表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不運な召喚の顛末  作者:
第一章
107/605

スーパー侍女ミランダ6

寮の部屋で冬の間の話を共有する。

三日で謹慎をくらったことも隠さず話した。

「十年前ミレニア様も似たようなことしてましたよ。フレッド様から執務室への立ち入りを禁止されてました」

懐かしいですねと笑うミランダの言葉に耳を疑った。

ミレニア様が?

「大奥様も大笑いしてました。あ、内緒ですよ。フレッド様に怒られるので」

何でミレニア様の話でフレッド様が怒るのかはわからないが取り敢えず頷く。

不運実験から魔生物局副局長の事、魔法省で手に入れた情報の事、魔障発生時期と転移者数の関係、など冬の間に起こったことを一通り話す。

「愉快な事になってますね、リオ様。ではサイス領であったことも報告しておきましょうか」

不運実験をした頃、サイス領では特に何事もなく日々を過ごしていたそう。ただミレニアの研究が上手くいってフレッドが不機嫌だったくらい。

「ジャック様からも聞きました」

「魔素濃度に反応して発動する魔素循環術式を開発しました。これで魔獣の弱体化に成功、より早く討伐できるようになりました。魔力を使わず発動することが最大の利点です」

「凄いことですよね?魔力を使わず発動するって、魔道具みたいな。……もしかして掛け合わせたのですか?」

「よく気づきましたね。その通りですよ。その時活躍したのがリオ様の刺繍です」

理論は専門的過ぎてわかりませんと言われてしまった。

だからってやろうと思ってできることではない。

冬の間はスレート子爵とニビ子爵、フォッグ子爵が集合した会議が行われた。一年の報告と来年の指針について話し合い、この春に正式にグラッドの婚約発表を行うと伝えたそう。特に反対はなかった。

スレート子爵はクラリスの療養と留学に文句をつけたが他の子爵はフレッドに賛同。クラリスとの関係性が浮き彫りになった。

「婚約発表の時のドレスは準備が進んでいます。ただ、予想外だったのは、」

「ミランダ?」

「リオ様の胸のサイズが大きくなっている事でしょうか。秋の終わりとサイズが違いますよね?」

「……はい。あ、あの。あと私下着を作ってて」

「作れるものなんですね。レイカさんに下着を渡したというのは作って渡したということですか?」

「はい。趣味じゃなくて裁縫を武器にできるようにと思いました。作り方を確立したらサイス領に持ち込もうと思って」

「リオ様ありがとうございます。」

「何でお礼?」

「嬉しくてつい。サイス領の事を考えて行動されているリオ様に感謝申し上げます。頑張っておられますね」

「まだ全然出来てないです」

「頑張る事は当たり前ではないのですよ?貴女様の頑張りを実らせるのは私達周囲の者の仕事です。考え続けられる、努力し続けられる。それは誇るべきことです、リオ様」

「ありがとうございます、ミランダ。そう言ってもらえて嬉しいです」

取り敢えずドレスは試着した後に手直しが出来るように準備が進んでいる。

遅くても三日の間には迎えがあるだろうと話す。

「グラッドは卒業式と成人式をすっぽかしたって」

「えぇ、面倒なことになりそうでしたので、フレッド様に参加しない旨を伝えていました」

「面倒なこと、ですか?」

「えぇ、夏の終わりに逮捕者が多数でました。秋の始まりにはパイライト伯爵令嬢が逮捕され、冬の始まりには事件の全容が明らかになりクラリス様は他国へ療養と留学へ向かいました。各領の貴族達は独自の情報網から様々な情報を得ていることでしょう。」

一度言葉を切る。

「学園には基本的に大人達は関与しません。ただ例外があるのは卒業式と成人式の日です。この日は各領から卒業生の関係者が集まります。」

「今回は色んな事がありすぎたから?」

「えぇ、フレッド様は渋っていましたが。」

「どうしてですか?」

「グラッド様が卒業生の首席だからですよ。皆の前で表彰されるのですが、それはとても誉れ高いことです。それを放棄すると言わせてしまって悔しいと思われているのでしょう」

「グラッド……」

「グラッド様は気にしておりませんし、リオ様を助けられた事の方が大事なのであまり気にしすぎないで下さい。」

諸々の探り合いをフレッド様に丸投げしただけですからと続けられた言葉に笑ってしまう。

「その言い方だとグラッドが子どもっぽく聞こえますよ」

「ふふ、子供らしくてフレッド様は意外と喜んでらしたので正解ですね。ミレニア様から聞いただけですが。」

「お二人は今王都に滞在されているのですか?」

「ええ、王都の別邸で過ごされています。陛下への挨拶の予定も入っておりますし、帰領の際はリオ様とご一緒することになっています。リオ様は一度サイス領で婚約発表までは滞在していただくことになります。このあたりの話し合いはジャック様とフレッド様が取り決めていますのでご心配なく。では取り敢えずリオ様自作の下着を見せていただいても?」

「はい」

これですと下着を棚から取り出す。

ミランダは上から下から様々な角度から下着を確認する。

「素晴らしい出来ですね。」

コルセット部分と分けたのですかと分析しながら下着を確認している。

「何か感じたことがあれば教えて下さい」

「そうですね。女性からの支持はある程度得られると思います。既存型の下着にも手を加えて一緒に持ち込むといいでしょう。年配層にも受け入れられると社交面を考えても良いです。」

なるほど。

「あと、男性受けを考えるとここに薄い布をつけて肌の露出を抑えた方がいいと考えます」

「男性受け、ですか?考えたこともありませんでした。というか、なんでそんな事ミランダが分かるんですか」

「何故ってセシルが、、、あーなんでもありません。忘れて下さい」

「無理です」

「……コルセット部分が破れたので胸の部分だけで着てたら肌の露出が如何とかと怒られたので」

「ミランダってこういう所ずぼらというか、拘らないというか」

まぁいいかで済む問題ではない。セシルの気苦労が窺える。

「リオ様はグラッド様に直接聞かないで下さいね。」

「し、しませんよ。」

「ならいいのですが。」

そういう点はあまり信用がないようだ。

それから話はクリスから聞いた記憶の話に移った。

「クリスさんはウパラ領で保護された転移者ですか?」

「ウパラとマウリッツの境の村で保護されて神殿へ移されたと。何故分かったんですか?」

「彼が言っていたドーンという音は地震ではないかと思いました。あと他の人は驚いてなかったと言っていたのでウパラ、マウリッツは結構大きな地震が多い土地なのでそうかと。」

ウパラ、マウリッツは火山地帯で火山性地震が多い。

魔障なのか違うのかも分かりづらい。

「彼の言う怖い女の人が赤髪だと分かったので確信しましたけど」

赤髪に白い服の女の人。

「どなたなんですか?その女性は」

「彼女は狂信の加護障害を持つ人物で、神殿では神子様と呼ばれていました。狂信の加護障害はどのようなものか知っていますか?」

「いえ、」

「水と金属性だけをレベル3で持つと起こる加護障害です。神の為なら何でもする狂信は、特別な能力を持つ特殊な加護障害です。」

「特別な能力?」

「本人が心の底から神の為と思って行使する魔法がどんなに荒唐無稽だろうと実現するという能力です。」

???

「は?魔力が足りなくても?」

「はい。馬鹿げた能力ですよ。狂信が出たら警戒レベルを引き上げないといけません。何を考えて行動を起こすかわからないので。」

「では、今も?」

「いえ、今は狂信を持つ人物は居ません。不思議だったんですよ。一年前突如神子様と呼ばれていた彼女が狂信を失いました。何があったのかと。クリスさんの話を聞いて合点がいきました。」

加護障害が無くなる。加護レベルが下がった?

「クリスさんから加護を奪ったんです」

加護を奪う?

「黄色のキラキラは土属性、紫は闇、緑は風、赤は火。そうすれば彼女は光以外の全属性加護を持ちます。ですが、狂信は失う。一応ニコルには調べてもらっています」

「そんなことが、できるのが狂信の特殊能力?」

「荒唐無稽ですよね、他人の加護を奪うとか。しかも本気で神の為になると考えていた。理解ができません。」

「神殿で実験に巻き込まれてクリスは加護膜が未熟なままだと聞きました。まさか、加護を奪われていたなんて」

加護は精霊が付与するもの、霊素が体内魔素と反応して加護になる。

加護膜の生成は?魔素を取り込む。乳児は屋内で三ヶ月は過ごすことが推奨されている。霊素に触れすぎないで魔素を取り込むこと?転移者は三日。子供は特例?本当に?クリスは元々三日以内に形成できてて、そこから加護が奪われたから対抗免疫不全の子供と同じ症状が出てるなら?

加護が奪われた。なら今はどんな状態?対抗免疫不全の症状が出てる。霊素の量が多い?体内魔素量が少ないとか?加護膜は加護に関係ない?本当?元々土属性を持っていたなら、緑子様の野菜を食べると補える?

考えがまとまらない。

「リオ様、考えている事は分かります。狂信で加護を奪ったからクリスさんは対抗免疫不全の症状がでている。緑子の野菜で元に戻るのかと」

「ミランダ。戻ると思いますか」

「冒険者としての勘から言えば加護レベルは絶対的な差です。同レベルでこそ技術が物をいいます。勝負で勝つことはできるでしょう。他の技術で勝ればいいのですから。ですが、属性特化魔法のみで勝負した場合絶対にレベルの低い方からは破れません。それは他属性であってもです」

火属性のレベル2の火を水属性の水で消すには同レベル以上が必要。相反する属性だからレベル1の水でも抵抗力はあるが消すには至らない。

「ミランダ?」

「クリスさんに狂信の能力がかかって今の状態を引き起こしているのならそれを破るのはレベル上位のリオ様か緑の手です。元々土属性適性のあるクリスさんは緑の手が育てた野菜で通常の状態を取り戻せるはずです。」

もし、そうならなかったとしても闇属性特化魔法で狂信の能力の影響を吸収すると想像すれば良いとミランダが自信に満ちた表情で言う。

「じゃあ野菜を食べさせないと」

「落ち着いてください。ニコルが説明をしてクリスさんが了承してからです。説明の大切さは学びましたよね?リオ様」

そうだ。何の説明も無しにレイカに魔法を使った。

「はい。ごめんなさい」

素直に謝るとミランダは優しく微笑んだ。

「ではリオ様には私がクリスさんに使った魔法の使い方を教えます。キラキラ闇魔法です」

すぐに無表情に戻ったけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ