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不運な召喚の顛末  作者:
第一章
110/605

クリス

野菜パーティーを終え、片付けをする。

結果作った料理は私が味見をする前に全部無くなった。

「リオさん、今日はありがとうございました」

「オスカー先輩、クリスは」

「取り敢えず片付けてからお話ししましょう」

クリスはジュリエットとレイカの三人でカードゲームをしている。

「ジュリエットさんにはクリスの加護膜を成長させる鍵が緑の手の作った野菜ではないかと仮定してこのパーティーを開催したと説明している。リオさんのことは、特に何も告げてないから黙ってて。あの魔法はリオさんがクリスを喜ばせるためにしたことだとして欲しい」

「わかりました。」

片付けを終え、席につく。

「クリスどうだった?」

「美味しかったし楽しかった!」

元気に答えるクリスにオスカーが微笑む。

「それはよかった。それじゃあ検証がどうだったのか。発表しようか。まず、小さな野菜」

最初の時点では、加護膜の成長はなく。さまざまな種類の野菜を摂取するうちに成長に至った。

「え、じゃあ」

「うん。クリスの加護膜は成熟した。もう外で遊ぶことができるようになった。」

「ほんと?ほんとのほんと?」

「本当だよ。」

クリスは急に立ち上がると、部屋の外に走り出した。

その後を追う。

管理棟の外に出て、立ち尽くしているクリスに近づく。

「クリス」

クリスは静かに泣いていた。

しばらく見守る。

ひとしきり泣いたクリスが振り向いた。目が真っ赤になっている。

「リオ、ぎゅー」

「はい」

クリスを抱き締める。

「うぅぅぅ」

日傘無しで外に出た時の気持ちを思い出して、泣けてきた。なんでリオもなくのよーってクリスと二人で泣き笑い合う。

部屋に戻ると

「もう、目が真っ赤じゃないの!ほら冷やして。あ、リオ、スカート汚れてる。もう!」

レイカに二人揃って怒られる。

「へへへ」

「クリスさん良かったですわ」

「ジュリエット。泣かないで、よしよし。ぎゅーする?」

「しますわ」

二人の姿をみているとオスカーが

「加護数についてはまだ未確認ですが、取り敢えず今はそのままだったと教える。リオさんも気をつけて」

小声で告げる。

「はい」

「クリスの今後については、ニコルが戻り次第考える」

「ニコル先輩は」

「調査の具合によりますので、わかりません。クリスはゆっくり様子を見ながら外に出るようにします。」

「局長から」

「その件なら聞きました。一人で行動しないように説明します」

いつの間に。魔法使った時かな?

「あ、そうだ。忘れてた。クリス、ジュリエットさんもちょっと集まって。」

オスカーが一際明るい調子で声をかける。

なんだろう?と不思議そうにみんなが集まる。

「はい、お知らせがあります。明日からしばらくリオさんは婚約発表があるので、お休みです。ニコルは説明した通り急な仕事で不在です。二人が戻るまでは僕が担当します、宜しくね」

オスカーの言葉に、クリスが驚いた顔で私をみる。

「しばらくお休みをいただきます。」

急な報告でびっくりさせたようだ。

「おめでとう」

「おめでとう。留守は任せなさい」

「おめでとうございます、…クリスさん?」

ジュリエットの影に隠れたクリスの眉間にすっごい皺が寄っている。

「ぉぇぇぉぅ」

なんだって?

「拗ねていますね。」

ミランダが面白そうに呟く。

「懐かれているのが分かるので照れ臭いですが嬉しいですね」

と笑うとレイカに凝視された。ジュリエットも驚愕といった表情だ。

何か変なことを言っただろうか?

その後もしばらくクリスはジュリエットにくっついていて少し寂しさを感じた。

アランのシノノメ行きのための学習の手伝いをしているとクリスが寄ってきた。後ろ手に何かを隠している。

「リオ、おめでとう」

隠していたのは私へのプレゼントだった。差し出された小さな箱を受け取る。

「ありがとうございます。開けてもいいですか?」

照れた様子のクリスは頷く。箱の中には

「これは、」

花の形をした小さな焼物、その中央には穴が開いている。

「ペン立てなの。」

「可愛いです。これどうしたんですか?」

「作ったの。」

「作った、クリスが?」

「うん」

「あ、ありがとうございます。嬉しいです」

手作りの贈り物に思わず笑顔になる。

するとクリスが急に頬を膨らませ、拗ねた口調で言った。そっぽを向く。

「リオはずるいの」

「え、ご、ごめんなさい」

何をしたから、ずるいのかがわからない。

反射で謝ったら、クリスがレイカみたいに怒り始めた。

「もー、わかってないでしょ」

「す、すみません」

「リオはかわいいから、急に笑ったらメッなの。」

「はい」

「ドキドキして困るでしょ」

「はい。すみません。」

「もー、わかればいいのよ」

ぷりぷり具合がレイカに似てて可愛い。アランが肩を震わせている。

しかし、可愛いから急に笑ったら駄目とは、私がグラッドを直視出来ないのと同じかなぁ、、、ん!?

同じ?あ、あぁー。

天を仰ぐ私に

「やっと気づいたの?遅いわよ」

レイカが呆れた声をだす。

マジかぁ、どうしたらいいのか。

まだまだ挙動が不審だったのか、レイカが続ける。

「ほっとけばいいのよ。思い通りになる恋愛なんてないんだから」

目から鱗の一言にお姉ちゃんと思わず言ってしまい

「うるさい」

と怒られた。そんな私たちを横目に

「オスカー、お外で遊びたい」

クリスはオスカーにねだっていた。

「そうですね。今日は加護膜が成長したばっかりですしどんな風になるか、僕達も情報がありません。明日からではダメですか?」

「う、うん。わかったぁ。明日ね、絶対だよ!」

「はい。絶対です」

クリスはジュリエットの所に戻り、大人しく図鑑を読み始めた。

「クリスさんは大人ですね」

ミランダが驚いている。クラリスなら一人で抜け出して騒ぎになってるところだ。

「そこが少し心配なところではありますが、今日は大丈夫です。気持ちが収まらない時は」

「駄々こねるから。今日の説明には納得してるわ」

「確かに。」

レイカとアランがクリスのほうをみながら、笑う。

自分のことではないけど自分の一部のように、家族のように話すその表情はとても優しくて胸が熱くなった。

「リオ様、気持ちが昂っておられるようですが」

ミランダが耳元で囁く。

「だ、大丈夫です」

「ふふ、本当ですか?」

家族関連の事象においての私の大丈夫に信用がない。

ミランダがお茶を淹れる。

「どうぞ、落ち着きますよ」

ミランダの淹れた緑茶も美味しい。

料理は適性がないって言ってたのにお茶は別なのかなぁ。それともミラは適性ないけど、ミランダはあるのか?

後で聞いてみよう。

別の事を考えたおかげか冷静になれた。

就業時間を終え、寮に戻る時にクリスから

「お土産お願いね」

とねだられた。

クリスの上目遣いに私ではなく隣にいたジュリエットが撃沈していた。

離れた所でサムズアップしている様子からしてレイカの差金だ。

「子どもに言わせないで下さい、レイカさん」

悪戯がバレた子どもみたいにバツが悪そうな顔をする。

「楽しみにしていてくださいね」




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