表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/34

28

ミューラーの部下は、アウロを後ろ手に縛ると立ち上がらせ、両脇をとって歩かせた。

治安官事務所の前には、まだ多くの人々がいた。

彼等は、感情のない目で、縛られたアウロやシャンテたちを見た。

事務所の中に入ると、イスに座っていたラズロが立ち上り、檻の中にいたルフィンが顔を上げてアウロの姿を見つめた。

ミューラーがいった。

「ガキを外に連れていけ、今からコイツを締め上げる」


アウロは、ルフィンを逃がすために今夜の事件を起こしたこと、チャルレーロ殺しの犯人が自分であること、また最初の畑の爆発事件も彼のしわざであることを、すぐに自白した。

彼がなかなか口を割らなかったのは、魔法玉の入手経路だった。

ミューラーは、拳を使って彼を自白させた。

彼によれば、軍の施設から魔法玉を盗んだというブローカーから、手に入れたという話で、現在、そのブローカーはどこにいるのかわからないらしい。

シャンテは、アウロの自宅を魔法検査器で調べた。魔法玉の後反応は出たが、魔法玉そのものは発見できなかった。あれで全てだ、と彼はいった。

すでに、外は明るくなっていた。

「これで、事件は解決だな」

ミューラーはいった。

アウロは、牢に入れられた。

シャンテは、彼にいった。

「あなたは、罰を受けるのよ」そこで、彼女は短いため息をついた。「きっと、死刑になるでしょうね」

うつろな声でアウロは答えた。

「たとえどうなろうと、チャルレーロを殺したことを後悔したりしない」

シャンテはいった。

「よくいえるわね。あの男はたしかにいい人間ではなかったけど、あの男にだって家族がいるのよ」

「あんたには、わからんだろうさ…」

声と同じようなうつろな目で、牢の床を見つめながらアウロはいった。

「数年前まで、ここがどんなところだったか、そして、チャルレーロがおれたちに、どんなことをしてきたか。・・・あんたには、決して、わからんだろう」

そして、アウロは黙り込んだ。


シャンテは宿屋に帰って、ベッドに入った。事件が一段落したことと、ここ数日の睡眠不足のせいで、深い眠りに落ちた。

目覚めると、外はまだ明るかった。

時計を見ると、あまり時間はたっていなかったが、それでも気分はよかった。

パスチーズが、コーヒーを入れてくれた。

テーブルで、それを飲んでいると、ノックの音がした。

パスチーズが、応対に出る。

(ラズロかしら、それともミューラーかしら)

なにか言い争う声がして、パスチーズが呼んだ。

「お嬢様。ちょっと、来ていただけませんか」

入口に行くと、見覚えのない男が立っていた。

パスチーズが憎々しげにいった。

「こいつが、お嬢様にでないと用件をいわないと、ぬかしやがるんで」

シャンテは、老僕を睨んだ。

パスチーズは、不満そうに黙った。

そして、男に尋ねる。

「どうしたの?」

男はいった。

「あなたが、シャンテ・フランクリンさんですか?」

「ええ、そうよ」

「直接、渡すようにいわれているんでね」

男は、懐に手を入れると、手紙を取り出して、シャンテに差し出した。

「それじゃあ」

シャンテが手紙を受け取ると、男は帰っていった。

シャンテは、裏返して差出人を確認した。

手紙は、アルシエ捜査局長からのものだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ