第百八十七章 謎の機械獣、再び出現する
謎の機械獣を作った組織が方針を変えて、もう少し小型で動作の機敏な戦闘機並みの機械獣を作り、前回のリベンジをしようと世界各国で暴れました。
前回は各国で対応して、全く歯が立たなかった為に、今回は世界各国のアクロバット飛行チームから選抜し最強チームを結成して対抗しました。
前回、紅葉と富士夫が車輪をぶつけて急に方向を変えた為に、それに対抗して敵はUFOのように急に方向やスピードを変えたので、それでも歯が立たずに、今回もマリに依頼が来ました。
前回と同様、映像を三人で色々と分析した結果、今回はかなりの強敵で、三人で連絡しながら攻撃すると、どうしても単独の場合に比べて動作が鈍る為に、撃墜できない可能性があり、紅葉一人で立ち向かう事が最良の方法だと結論に達しました。
マリは、アメリカ空軍に理由を説明して、「前回空飛ぶ機械獣を撃墜した時のパイロットで、私より腕の良いパイロットがいるので、単独攻撃します。」と報告しました。
上官には、それが娘の紅葉だと伝えましたが、氏名を公表すると、敵の組織に襲われる危険性があり、紅葉は私と違い軍人としての経験がなく、民間人の女性なので大変危険な為に、内密にして頂きたいと依頼しました。
今回は、紅葉の氏名を漏らさないように、総理大臣には紅葉の氏名は伝えず説明だけして、マリの上官がアメリカ大統領からの指示で来日し、マリが紅葉に上官を紹介して、上官が英語の堪能な紅葉に直接依頼しました。
紅葉は女優業を、「急用の為、暫く休暇をとります。」と連絡して、出撃準備の為に上官と沖縄空軍基地へ向かい、そこから軍用機でアメリカへ向かい、マリも紅葉のよき相談相手として、アメリカに同行しました。
ドラマのディレクターはカンカンに怒り、「ドラマの撮影はどうするのだ!人気ドラマの主役が途中で降板すると、そのドラマはどうなるのかぐらい、解らないのか!それでも女優か!このど素人が。タレントは一度受けた仕事はどのような犠牲を払っても真っ当しなければ、次の仕事は二度と来ないぞ!もう良い、代役を立てるから、そんな女優に用はない。もう紅葉は来なくても良い!二度と俺の前に現れるな!」と怒って電話を切りました。
スタッフに、「次回からは、新主役で撮影する。但し撮影が間に合わないものだけは、紅葉のテープを放送せざるをえない。直ぐに女優の選定をします。」と指示しました。
人気ドラマの主演女優が突然降板したと噂が広まり、各タレント事務所から売り込みや問い合わせが殺到しました。
ディレクターは、オーディションを行い、慎重に検討して新主役も決まり、撮影が開始されて、いよいよ本日の夜から新主役でドラマが放送される日の朝に、空飛ぶ機械獣出現の連絡があり、紅葉が最新鋭のジェット戦闘機で出撃しました。
アメリカ空軍の発表では、パイロットの氏名は伏せられていましたが、マリより腕の良いパイロットだと聞いて、マスコミや航空関係者全員が、「伝説の名パイロットより腕の良いパイロットがいるとは信じられない。」と驚きながら、成行きを見守っていました。
紅葉も今回の敵は強敵なので、核兵器を搭載していました。やがて紅葉が敵と遭遇して簡単に後ろにつかれました。
前回と同様に空域を決めて撮影していたマスコミは、「期待外れですね。こんなに簡単に後につかれて、何処が伝説の名パイロットより腕が良いのでしょうか。これで敵に攻撃されれば終わりですね。」と放送していました。
他の撮影用の航空機も、「折角、頭を下げて何とかスケジュールを空けて貰い、高感度カメラを用意して来たのに、こんなに簡単に撃墜されれば私の立つ瀬がないよ。今なら頭を下げれば間に合うので、私達は他の撮影に向かいます。」と順番に持ち場を離れて行きました。
順々に持ち場を離れていると、紅葉の戦闘機を撮影していた航空機が、「あっ!敵がミサイルを発射しました。これで終わりでしょうか?矢張り伝説の名パイロット以上のパイロットは・・・ん?あっ!消えた!消えました!戦闘機がミサイル攻撃を受ける直前に消えました!えっ?敵が攻撃されました!全く別の方向からミサイルが飛んで来ました。」と興奮しながら喋りました。
紅葉が撃墜した為に、アナウンサーは更に興奮して、「敵は全く予想外の方向からミサイルが飛んで来た為に、UFOのような飛行で避ける余裕もなく撃墜され、爆発炎上しながら墜落して行きます。最強のパイロット軍団も全く歯が立たなかった敵を、あっと言う間に撃墜しました!前言取り消しです!信じられない神業です!丸でUFOの瞬間移動のようです。核兵器を搭載している為に、先程の消えた戦闘機に間違いありません。私も、この目ではっきりと見ましたが信じられません!私は夢を見ているのでしょうか?」と興奮していました。
スタジオから、「こちらスタジオです。確か戦闘機が飛んで来た方向には高感度カメラを搭載している撮影用航空機が待機していたのではないですか?そのカメラに映っていませんか?」と確認しました。
アナウンサーは、「そうですね。戦闘機が飛んで来た方向には高感度カメラを搭載している撮影用航空機が待機しています。どうなっていたのでしょうか?果たして戦闘機であのような飛行は可能なのでしょうか?しかしカメラは捕らえました。消えた瞬間を!映像を高感度カメラで確認してみましょう。」と確認しましたが、持ち場を離れていた為に、撮影できてないと判明して、他のマスコミから非難されました。
その様子をドラマの新主役に抜擢した女優と、ディレクターが研究の為にテレビ局で一緒に見ていました。
ディレクターは、「こんな決定的瞬間を見逃す女優に、このドラマでの主役の資格はない!今迄撮影した紅葉のテープは破棄しろ!紅葉はクビだ!」と怒っていました。
他のスタッフが、「本当に良いのですか?紅葉さんは、マリさんの指名ですよ。」と確認しました。
ディレクターは、「マリさんは、何故かこのドラマの事を、あまり良く思っていないようですので、いざとなれば、マリさんと縁を切ってでも放送します。最悪、ドラマのタイトルを変えてでも放送は続ける!こんな人気ドラマを終わりにできない。もし終わりにすれば熱狂的なファンから抗議の電話が殺到して、このドラマの作成に携わった俺達は吊るし上げにされるぞ!」とモミジをクビにする理由を説明しました。
アナウンサーが、「今、アメリカ空軍より連絡がありました。核兵器は通常のミサイルより重量が重い上に、性能以上の超ウルトラアクロバット飛行を行った為に、核兵器が脱落する可能性があります。一番近い大阪空港への着陸を希望しているとの事です。十分以内に返事がなければ、安全な場所を捜して、核兵器を投下して、沖縄空軍基地へ着陸するとの事です。」と喋っていました。
空軍でマリは紅葉に、「本当に良いの?大阪空港に着陸すれば、どうなるか解っているでしょうね。紅葉の氏名が全世界に報道されるのよ。つまり海坊主に襲われる可能性が高くなるのよ。紅葉は人気女優だから回りにファンが多く、守りきれないわよ。」と心配していました。
紅葉は、「私一人の為に核兵器を投下したくない。私は先日広島でロケがあり、原爆ドームなどを見て来ました。核兵器はどんな事をしてでも投下を避けるべきです。私はこの命をかけてでも核兵器は投下しません。してはいけないのです。その為に大阪空港へ着陸します。何とか許可を取って下さい。」と返答しました。
マリも上官も、「紅葉にそれだけの覚悟があれば止めません。以前と同様、日本政府から氏名の発表を要求して来ました。紅葉は軍人ではない為に、空軍に資料はないので、本人に直接確認するようにと返答しておきます。」と連絡しました。
その後、暫くしてアナウンサーが、「今、入った情報によると、核兵器を搭載した状態で大阪空港へ着陸するそうです。伝説の名パイロットの時と同様にパイロットの情報を要求したらしいですが、パイロットは、空軍パイロットではない為に、写真はないそうです。操縦技術はマリさん直伝で愛弟子だそうです。その他の事も含めて、パイロットは日本人なので直接聞いて下さい。との事です。」と喋りました。
ドラマのディレクターは、主役に抜擢した女優に、「パイロットのインタビューを良く見聞きして、その内容や表情を覚えろ!ドラマで違った事を言ったり、違う表情をしたりすれば、熱狂的ファンから苦情が寄せられ、最悪の場合視聴率に影響が出る可能性もあるぞ。」と女優に指示しました。
そして、ディレクターは、テレビ局と相談の上、ドラマのスタッフにこの報道特別番組の直ぐ後に“伝説の名パイロット”を放送するので準備しておくようにと指示しました。
次回投稿予定日は、5月12日です。