはずですけど」

「玄関先で、あの子。今日理央についてた侍女の子に会って、お泊まり会があるからって言ったら入れてくれました。すみません」

「ほう。これはお仕置きをしなくてはいけませんね」

ミランダが静かに怒る。

それもそうだ。恐らく戸締りの確認で巡回しているはずなのに、約束の有無を確認せず招き入れるとか危険極まりない。

「はぁ。ですが、丁度いいかもしれません。」

「ミランダ?」

「以前リオ様が言っていた教育について、チカ様がきてからと伝えていましたが、生憎機会を設けられずにいました。ですから、今行おうかと」

「?なんですか?教育?」

「この世界の性教育です」

「わぁお。性教育……まじ?」

事の経緯を説明すると千加は結構乗り気だった。二人してミランダから教わることになった。

まず、ミランダが取り出したのは二枚の板だった。

「これは、性教育を行う際に使用する術式札です。」

そういうと、魔力を込め発動する。

男性と女性の裸の人形、理科の人体模型よりマネキンに近い人形が作成される。魔力の量で体型を操作するようだ。

今回は一般的な人形を作った。

これを見ながら、女性と男性の身体の違いを学ぶという。

「身体の違いの次は、こちらです。」

今度は他人に気安く見せてはいけないプライベートゾーンの話、そして生殖器の説明、子作りの仕組みと方法について。

人形は人体模型の役目も担っていて、生殖器の説明では断面図や拡大縮小して部位の説明をする。

「すげぇ、進んでる。」

千加の驚きの声に共感する。

「ある程度の知識はあるとのことでしたが、」

「これを基準にしたら、少なすぎました。ミランダ、感謝します」

「いえ、ここまででわからないことは?」

「ありません。」

「大丈夫です。学術的な視覚情報って重要だなって思いました」

でも、グラッドが言っていた内容ではない。もっとあるってこと?男女で内容が違うのかな?

「では、ここからは自慰行為についての説明です」

性欲は人間がもつ欲求の内の一つで、と説明がはじまり、性感帯の話、自慰行為の際の注意点へと繋がる。

「水属性加護持ちはその加護性質上病気に殆ど罹りませんが、清潔に保つことは重要ですので覚えておいて下さい。」

清潔、清浄の加護特性が影響するようだ。

「優しく扱うこと。爪も綺麗に整えておくと傷つけません」

「ほう。なるほど」

「してはいけない方法もあります」

と学校では習っていない話を真剣に聞く。

「それでは、最後は異性の性感帯への愛撫についてです。」

「へ?」

千加が変な声をだした。グラッドが言ってたのはこれか。

「性交渉は互いを尊重し合い行うことが前提です。異性の身体の違いはこの教育内容からみても明らかです。ということは、性感帯も異なります。個人差はあれど基本的な部分は知っておくといいでしょう。どちらか一方が快楽を搾取するのではなく互いに気持ちよくなるために必要なことです」

ミランダが男性の人形の下腹部を拡大して、部位のおさらいから説明していく。

「自慰行為の際と注意点は同じです。では、実践してみましょう」

「?」

「?」

「どうされましたか?」

「ミランダ。実践って?」

「この人形を触って試してみましょう。」

ミランダは女性用の人形の性別を変換して、私と千加をそれぞれに人形を与える。

「性交渉において前戯は大切な意味を持ちます。これから、性交渉を行うのだと心と身体の準備です。十分でないと痛みを伴い怪我をすることもあります。丁寧に行いましょう」

首筋や胸、腕の内側や筋肉に沿って手を動かす。

上手く刺激できている場合は、人形が色づく。

「中々難しいです」

千加は結構上手くできてる。どうしてるのか尋ねると、

「照れずに触るといい」

と返答があった。

それから生殖器への愛撫方法も習う。どうしても照れが出て上手く出来なかった。

「繰り返し練習して下さい。この術式札は差し上げます。」

術式札の操作方法を習う。

「ミランダ先輩、これって」

千加がこそこそ確認をとっている。どうしたのだろうか?

「チカ。よく気づきましたね。そういう風に使用する方もいらっしゃいます。解すことはとても大切ですし、女性は性行為時に痛みを感じる方も少なくないですから」

「あぁ痛いのは嫌だなぁ」

「では性交渉時に使用する道具類の説明もしておきましょうか」

水属性の特性を付与した潤滑剤は痛みを和らげる効果と潤いと滑りをよくする効果がある。興奮剤は潤いと滑りをよくする効果と性的な興奮を増幅させる効果がある。

水属性加護を持たない人用の性病予防の薬の説明も付け加える。

「水属性加護持ってると痛くないんですか?」

「痛みは感じにくいです。男性が持っている時もそうですね。魔法が使えればさらに痛みはなく行えます」

「私、持ってる。良かったー」

「千加は痛いの全般駄目だからね」

たしか注射も直前まで散々ごねて千紗に怒られてた。

私の言葉にミランダが疑いの目を向ける。

昼間の言動からは想像もつかないだろうが、事実だ。私が頷くとミランダは困惑している。

「あんなに痛みを連想させる言葉を散々発してたのに」

マジで何したんだろ。怖くて聞けない。


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