第百九十章 フジコ、アヤメに忠告する
ある日、フジコからアヤメとコスモスに連絡がありました。
アヤメが、「博士、突然どうしたの?何かあったのか?」と何か問題が発生したのかと感じて心配そうでした。
フジコが、「紅葉さんが、最新鋭の海坊主の機械獣を撃墜したらしいわね。」と確認しました。
アヤメが、「そうらしいわね。海坊主の対応は地球人に任せておけば大丈夫だから、私達も菊枝さん達の警備を辞めてテレジア星に帰ろうかしら。」とただの雑談の為に連絡したとは思えず、帰ると伝えると、どのような反応をするか確認しようとしました。
フジコは、「帰るのはまだ早いわよ。相変わらず女神ちゃんは何も考えてないようね。紅葉さんが撃墜した海坊主の機械獣の事を調べたの?」とヒントを与えました。
アヤメは、「それは地球人が調べているだろう。今、地球人に任せておけば大丈夫だと言っただろうが。何を聞いているのだ。さあ帰る準備をしよう。」とその対策は考えているが、フジコの考えも聞いておこうとして何も考えている様子がない芝居をしました。
フジコが、「全く女神ちゃんは仕方ないわね。どうせそんな事だと思い、私が紅葉さんの撃墜した海坊主の機械獣の性能を調べました。地球の科学力では作成不可能です。女神ちゃんが地球に忘れた戦闘艦の補助エンジンの資料を参考にしている事は間違いなく、更に紅葉さんのアクロバット飛行は、先日陽子さんに確認しましたが、地球人には体力的に限界で、若い時にしかできないと思うので、近い将来地球人では対応できなくなる可能性が高いです。あなた方の頭では急に言われてもどうすれば良いのか解らないと思うので、ゆっくりと考えておいてね。それでも解らなければ教えてあげるのでね。」と指示しました。
通信切断後陽子は、「その事は以前、アヤメさんに指摘されて相談した事なのに、何故フジコさんに言わないの?機械獣の事も紅葉さんが交戦中に調べて知っていたでしょう?相談した時は、紅葉さんの操縦技術を伝えて行くしかないと思いますが、紅葉さんの子供が紅葉さんに似るとは限らず主人に似るかもしれません。航空機の事はよく解りませんが、紅葉さんのような超一流パイロットでないとできないのではないですか?そのようなパイロットがいなければ、地球人には対応不可能だと相談するとアヤメさんが、菊子もUFOで侵略者と戦ったから私達もUFOの訓練をするようにと言っていたではないですか?」とアヤメの対応が理解できませんでした。
アヤメは、「私だって完璧じゃなく抜ける事もあるわよ。馬鹿だと思わせておけば色々と教えてくれるのでね。博士には、地球人で対抗できなければ、テレジア星人の力を借りるしかないだろうと返答しておくわ。そうすれば、色々と教えてくれるだろう。」とアヤメの考えを教えました。
アヤメが返答するとフジコは、「全く何故女神ちゃんはそうなのよ。地球人は宇宙人と遭遇した事がない為に、パニックになる可能性があるわよ。可能な限り、私達が関与しない方が良いのよ。仕方ないわね。ヒントだけ教えてあげるから後は自分達で考えなさい。以前X星人が攻めて来た時は、誰が中心に戦ったの?女神ちゃん達は何故、陽子さんと菊枝さんをガードしているの?後は自分達で考えなさい。」と指示しました。
通信切断後菊枝はそれを聞いて、「矢張りフジコさんはアヤメさんの考えているように、私達に戦えと言っているようね。でも今はUFOの操縦訓練で、実戦訓練はまだしてないから、実戦が可能になるまでに敵が攻めて来れば、菊子さんに頼むしかないわね。陽子、あなた菊子さんと面識があるのでしょう?頼んでみてよ。」と依頼しました。
陽子は、「菊子さんと面識があるのは、詐欺師のバックについているやくざの幹部としてだから、やくざの幹部がそんな事を頼むのも可笑しいので、機会があれば話をするわね。」と返答しました。
アヤメが、「それまでに敵が現れたら私が蹴散らしてやる。」と安心させました。
陽子は、「しかし海坊主と戦うのは菊子さんではなく、何故私達なの?菊子さんは、私達よりテレジア星人の血が濃く、以前アヤメさんが言っていましたが、菊子さんは子供の頃からテレジア星で教育を受けたのでしょう?私達より菊子さんの方が適役だと思うわよ。」と提案しました。
菊枝が、「相手は組織的に動いている海坊主よ。UFOの基地を捜すでしょう。菊子さんが中心に戦えば、住宅街が攻撃される可能性があり危険よ。まさか海坊主もやくざの本部にUFOの基地があるとは思わないでしょう?少なくとも菊子さんより、私達が中心になって戦う方が安全よ。」と陽子の提案を否定しました。
陽子は、「菊子さんにもここに来て頂ければ良いでしょう?」と反論しました。
アヤメが、「菊子は芹沢陽子の孫と住んでいて、以前丸東組が使っている詐欺師に騙されて怖がっていて、菊子を離そうとしないのよ。陽子、自分が使っている詐欺師ぐらいコントロールできないのか?」と助言しました。
陽子は、「解ったわ。アヤメさん、コスモスさん、UFOの秘密発着基地を丸東組本部の地下に極秘で作成できないかしら。」と菊子を戦いに巻き込む事は諦めました。
アヤメは、「それは、世間に知られないように秘密で作る事だな。テレジア星の技術を使えば簡単に作れるわよ。」と返答しました。
アヤメがフジコに、その方針を伝えるとフジコは、「女神ちゃんにしてはよくそこまで考えたわね。でももう少し考えて欲しかったわね。今は地球人が中心に戦っているわよね。この先、どうなるかしら。」と今後の事も考えるように助言しました。
アヤメは、「そんな事、知るか!なるようになるさ。」と先の事は何も考えている様子はありませんでした。
フジコが、「もし女神ちゃんが地球人の責任者なら、どんな作戦で戦う?」とヒントを与えました。
アヤメは、「そのまま戦うだけだ。」と返答しました。
陽子が、「フジコさん、もし私が地球の責任者でしたら、マリさん、紅葉さん、富士夫さんは超一流パイロットですので、その三名を中心にした特別チームを編成するわ。」と考えました。
菊枝が、「そうなれば、もし私が海坊主のボスでしたら、その三名のパイロットを捜しだして暗殺するわ。」と敵がどう動くか考えていました。
陽子は、「特別チームを編成するのは三名の護衛も兼ねています。」と返答しました。
菊枝は、「その特別チームの基地を捜すわ。」と返答しました。
フジコが、「さすが、やくざの幹部だけあって、責任者としての方針は確りと持っているわね。海坊主に狙われる可能性がある為に、特別チームは秘密部隊にすると思いますが、菊枝さんが考えているように、海坊主はその基地を捜すでしょう。もし海坊主に発見されれば、その特別チームの基地もUFOの基地の中に作る必要があると思いますので、ジェット戦闘機の発着も考慮して作成したほうがいいと思うわよ。」と忠告しました。
アヤメが、「博士、地下に滑走路は無理だ!実戦経験のない博士は机上論ばかりじゃないか!」と怒っていました。
フジコが、「垂直離着陸機にすればいいでしょう。特別チーム専用に性能の優れたジェット戦闘機を作成する可能性があるので、そうなれば垂直離着陸機にすると思うわよ。もし垂直離着陸機でなくても、UFOが援助すれば垂直離着陸機のように離陸可能でしょう?天井を開けられるように考えておいた方がいいわよ。」と返答しました。
陽子が、「解りました。垂直でないと発進不可能なので、建物の地下ではなく、庭の地下に作成します。もし、そうなれば、基地の天井を開けられるように改造可能な基地にしておきます。」と返答しました。
フジコが、「そうした方がいいと思いますが、女神ちゃんとコスモスちゃんにできるかしら。ただ庭の地下に作るだけで、いざ改造しようとすれば、“まずい、ここを開ければ強度が足りない。崩れるかも。”てな事にならないかしら。」と警告しました。
陽子が、「確かに私達には建築の知識もなく、極秘に作成する為に業者に依頼できないので、可能であればフジコさんに協力願えないかしら。」と頼みました。
アヤメが、「私に頼むと不安があるのか!」と不満そうでした。
フジコが、「女神ちゃんにそんな知識があるの?できるの?」と確認しました。
アヤメは、「やってみないとそんな事、解るか!」と返答しました。
フジコは、「という事はできない可能性もあるのね。それじゃ困るのよ。私が行きます。UFOの基地はできるだけ早く作ったほうがいいと思うので、今から行きます。女神ちゃんは、陽子さんと菊枝さんが時間の取れる時に、UFOの操縦方法や実戦訓練も可能であればしておいてね。これは私より、女神ちゃんが指導したほうが確実だと思うので、女神ちゃんに任せます。」と提案しました。
通信切断後陽子は、「アヤメさん、私達はUFOの操縦以外に、地下秘密基地も考えていたでしょう?そこまでフジコさんに惚ける必要があるの?」と不思議そうでした。
アヤメは、「私でも抜ける事はあると言っただろう。実際、秘密部隊の事までは考えてなかったわ。私は馬鹿だと思わせておけば、今のように教えてくれるでしょう。でも実戦経験のない博士は一歩遅れているでしょう?今から準備していれば遅いでしょう。実戦訓練は、もう少しUFOを上手く扱えるようになってからにしましょうか。秘密基地は博士と作りましょう。」と提案しました。
陽子は、「秘密部隊の事までは考えていなかったと言っても、UFOの発着口から発進するだけだから、問題ないのではないですか?」と不思議そうでした。
アヤメは、「戦闘機の排気ガスの考慮と、階段で行く為に、地下室の更に地下、すなわち地下二階に作成し、斜め発進を考えていたわ。」と返答しました。
次回投稿予定日は、5月25日です。