面白いほうを選択した結果
初投稿。
お試しで描いてみました。
サクサク読めますが,内容は薄いです。
それでも,宜しければどうぞ。
月が綺麗に浮かぶ夜。とある場所では,多くの男女が集まって談笑していた。
今日は,マクズヴェル学院の卒業パーティー。この国が誇る学院で多くの未来ある貴族の子供が通っている。そのため,多くの貴族が参加しており,場所も学院のホールを貸し切って行われている。
そんな素晴らしいパーティーが行われる中,一つの言葉が会場に響き渡る。
「フィーリア・ティスヴェル!今日を持って,貴様との婚約を破棄する!そして,私はこのマルゴットと婚約することをここに宣言する!」
――何してんだ,あの王太子
俺は,その様子を食事と飲み物を両手に持ち,会場の隅の方で見ていた。
この国の王太子である,アルベルト・マクズヴェルが小柄な茶髪の少女を横に抱き,会場の真ん中で意味わからんこと叫んでいる。
王太子は,この国一番の美女と言われた王妃の血を引くためかイケメンである。
その周りには,騎士団長,宰相,宮廷魔導士,この国トップの商会の会長,この国の中枢を担う肩書を持った親たちの息子。そのどれもが見目麗しい男であり,王太子の側近である。その全員が少女を守るかのように立っている。
そして,その男たちと少女の正面には,一人の令嬢がいた。
肩まで伸びる銀髪,意志の強そうな切れ長な紫の瞳,スッとした綺麗な鼻,リップでも塗っているかの様な瑞々しい紅い唇,スラリとした体形,豊満とまではいかないが形の良い胸,白魚の様な肌,どれをとっても絶世の美女と言っていい人物。
それが,この国の辺境公爵の一人娘である,フィーリア・ティスヴェルである。
さらに,見た目だけではない。頭も良く,運動神経も抜群,人当たりも良い,といった非の打ちどころの無い完璧超人である。
そんな完璧令嬢に何言ってんだろうか。
王太子に呆れる気持ちを持ちながら,事の顛末が聞こえるように近づく。
「貴様は,私の婚約者としての立場,自身の家の権力,そして,取り巻きを使い,ここにいる次期王妃であるマルゴットに危害を加えた!私の気持ちが貴様に向かないからといって,醜い嫉妬心に駆られて,マルゴットに危害を加えようとするとは思わなかった!そんな恐ろしい女と婚約しているなど我慢できない!」
王太子は,フィーリアを指さしながら,捲し立てている。そのフィーリアはというと,まったく表情が変わらず,王太子のことを冷たい目で見ていた。
あまりの温度差に心の中で思わず笑ってしまう。
王太子も自分がどんな目で見られているのか気づいたのか,顔を赤くしている。
「なんだ,その目は!貴様がすぐに謝れば,このような場だから貴様の醜聞を言わないでいてやろうと思っていたが,やめだ!トルトニス!」
側近の一人が前に出て来る。宰相の息子であるトルトニス・リソノ。その手には紙束を抱えている。その紙には,フィーリアが何をしたのかが書かれているらしく,次々と読み上げていく。
内容は以下の通り
・お茶会で恥をかかした
・教科書を捨てた
・ドレスを脱がして,放置した
・散歩しているところを馬で轢き殺されそうとした
・魔法の授業中に攻撃魔法を撃った
・階段から落とした
と,そんな感じのことを言っていた。
そして,フィーリアはというと,王太子の隣にいる少女,マルゴットを見る。マルゴットはビクッと震えると,王太子の後ろに隠れる。
「貴様!マルゴットを睨むとは,どこまで彼女の心に傷を負わせれば気が済むんだ!貴様には,国外追放を言い渡す!マルゴットに危害を加えるような女がこの国にいるというだけで危険だ!今すぐ,この国から出ていけ!」
その言葉に続くように側近たちもフィーリアに対して,罵倒を投げかける。
フィーリアは,その言葉に下を向きながら,黙って聞いていた。
俺は,あの完璧令嬢が何も反対せず,黙って聞いていることが意外に思った。聞いている限り,あの宰相の息子が集めてきたことは証拠不十分も良いとこである。それなのに一切そのことに触れないし,自分の無実を訴えないこともしない。何を考えているのだろうかと,わくわくした気持ちを感じた。
フィーリアは,ようやく顔を上げる。しかし,その顔は,会場の人々が思っていたものとは違っていた。そして,王太子も同じことを思っていた。彼女が見せた顔に浮かんでいるのは,悲しみではなく,周囲を魅了するかの様な笑顔であった。
「そうですか,分かりました。本日を持って,この国から去ります。今までありがとうございました。王妃になるための十年間は無駄になりましたが,その知識は有意義なものでした。それでは,皆様。ごきげんよう」
そういうと,綺麗なカテーシーを決めて,足早に出口に向かっていく。その様子に王太子唖然として,固まっていた。他の側近たちも予想外といった様子をみせて,戸惑っている。会場にいる人たちも訳もわからず,どうするべきか周囲を探っている。
俺はというと,彼女と同じように笑みを浮かべていた。
(あの令嬢,面白れぇ!)
俺は,出ていった彼女を追いかえるように会場を飛び出す。彼女の姿はなく,遠くから馬車の音が聞こえる。俺は,その音で彼女の今までの行動は完全に計画していたものだと確信した。なら,この後に展開に興味がわいた。彼女がこの後何をなすのか,何を思っているのか,様々なことが頭を巡る。
俺は,ただの凡人でしかないが,彼女の側にいたいと強く思った。彼女が見ているものが気になった。追いかけるように馬車に乗って,彼女の行き先を調べるために家に戻ることにした。
月日が流れ,あの学院での婚約破棄から三年。俺は,フィーリア・ティスヴェル公爵令嬢改め,ティスヴェル王国第一王女兼ティスヴェル王国第一騎士団長の側近兼副団長をしている。
あの婚約破棄の後,ティスヴェル辺境公爵領はマクズヴェル王国から独立。マクズヴェル王国とティスヴェル王国の戦争が始まった。隣国と全ての辺境領がティスヴェル王国についた為,じわじわとマクズヴェル王国は追い詰められ,去年の秋,マクズヴェル王国は崩壊した。
元々,マクズヴェルの家系は,ティスヴェルの家系から王位を簒奪した家であるらしい。元々の祖先は,同じなので,血は同じものが流れているらしい。
ある時の王弟,マクズヴェルの性を与えられた家が『同じ血が流れているのなら私が王でも構わないだろう』と王位を簒奪。元々の王族であるティスヴェルを辺境に追いやったらしい。一応,王族であるため,公爵の位を与えられたが,その他には何も与えられず,まだ開拓もされてなかった辺境を自力で開拓し,辺境領を作り上げていった。これが約三百年前の出来事である。
そして,今代で王位を簒奪し返そうと思い至り,その娘であるフィーリアも計画に参加していたらしい。
まぁ,その計画通りに事が運ばせる手腕は,流石だと言いたい。
俺は,隣を見る。綺麗なドレスではなく,銀色に光る鎧を身につけたお姫様を見る。簒奪し返した王城のバルコニーに立ち,王都を見下ろしている。その眼下では,多くの民が集まり,お姫様を讃えている。
数々の戦場で活躍し,【戦乙女】の二つ名を貰ったお姫様。
学院では完璧な令嬢だったが,気の知れた者の前では無防備なお姫様。
いつもは凛とした姿を見せているが,虫を見ると悲鳴を上げて怖がるお姫様。
あの時,面白そうだからと,親と縁を切ってまで彼女を追いかけた。その結果,学院の頃では,想像できないような彼女が見ることができた。
やっぱり,人生は面白そうな方を選んだ方がいいなと心底思う。
目の前に広がる光景,そして,彼女の隣にいられることが何よりも幸福だと言えるから。
書き終わって思ったことは,この手(恋愛)の話は駄目&内容意味不明だな,です。
色々なジャンルを書いていこうと思いました,まる
あたたかく見守ってください。