第二百六章 マリ、スタントマンになる
紅葉主演のテレビドラマのロケが航空機の離着陸可能な離れ小島の無人島で行われる事になり、移動手段がない人は、テレビ局がチャーターした航空機で移動する事になりました。
紅葉は自家用機で移動する事にしていましたが、そのロケ現場が海坊主に襲われました。海坊主の目的は紅葉抹殺のようでした。紅葉もカメラマンのアルバイトの富士夫もまだ移動していなかった為に、紅葉は正体がばれる事を承知の上で、ハーケン特別隊として出撃しました。
紅葉は、「私はハーケン1号機でロケに行っていたけれども、富士夫兄さんは、どうしてハーケン2号機を使わなかったの?」と不思議そうでした。
富士夫は、「ロケ現場でハーケン1号機と2号機を並べて駐機したらどうなる?本物のハーケン号だとばれる可能性があるだろう。だから僕は車など別の手段で移動していたんだよ。」と返答しました。
紅葉は、「それじゃ、今回はどうするつもりだったの?離れ小島へは車では行けないわよ。」と不思議そうでした。
富士夫は、「ハーケン号以外にも自家用機があるだろう。ハーケン特別隊が結成されるまで二機あっただろう。それのどちらかで行こうと思っていた。」と返答しました。
ロケ現場に接近すると、猪熊探査員が、「海坊主の戦闘機を捕らえました。」と報告しました。
マリは、「二人共、無駄話は辞めて戦闘態勢に入って!紅葉、あめ玉食っていないわよね。」と確認しました。
紅葉は、「もう食ってないわよ。」と返答しました。
猪熊探査員が、「せっかくデジカメを持って来たのに、今日も風呂に入っていなかったのですか?紅葉さんが、そんなに不潔だとは思いませんでした。」と笑っていました。
紅葉は、「四六時中、風呂に入っている訳ないじゃないの。ふやけてしまうわよ。」と言い返しました。
ロケ現場の上空で紅葉達は交戦状態になり、それを見ていたディレクターはカメラマンに指示して、その様子を撮影しました。
「全世界のヒーロー、ハーケン号の活躍振りを確りと撮影しろ!大スクープだぞ!ドラマにも使えるぞ。」と興奮していました。
暫く交戦して、その後、分離したのを見てディレクターは、「あっ!遣られた。・・いや違う分離したんだ。ハーケン号が分離可能だったとは知らなかったな。ん?一寸待て!カメラでもっとクローズアップできないか!一番大きなやつだ。」とカメラマンに指示しました。
カメラマンがハーケン1号機をアップにしました。
ディレクターは、「矢っ張りそうだ。あれは先日、紅葉が自家用機だと言って乗って来ていた航空機じゃないか。矢っ張り紅葉はハーケン特別隊のパイロットだったのだ。大スクープだ、どんどんカメラ回せ!」と興奮しながら、カメラマンに指示しました。
ハーケン特別隊が海坊主の戦闘機を撃墜しましたが、ハーケン1号機の猪熊探査員が海から何者かが上陸するのを発見しました。
ハーケン特別隊の海上部隊と陸上部隊が到着するまで、陸上部隊で紅葉の警備担当の三名が対応する事になりました。
連絡を受けた三名は、トイレに行くと他のスタッフに伝え、ハーケン特別隊の戦闘服に着替えて、武装しました。
富士夫が、「何故、紅葉の警備員が紅葉と別行動をして、先に離れ小島に来ているのだ?」と不思議そうでした。
紅葉は、「基地にいる時は警備不要で、移動はハーケン1号機の為に警備員は搭乗できないので、先に行って待機していたのよ。それで今回対応できた訳よ。」と説明しました。
富士夫は、「そう言えばそうだな。」とうなずいて納得しました。
ハーケン特別隊指揮官のマリは無線で、陸上にいるロケ隊の責任者に、「私はハーケン特別隊航空部隊の指揮官です。海坊主が上陸しようとしています。ハーケン特別隊陸上部隊の先遣隊三名がいま到着しました。私達も上空から援護しますので大丈夫です。」とパニックを避けるために伝えました。
激しい銃撃戦になりましたが、上空からの援護もあり、海上部隊と陸上部隊が到着するまで持ち堪える事ができました。
海坊主の組織メンバーを多数逮捕する事により、本部を確認して全滅させる事に一歩近付きました。
ハーケン特別隊航空部隊指揮官のマリは、合体後、操縦を副機長の紅葉に任せて、ロケ隊の責任者に再び無線連絡しました。
「ハーケン特別隊は悪までも秘密部隊ですので、今回の事件フィルムをニュースで放送しないで頂きたい。但し架空のドラマで放送する事は許可します。あなたも無人島でロケした結果が何もなければ困るでしょう。かといって俳優やスタッフは動揺しているでしょうから、今からロケも困難でしょう。どうせあなた方のことですから、撮影していたのでしょう。悪までも架空の物語としてですよ。この約束を破った場合には、ハーケン特別隊は世界各国からの選抜ですので、世界各国からの圧力がかかり、どのような事になるか解りませんので。」と口止めしました。
通信切断後富士夫が、「母ちゃん、架空のドラマとしてでも、今回の戦闘状態の放送を許可するの?」と確認しました。
マリは、「紅葉なら解るでしょう?特種とかスクープは放送したくて堪らないのよね。下手に押さえ込むと、裏ビデオとして、流出する可能性があります。それも架空のドラマではなく、実際の戦闘シーンとしてね。それが海坊主に渡る可能性は否定できないわ。せめて架空のドラマとして許可すれば、その可能性は相当低くなります。それとも、紅葉、富士夫ここからパラシュートで降下し、撮影する?軍人の経験がない紅葉と富士夫はパラシュートの経験がないでしょう。下手すると海に着水して、サメのおやつになるわよ。だから、これが一番良いのよ。」と返答しました。
ロケの責任者はその話を聞いて、今回のロケを中止にして、実際の交戦シーンを編集して、迫力のある映像にしました。
ドラマ、「伝説の名パイロット」に続き、「ハーケン特別隊」も大ヒットになり、ファンは実際にハーケン特別隊のパイロットだと知っている主役の紅葉の人気も、うなぎ昇りになりました。
ロケの責任者は、無線で聞いた、ハーケン特別隊航空部隊指揮官の声が、以前伝説の名パイロットの打合せ時に聞いたマリの声である事に気付きましたが、先程脅されたので、その事も黙っていました。
紅葉が海坊主に狙われている為に、身の危険を感じる俳優やスタッフもいましたが、人気ドラマに出演できる事や、その作成に関われる事から辞退する俳優やスタッフはいませんでした。
そのドラマの放送を見て、マリは珍しく興奮して、「一寸、見て見て、あれ私よ!」と喜んでいました。
その様子を見て紅葉は、「母ちゃん、今回の交戦シーンをドラマで使用する事を許可したのは、裏ビデオとして、流出を防ぐ為だとか何とか言いながら本当は、この為?このドラマは今後も続くので、そんなにテレビに出たければ、パイロットのスタントマンとして、操縦する?ディレクターや監督に話をしてやっても良いわよ。」と助言しました。
マリは、「本当に?是非頼んで見て!」と喜んでいました。
富士夫が、「秘密部隊の指揮官がそんな事をしても良いの?」と確認しました。
マリは、「これはハーケン特別隊とは関係ないわよ。スタントマンのアルバイトをするだけよ。」とドラマ出演に興味がある様子でした。
富士夫は、「知らないよ。後で怖い上官に怒られても。」と忠告しました。
マリは、「黙っていれば解らないわよ。」とどうしてもドラマにでたい様子でした。
富士夫は、「あれっ?以前僕達を指導している時に、誰が操縦しているか、解るようになれ!と言ってなかったかな?上官だとドラマを見れば恐らく解るのではないかな?」と忠告しました。
マリは、「私は仕事を持ってないので、こうでもしないと、この基地から出られないのよ。炊事洗濯掃除も隊員がしてくれるので、退屈なのよ。人の楽しみを取らないでよ。上官にばれたら、その時はその時よ。」とドラマ出演に乗り気でした。
紅葉は、どのタイミングで、監督にマリがパイロットのスタントマンをやりたがっている事を話そうかと思っていると、監督が紅葉に、「最近、ファンから、交戦シーンも次第に高等なアクロバット飛行を要求されて困っています。どうだろうか、お母さんに、パイロットのスタントマンを頼めないだろうか?紅葉と二人でアクロバット飛行をして貰えないだろうか?迫力のある映像になると確信している。」と依頼しました。
紅葉は監督に恩を売る為に、マリがスタントマンをやりたがっている事を隠して、「私が交渉するので任せて下さい。」と伝え、マリにも、監督に頼まれた事を隠して、「監督にスタントマンの事を何とか頼んだので、次回撮影時にパイロットのスタントマンとして、ドラマに出る?」と伝えました。
マリは、数回ドラマでパイロットのスタントマンとして撮影があり、ドラマのディレクターは撮影用航空機から二人のアクロバット飛行を見て、“さすが親子だな。息もピッタリ合って凄い迫力だ。”と感心していました。
マリがスタントマンをしたドラマの放送日はテレビを見ながら興奮していました。その様子を富士夫が見て、「あっ!上官が怒りながら来た!」とマリをからかいました。
マリは、「えっ?嘘!何処?」と焦っていました。
富士夫は、「嘘だよ。」と爆笑していました。
マリは、「一寸驚かせないでよ。」とホッとしていました。
富士夫は笑いながら、「母ちゃんも案外子供みたいな所があるのだね。でもこれだけの飛行ができるパイロットは他にいないから、このドラマが上官の目に止まれば、ばれるよ。」と冷静に話をしていました。
次回投稿予定日は、8月4日です。




