夢精1
「……」
また今日も夢精してる…。
なんでだろうなぁ。まぁ僕もこう毎日毎日夢精ばかりしていると、もう慣れたものだ。
あらかじめ早めに起きておいたし、まだ両親も姉貴も寝てる。今の内にさっさとパンツを洗っちまおう。
「……」
真夏だからといって朝っぱらから冷水のシャワーを浴びて股間とパンツを洗うのは辛いものがある。もう慣れっこだが。
最近健康なのはこの冷水シャワーが荒行的なアレになっているのではとも思っている。
すべてを終えてパンツを洗濯機に放り込み、着替えを済ませて澄まし顔をしていると、直に両親と姉貴が起きてくる。
「今日も早いのね」
母さんが起きてきた。
「うん。今日も早いから…」
夢精の後始末の為の早起きだとは口が裂けても言えず、今日も朝練的の何かを匂わせて家を出る。
無事学校へ到着し、まだ誰も居ない教室で独り瞑想をしていると、続々と生徒が入ってくる。
「よう大将。今日も早ぇな」
こいつは僕の親友の佐藤。
「その様子じゃあ今日も夢精したらしいな」
半笑いで尋ねてくる。僕は明け透けな男なので夢精のことも話した。こんな明け透けなのだ、信用されている。はず…。
「まったく困った物だよ。僕は絶倫体質だったみたいだ」
「俺もまさかお前がこんな性豪とはな…。なあ、もしかしてお前のそれ、サキュバスかなんかに取り憑かれてるんじゃないのか?」
「サキュバスか…。サキュバス…」
そう考えると俄然楽しくなってきたぞ。
「地元の寺に悪霊退治で有名な所有るからよ。行ってみたらどうだ。ほい地図」
手渡された地図を眺めていると教師が教室に入ってきた。
放課後になり佐藤と別れると早速例の寺にやってきた。なかなか粋な佇まいじゃないか。
今日こそ僕の悩みが解決する。そんな気がしてきた…。