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犯罪的犯罪

作者: 藤原森滋

作者はこれを皮肉として書いたつもりである。 


「こわいよお?こわいよお?キャーアッハッハあ」公園で楽しそうに戯れる女児の姿を尻目に、おれは行動を開始した。あの女児も、その若い母親も、おれが明日にも全マスコミを騒がす狂気に満ちた犯罪者であるとは知るめえ。自由の謳歌と引き換えに俺は自己顕示の権利を手に入れたんだ。


まずは手はずの場所に向かう。東京は土地勘が全くないので、Google MapsとNavitimeを使わないと外に出ることができない。恥辱的かつスパイ失格だが、上官からは何も言われない。もしかしたらもう役立たずと思われているのかもしれぬ。我が愛機ホメオスタシス1世(iPhone SE 2 space gray model)で調べると、待ち合わせ場所は丸ノ内線新宿三丁目駅1番ホーム前から4番目。なおかつ16時ピッタシに列の一番前で黒いTシャツを着てこいとある。やけに厳密だが、この超弩級重要度を誇る偉大な任務を仰せつかるに当たっては、それくらいの努力は必要なんだろう。


あいにく家のタンスには黒いTシャツは一枚もなかったので、徒歩10分の超有名服飾量販店「第一小売提供独特衣服」でやけにサラサラした590円のTシャツを一枚購入する。本来はおフランス製高級服飾店で2万くらいのやつを買うべきだし自分も買いたいのだが金がないのでほぼワンコインの量販ものですます。女性がこんなものを着たらいろんなところの輪郭が浮き立ってコケティッシュだが、私は男なので心配ない。こんなご時世では僕も潜在的トランスジェンダーの可能性を否定できないが、おそらく僕は女性を性欲対象としていると思う。


余計なことを考えていたら、夜になってしまうので、早速山手線にのって池袋までいく。なぜか途中、女子高生に睨まれた。ものすごい目線だ。俺は断じてそんなお前の苦手なブロッコリーみたいな変なものではない。

人間だ。差別だ。移動中にちょっと制服と俺の手が擦れただけなのに。お前はそんなに自分が肉体的魅力を備えていると思うのか。そうこうしているうちに池袋に着いたので丸ノ内線に乗り換えて新宿三丁目を目指す。


うつらうつらしているうちに新宿三丁目に到着した。時計を確認すると15:5

8:49!!!!やべえ。紳士としては5分前行動は必須のスキルだ。急ぐ。史上最高速で階段を駆け下り前側4番目に向かう。


待つこと10秒。「よう、相棒」なぜか隣に住んでいる城島に声をかけられた。

「うっす。でも用があるんだ。また後で」

「ちげえよ。連絡したのは僕だよ」

「まじか?じゃあ早く爆弾を渡してくれよお」

「いやだ」

ニヤッと城島がその美しい顔に悪魔的笑みを浮かべたが最後、俺はホームから突き落とされた。

生の最後、俺は自分の全てが奈落の底に引きずり降ろされていくのを感じた。

なぜかそれは、今まで感じた触感のなかでもっとも実体を伴うものだった。俺は、初めて俺を感じた。

~The End~





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