表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不運な召喚の顛末  作者:
第一章
109/605

野菜パーティー

お昼まで生き物問題で白熱した戦いを繰り広げ、クリスが生き物や植物が好きなことがわかった。

「リオは虫好き?ぼくは好き。」

「私も好きです。かっこいいですよね」

「うん」

洗濯物にたまにくっついて入ってくる虫をレイカの代わりに外に逃す役目を担っているそう。

「レイカさんは虫苦手そうですね」

「アランもあんまり好きじゃないよ」

「へぇ意外です」

「ジュリエットもニコルもぼくにお願いするの」

「ふふ、なんかわかります。私もお願いしようかな?いいですか?」

「どんとこいよ」

言葉のチョイス、と心の中で突っ込む。

今日の昼食は冬の献立で驚異の採用率を誇るシチューだった。

シチューの味はジュリエットも好みの味らしく楽しみにしている。美味しそうに食べている。

「クリス、朝話したことだけど。考えられた?」

「うん。野菜食べる」

何気ない会話かと思いきや、今朝既に話は終わっていたようだ。二人の会話に耳を澄ませる。

「どうしてそう決めたの?」

「外に出たいもん。」

「まだ外に出れるかはわからないよ?」

「それでもいいよ」

「うん、わかった。じゃあ、用意するね。リオさん調理お願いできる?」

「リオが作るの?」

クリスが目を輝かせる。

「はい。食べやすいように頑張ります」

期待されている?何でだろ。料理の話したかな?取り敢えず頑張ろう。

オスカーから野菜の袋を受け取る。

昼食のあと、アランと食器を返しに行き、食堂で許可を得た。

「クリスはラドが苦手だ。あとは、『カリフラワー』じゃなくて、」

「ドドーヌですね。どうしよう。蒸し野菜と他の料理で三種類くらい作れるかな。ジャモは蒸してバター挟むとして、」

野菜を取り出しながら考える。

形と栄養分があまり変わらない蒸し野菜はマヨネーズと食べるとして、ペーストにしてもいけるのか?試してみよう。

「みてていいか?」

「構いませんよ」

ですが、と卵の黄身と酢を入れたボールをアランに渡す。

「これを混ぜて下さい。混ざったら、ここに少しずつ油を入れてマヨネーズを作ってもらえますか?」

「わかった」

マヨネーズは一応ある。酸味が強めのあっさり系だ。作るのは卵多めのこってり系、野菜が気にならなくなる。

ミランダがあぁあれかという顔をした。

蒸した温野菜と野菜ペーストにクリームチーズを混ぜたディップとバゲット、野菜パンケーキの三種類を野菜投入量を増やし各三種類と用意する。

調味料も合わせると結構な量になった。

途中から料理のおじさん達がパンケーキを焼くのを手伝ってくれた。出来あがった料理を配膳台車に乗せ、管理棟へ戻る前におじさん達にも少しお裾分けをした。

すると好意で生クリームや果物を分けてくれたが、その目がパンケーキに目が釘付けになっていたのが気になって仕方ない。

作ったのがメレンゲ入りパンケーキで普通のよりふわふわだからか?

「お待たせしました。」

試食会に参加するといったジャックの姿もあった。

レイカは嬉しそうでジュリエットは緊張で表情が強張っていた。

テーブルに全種類を並べる。

「わあ、すごい。パーティーだね!」

クリスが目を輝かせて喜ぶ。

野菜投入量が少ないものを手前に並べ、その隣りに忘れずに投入量がわかるように生野菜も並べる。この野菜は食堂の野菜をもらった。

料理の説明をする。

野菜パンケーキに釘付けのクリスに苦笑いしながらオスカーが小さく切られた蒸し野菜を先にクリスの前に寄せる。添えられたマヨネーズの色が普段の物と違い濃いことに気づいたクリスが渋々蒸し野菜から食べた。

「マヨネーズ美味しいよ!リオこれ美味しい」

ジャックはクリスの隣りで魔道具を確認して、オスカーに合図を送る。

「次はこっち」

蒸し野菜の大きさを変える。

大きめに切った野菜を食べた後、ジャックが考え込むような表情になる。オスカーはそのジャックの表情を見て、

「それじゃあ、クリスお楽しみのパンケーキを食べよう」

実験としての試食は終了したと判断したのかパンケーキをクリスの前に置いた。

「みんなも気にせず食べて構わないから。局長もいかがですか?」

「あぁ、そうだな。いただこう。」

「私はこれ食べたい。ジュリエットはどうする?」

レイカの声にジュリエットも「では、これを」と蒸し野菜に手を伸ばす。

クリスがパンケーキを頬張りながら生野菜をみて、もう一度パンケーキをみる。

不思議そうに野菜を見つつ、無心にパンケーキを食べる姿はとても可愛らしい。

「ジャモバター、リオやるわね」

じゃがバターならぬジャモバターを無心で食べるレイカも可愛い。アランも同じ気持ちなのか、頬が緩んでいる。

「リオさん、少し話がある。いいか?」

ジャックは私の側にくると小声で話かける。手には野菜ペーストが塗られたバゲットがあった。

「はい、何でしょうか?」

ミランダを含む範囲に防音の魔力壁を張る。

「クリス君の加護膜を計測していたが、特に変化はなかった。」

「良くも悪くも影響がなかったと?」

「そうだな。ニコルから狂信の話は聞いている。もしかしたら、緑の手の存在を知ってて影響を受けないよう条件付けて奪った可能性がある。」

「ジャック様、よろしいですか?」

ミランダが挙手する。

「ああ」

「クリスさんの加護が元に戻ったとして、狂信だった彼女にこのことは伝わりますか?リオ様に解いてもらう予定ですが」

ミランダは昨日話した内容をかいつまんで説明する。

「彼女が得た加護が失われたら気づくとは思うが、……ならクリス君の存在を隠さなくてはな」

「クリスの存在を隠す?」

「そうだ。クリス君は、対抗免疫不全が原因で亡くなったとすれば加護が失われたとしてもリオさんの存在は隠せる。」

「殆どクリスさんの存在は知られていません。宿舎でも存在を知る方は居ませんでした。ですから、隠すならクリスさんの方です。二人の安全性がより高まります。狙われない可能性がないわけではありませんから」

奪われた加護の数を考えたら、クリスは貴重な人材になる。

魔力もあって、加護数は四つ。養子に欲しい貴族も多いだろうとジャックが呟く。

「もし彼女の加護が失われなかったとしても、隠すことで得られる物もあるか。リオさん。この後、試してほしい。頼めるか?」

「勿論です。そのつもりでした。」

「そうか、ありがとう」

魔力壁を解除する。

こちらを窺うレイカに、笑いながら

「局長。いくら私の料理が美味しいからって魔力壁張って言うことじゃないですよ」

言う。それにミランダが乗っかる。

「そうでございます。ジャック様こういう事は面と向かって褒めていただかなくては。野菜ディップがお好きでもここで延々と語られても困ります」

「君達。ばらさなくてもいいだろうに」

ジャックが手にしたバゲットを食べる。

その様子を見ていたクリスがバゲットに手を伸ばした。

やっぱり、パンケーキしか食べてなかったか。

「リオの作った野菜料理、全部おいしいよ!」

「グラッド様は敵が多いですね」

ミランダの呟きに、

「苦労しそうだね」

ジャックが頷く。

いや、なんだろ。この二人に言われたくない。

「クリス。実は昨日のキラキラ闇魔法を習得したので、ちゃんと出来てるか確認してもらえますか?」

「リオもできるの?」

「ミランダから教えてもらったんですけど、キラキラ闇魔法を知ってるのはクリスしかいないのでお願いしたいです」

「いいよ!」

クリスが快諾する。

狂信の魔法の影響を全て吸収すると強く思い魔法を発動する。

ミランダ曰くキラキラ闇魔法に必要なのは闇属性の神が司るのは夜の世界だと認識し満点の星空を想像すること。

千加の家は神社で、辺りは木々で囲われている。消灯すると真っ暗で星空が綺麗に見える。その光景を思い描く。

吸収は感覚で分かる。成功も失敗も完了も。

魔法を解除する。

「どうでしたか?クリス」

「リオの魔法、ちゃんとキラキラしてたよ!流れ星もあったの!」

「よかったです」

ジャックがクリスの側に寄り、魔道具を取り出した。

確認してすぐ戻す。

「では今日はこれで失礼するよ」

ジャックが名残惜しそうに言うと

「もう帰られるのですか?」

レイカが引き留めた。

それをアランとジュリエットが止める。局長は忙しいんだからとかなんとか。

「そうだね。レイカが引き留めてくれて嬉しいよ。でもこの後、人と会う約束があるんだ。ごめんね」

「あ、いえ。私の方こそごめんなさい。お仕事頑張って下さい」

ジャックの前のレイカはいつも以上に可愛い。

「レイカは局長の何処が好きなの?」

ジャックが帰るとオスカーが不思議そうに尋ねる。

「え?逆になんで好きじゃないの?」

その答えが質問で返ってきた。

「可愛げ?ないでしょ」

「倒せそうにないので、挑み甲斐はあると思いますが」

「緊張が上回りますわ」

「……」

次々と出てきた理由だったが、アランは頬を紅潮させて押し黙る。が、

「アラン?」

「……レイカが、好きだから。嫌だ」

思い切って口にした。

言葉が足りずに告白みたいになったことには気づいていない。

真っ赤になったレイカとアランにクリスが追い討ちをかける。

「ここでぎゅーだよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ