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LAST HERO -ラストヒーロー-  作者: 夏空 彗
9/11

不眠症ヒーローへの手紙。

「あっ、ヒーローのお姉さん……!」

「よう。久しぶり。元気してた?」


私たちがエレベーターから降りてきたのに気付いた優紀ちゃんが、こちらを見て駆け寄ってくる。

黄色の可愛いリュックと、今時の子って感じの服装に身を包んだ彼女は、もうすっかり元気な顔だ。


「お前、家帰ったんだろ?また来たのか?」

「はい。ヒーローさんにお礼言うの忘れてたから……」

「あー、まずその“ヒーローさん”ってのやめようか。なんかムズムズする」

「え、じゃあなんて呼べば……」


一暁先輩の突然の言葉に、戸惑ったような声と、視線をこちらに向ける優紀ちゃんに、先輩は少しかがみこんで、


「私の名前は天野一暁。ほら、名前教えたんだから、名前で呼べって」


先輩がそう言うと、優紀ちゃんはさっきまでの戸惑いの表情はどこへやら。

一気にパァァ、と音が鳴りそうなくらいに表情を明るくさせて「一暁さん!!!」と呼んでいる。

なんか優紀ちゃん子供みたい……って、子供か。


「あ、一暁さん。渡したいものがあるんです」

「お?なんだ?」


黄色いリュックをガサゴソと漁り、何やら茶色くて横長の、レトロな雰囲気の地球のイラストが描かれている封筒を取り出す。


「これ…なんですけど」

「中身は見たのか?」


優紀ちゃんがリュックを背負い直しながら、神妙な顔で首を横に振る。一暁先輩が封筒を受け取り、不思議そうな顔で裏と表を交互に見る。


「何で中身見なかったんだ?」

「宛先とか何にも書かれていないのに、私の家に届いたから不思議に思って……。何かちょっと怖くて……」


私たちも近寄ってその封筒をのぞき込む。

本当だ、宛先も何も無い。

蒼弥先輩が眉をひそめて唸り、翔斗が珍しく表情筋を使って怪訝な目をする。


一暁先輩がゆっくりと封を開けていく。

どくん、どくん、と私の心臓が鳴り響く音が聞こえる。中の2つ折りにされている手紙を取り出して、開いた。




拝啓 これを読んでいる皆様へ


初めまして、とは言えませんね。


お久しぶりです。天野一暁さん達、ヒーロー課の皆様。


私はあなた方が血眼になって追いかけている、Darkworldの者です。


この度、小さな子供を誘拐するという不祥事を起こしましたが、あれはほんの序章です。


これからまさに“世界が暗くなる”ほどの悲劇を起こしていこうと思う所存です。


どうかあなた方が、これを読んで無駄な足掻きをしてくれますように。


Darkworld ノワール

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