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キーパーハートと初めてのダンジョン

お待たせ致しました


読んでくださっている方、ブクマ、評価して頂いた方、本当にありがとうございます!

 1.


「―お前のクリーチャーどもは匂いがきついな」


「―香水をつけてる奴がいるんじゃあないか?」


 2.


 さて、とりあえず現状は把握できた。

 まず現在の最終目標はひとまずこの坑道の内部を隅々まで探索し、「遺物」とやらを手に入れる事である。


「ふむ、とりあえず奥へ進んでみるか?」


「―……キーパー、お前は何のために学校に通っていたのだ」


「―今こそ呼び出すのだ、邪悪なクリーチャー共を」


 そうか、まだあまりの事に実感が追いついていなかったが、俺はダンジョンキーパーとなったのだ。


「そりゃそのとおりだな」


「―まずはこの坑道にダンジョンを作るのだ」


「―お前の心臓は既にキーパーハートへと転じている」

「―キーパーハートは祈りの言葉によりその形を変えるだろう」


 成る程、その辺は授業で散々やったな。始動キーとなる祈りの言葉もちゃんと覚えている。

「よし、じゃあやってみるぞ」


「未知なる邪悪を集結し、全ての魂を征服し、あらゆる希望を蹂躙せよ。<アセンブル>」


 俺がそう呪文を唱えると左胸が眩いほどに輝き出した。

 暗闇に慣れた目はあまりの眩しさに見えなくなってしまったが、光はすぐに収まり、気づけば俺の眼前にはあの時見た、デモンズハートのミニチュア版の様なものが鎮座していた。


 心臓の様に見えるそれはうっすらとしたピンク色でところどころに血管が走っている様子が見てとれた。ゆっくりと拍動しているようだが、これは……?


「―おお、成功だ、キーパー」

「―お前のダンジョンの文字通り中心となるこれこそが」


「ーダンジョンハート、というわけだ。」


 一つのダンジョンの中には必ず一つ以上のダンジョンハートが存在する。


 地上の冒険者達に「コア」と呼ばれるそれは、異界よりクリーチャー共を呼び寄せる触媒であり、キーパー達の心臓部、すなわちダンジョンにおける最重要防衛地点である。


 逆に言うと冒険者にとってはコアを破壊する事がダンジョンに潜る目標であり、やつらは一目散に中心を目指して侵略してくるのだ。


 ここが破壊された場合、ダンジョンは崩壊し、キーパーは死ぬ。だが逆に、ダンジョンハートさえ無事であればキーパーは何度でも甦る。


 おもちゃを買ってもらった子供の様に、俺は初めて見る自分のダンジョンハートに感動していた。

「すごい…」


「―ダンジョンハートを作成するメリットはキーパーが不死になる事だ」

「―これがある限りキーパーは食糧も水分も睡眠も不要になる。ダンジョンが直接周囲の養分を吸収するのだ」

「―そしてもう一つ、クリーチャー共の召喚が可能になる」


 

「ダンジョンハートに生贄や、宝石、自身のマナなどを捧げる事によってクリーチャー共を異界より呼び寄せる、だったよな」

 俺は授業で習った箇所を思い出しながら答えた。


「―そうだ、まずはインプを呼び出せ」


 インプはクリーチャーの中で唯一、キーパーのマナによってのみ召喚される存在だ。


 生贄や、宝石などの資材を必要としないためダンジョンが存在する限り無限に召喚出来るが、一度に召喚出来る数はダンジョンの大きさによって決まる。仕事内容は主に雑用や穴掘りで、戦闘はほぼ無理である。知能は五歳児程度で、食事が無くてもある程度は働くが、あった方が仕事の効率は上がる。


 よし、いよいよ初召喚だ。


 俺はダンジョンハートに触れてインプを呼び寄せる為の呪文を唱えた。


「異界より、我が呼び声に応えよ<サモン> インプ(Smalldevil) 」


 するとたちまちに、ボフッという気の抜けた音としょぼい爆竹ほどの煙と共にダンジョンハートの周囲に三匹のインプが現れた。


 大きさは大体人間の子供ぐらいだろうか?落ち着きなく周囲を見回している。暗闇でも見える様に目が大きく発達しており、それぞれおでこの辺りに小さなツノが生えている。


「おお!できたぞ!」

 うーむ。教科書では何度も見たし、魔界でも野良インプは普通にいたが、実際に自分のダンジョンの使い魔として呼び出すと中々感慨深いものがあるな。

 どうやら現在呼び寄せるのは三匹までのようだな。


「―いいぞ、キーパー」

「―インプ共に周りをどんどん探索させ、周囲の情報を集めさせるのだ」


 キーキーと鳴くこいつらはダンジョンとリンクしているらしく、何となくだが、何を考えているのかが俺に伝わってくる。


(なんだここ)(くさいな)(おふろないのかしら)

(しごとはなんだ)(ねむいぞ)(ねいるもないの?)


 …驚いた事に一匹はメスの様だ。

 つーか、不満が多いぞ…

 

 舐められてはいけない、こういうのは最初が肝心だ。

「ええい、つべこべいうな!ネイルなんかあるか!」


「とりあえずお前らは探索行動を命じる!」

「理想は坑道内の使われていない部屋を見つけて物資を持ち帰る事!」

「つるはしなんかが有ればサイコーだ!」


「三匹1チームで動け!状況はダンジョンハートを通じて俺に伝わるから大丈夫だ!」


(りょうかい)(がんばる)(ねいるー)


「よし、了解って言えた奴えらい!お前がリーダーな!」

「あとはスナオと、ネイルだ!」

「じゃあ行ってこい!!」


(りーだー!)(まじか)(ひどくない?)


(いってきます)(いってきます)(いってくるわ)



3.


「―キーパー、中々見事な統率ではないか」

「―インプ共はサボる事が何より好きだからな、気をつけろよ」


「わかってる、しっかり見張るさ」



――――――――――


総兵力3


内訳

インプ3


資材

なし


ダンジョンハート

健康



tips


 ☆ダンジョンハートとキーパーハート


…基本的にそれぞれは同一のものであるが、ダンジョンの中においてはダンジョンハート、ダンジョン外で活動する場合はキーパーハートとなる。


 心臓を捧げるという事は魔術的に強い意味を持つ。

 脳と心臓、魂はどちらにあるのだろうか?





某玉葱先生に憧れて小説を書き始めました。


読んでいただきありがとうございました。

続きが気になる!と思って頂けましたら、なにとぞ評価、ブクマ、御感想などお願い致します。。

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