表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/34

18

馬車の窓から、シャンテは、ラズロにいった。

「すまないわね。今日一日ですむと思うわ」

「捜査官、でも、どこに行かれるんですか?」

その質問に、シャンテは答えずに、こういった。

「ちょっと、調べたいことがあるの。すぐに帰ってくるから」

不満そうだったが、ラズロは答えた。

「わかりました」

そんなラズロを見て、シャンテはからかうように、こういった。

「それとも、帰ってこないほうがいいかしら?」

「・・・・・・」

ラズロは、黙ってシャンテを睨んだ。

「ごめんなさい。ついでで悪いけど、昨日のことも謝らせて。すこし言い過ぎたわ。でも、あなたも・・・いえ、なんでもないわ。仲良くやりましょう。私たち、パートナーなんですものね」

「ええ」

ラズロは、微笑んだ。

シャンテも、微笑みかえした。

「じゃあ、行ってくるわ。留守中のこと、よろしくね。パスチーズも、頼んだわよ」

老僕もこの村に残るようにと、シャンテが今朝、言い含めたのだ。

彼は、涙をながしていた。

「行って」

シャンテが、御者にそういうと、馬車は走り出した。

ベルナーレの検閲所に向けて。


検閲所は、草も生えない高山の中腹にあった。

シャンテが、自分の身分証明書を見せると、警備兵たちは顔を見合わせた。

そのうちの1人が、シャンテに聞いた。

「魔法捜査官が、ここになんの御用で、いらっしゃったんですか?」

彼女は、懐からルフィンの査証を見せていった。

「この子のこと、覚えてないかしら? そこに、書いてるように、12才の男の子なんだけど」

警備兵たちは、査証を見た。

「さあ、ちょっと、わかりませんなあ。3月頃によくここを通ってますねえ。待っててください」といって、部屋の引き出しを何やら言いながら、探っていたが、書類を引っ張り出すと、「ああ、あいつなら、覚えてますよ」と答えた。

「本当に!」

「ええ。口の悪いガキでね」

「そうそう。その子よ」

「ここにも書いてあるように、なんだかやたらと、石を持っててね。それで、覚えてます。こんなものどうするんだって聞いたら、向こうで売るんだとかいってたな。けっこういい値段で売れるんだそうで、わからんもんですよ。たしか、ロスコーで取れるとかいってたな」

シャンテは、そこまで聞くと、天にも昇る気持ちだった。

「ありがとう!!」

その警備兵の手を取って、握手をした。

「いや、どうも…」

なぜか警備兵は、赤くなって答えた。


次の日、警備兵は、ふたたび彼女に会った。

「この石のことでしょう。昨日の話の石は」

そういうと、シャンテは、手に持った緑の石を警備兵に見せた。

「ああ、これです。たしかにこれですよ。ロスコーまで行かれてたんですか」

「ええ」

シャンテは、例の魔法検査器をもって、ロスコーの村を歩いて回り、この石を見つけてきたのだった。

昨夜は、ロスコーへ向かう馬車の中で、眠った。

シャンテは、検閲を済ませると、ファネール村へと馬車を急がせた。

シャンテの目の下には、隈ができていた。

「ありがとう!」

別れ際に、彼女は警備兵たちにそういった。

そんな彼女を見送りながら、警備兵たちはシャンテのことを、

(へんな女だな)と思っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ