ゴブリンとはぐれゴブリン?
読んで頂きありがとうございます。
ブクマ&評価が嬉しかったので本日2話目です。
1.
「―キーパー、お前のダンジョンには娯楽が少ないな」
「―カジノでも作ったらどうだ?」
2.
―次の日
さて、いよいよゴブリンを召喚するとしよう。
この坑道内にどんな危険があるかは未知数だが、何はともあれ、戦力を補充しておかなければいざと言う時にどうしようもない。
昨日の探索でインプ共が持ち帰った銀貨は全部で四枚だ。召喚というものはある程度、偶然に依る所もあるが、おそらく四枚有れば最低でも一匹以上のゴブリンが現れるだろう。
俺はダンジョンハートの前に銀貨を置き呪文を唱えた。
「異界より供物を引き換えに我が呼び声に応えよ」
「<サモン>ゴブリン」
……やや時間が空いて、目の前に人が一人通れるかどうか、と言った程度の穴が空いた。穴の奥は極彩色が渦巻いており向こう側は見通すことが出来ない。
恐らく穴の向こうは魔界ですら無い異次元へと繋がっているのだろう。
そのまま様子を見ていると穴の淵に緑色の手がかかった。成功だ。ゴブリンが穴から這い出してくる……
穴が消えた時、俺の眼前には三匹のゴブリンが出現していた。
暗い緑色の肌を持ち、顔には下から突き出す様な牙が二本生えており、どいつも大人一人分ほどの身長で痩せ細った体躯をしている。
「ギイィー」「ギギッ」「グルゥ…」
「おお!ゴブリンが三匹はラッキーだな!うまく行っても二匹かと思っていたぞ」
しかし何か違和感が…
「―キーパーよ、最後の奴はどうやらゴブリンでは無いみたいだな」
ん??成る程、暗くてイマイチ見えづらかったが最後の奴は言われてみれば、確かに肌が緑というより黄色かオレンジ色の様に見える。
「うーん?確かによく見たらこいつだけちょっと違うな」
「グルルゥ」
顔つきは似ているが、よく見たら額の中心に小さいツノみたいな物も生えている。何となくこちらを威嚇している様にも見えるが、一人だけちょっと背が低いので不安なだけかも知れないな。
「―召喚、というものは」
「―世界と世界を繋ぐ極めて不安定な術だ」
「―こういったはぐれも珍しくは無い」
まあ、先輩が言うのであればそう言うものなのだろう。
とりあえずコイツらは貨幣を媒介とした一時的な召喚だ。つまり、インプ共が俺の直属の部下とするならば、ダンジョンと契約した傭兵みたいなものだ。
なのでインプ共の様にマナを通じてダンジョンハートと繋がっている訳ではないので、向こうの言っている事は完全には分からない。まあ、ゴブリンは単純なので喜怒哀楽程度なら読み取れるが。
「よし、とにかくこのダンジョンの防衛はお前たちに掛かっている!よろしく頼むぞ!」
「ギギッ」「ギギー」「グルゥ」
はぐれも返事はしっかりしてくれたので仕事はこなしてくれそうだ。
とりあえずコイツらを昨日の小部屋へと向かう様指示を出す。
「ここから北に小部屋がある。そこを寝室として使って良いから自分のねぐらを作ってきなさい」
「インプ共は道案内してやれ」
「「「ギッギー」」グルルゥ」
(ついてこい!)(たのしいよ)(いくわよ〜)
うむ、何となく先輩風を吹かせているのを感じるな。まあ、クリーチャー達にも先輩後輩はあるのだろう。
ともあれ、これで拠点は最低限の体裁が整った。俺が今からすべき事は坑道を南へ南へと掘り進めつつ、道中で食料の確保と、供物となる鉱物や貨幣の発見だな。
「出来れば、あとは武器を調達したい所だが、坑道に剣や盾なんかは無さそうだしなぁ…」
「―お前は中々ユニークな奴だな、キーパー」
「―力任せのクリーチャー共にとって、ツルハシ程ピッタリな武器もそうそう無いだろうよ」
「ああっ!」
そうだすっかり失念していた!!
錆びたツルハシが十本もあるでは無いか!
ツルハシ、というものはアレで中々に殺意の高いシロモノであり、ハルバートという武器の原型にもなったと言われている。持ち手の部分を短くした物は「ウォー・ピック」と呼ばれ、王国の騎兵達の中にも好んで使う者がいるそうだ。
しかも、剣や斧と違って切ったり刺したりする使い方では無く、重さを活かして叩きつける、あるいは遠心力で振り回して突き刺す、といった使い方をするので錆びている事が殆どデメリットにならないのだ。
ゴブリン達の力で振り回されるツルハシは致死の一撃として余りあるに違いない。
「よし、武器はそれで十分だな。」
「奴らが戻り次第、目標の遺物を目指して南へと進んでいこう」
3.
*(ここは…どこ?)
(僕はいったいどうしちゃったんだろう)
(おかあさんに会いたい……)
――――――――――
総兵力
???9
内訳
インプ3
ゴブリン6
はぐれ????
資材
錆びたツルハシ×10
古びたヘルメット×3
部屋
寝室
ダンジョンハート
健康
tips
ゴブリン…厳密に言えばレッサーや、ハイ、更にはグレーター、一番上にはロイヤルまでの冠詞が付くのだが、あまり気にしなくて良い。
何故なら、仮に最上位のロイヤルゴブリンであろうとも初心冒険者が1チーム居れば成す術もなく狩られてしまう為だ。
ゴブリンはどれだけ凄かろうと所詮ゴブリンなのだ。
読んで頂きありがとうございました。
続きが気になると思って頂けましたら評価、ブクマの方何卒よろしくお願いします。マジで筆が乗ります。
以下お知らせ
この度、拙作の分類をローファンタジーではなく、ハイファンタジーに切り替えました。理由は現代日本の転生や、転移が存在するのがローファンだ、という見解が有るのを知ったからです。混乱されてしまった方が居ましたら申し訳ありません。
これからもなるべく早く更新できる様に頑張りますので応援よろしくお願いします。