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吉光里利の化け物殺し 第一話  作者: 由条仁史
第7章 化物で私たちは
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 あのあと、ルートに連絡して、他人に吹聴しないことを条件に、化け物のことを教えてあげた。一週間ほど前に出会って、ジャックはその翌日に出会った少年。そして赤色の化け物に苦戦したところにルートが現れたこと。そして昨日はルートと実験をしたということ。そしてそのジャックとルートには、特殊能力があったということ。

 まとめるとこんな感じだった。


「大変だったんだね」


 と紗那は言った。今度は紗那の番だった。何の番かと言うと、秘密を暴露する番。


「私がこうやって、のんきに絵を描いているときにね」


「……のんきにってわけでもないでしょ。ちゃんとした漫画じゃん。出版でき

るんじゃない?」


 紗那のパソコンにあった漫画のデータを見せてもらった。週刊誌だか月刊誌だか、そういうのに載っていてもおかしくないようなものだった。

「実は、これ出版社に応募したんだ」


「応募って?」


「新人賞」


 ――なんと、そんな人がいたとは。身近に漫画を描いている人がいて、こうして実際に賞に応募する人がいるとは。


「月刊誌だけどね。それなりに枚数描かないといけないから大変だけど、学校行きながら描けない量じゃないしね」


「学校に行きながら?」


「うん。そう。新人賞決まって、契約決まったら、もう大学に行かずに、漫画家としてたべていくつもり。そう親にも許可もらったしね」


 少し恥ずかしそうに紗那は言った。私はそういう生き方を、純粋にすごいと思う。尊敬してしまう。それがどのくらいつらく険しい道なのかはわからないけれど、夢や目標をもって純粋に進める人はすごいと思う。


「頑張ってね」


「もっちろん!」


 紗那は今度こそ、純粋な笑顔で笑った。


 ……多分、純粋に。

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