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魅惑のトライアングル  作者: 変声期
第1章
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ー幕8・城下町編ー

「やっぱりもういないか。」

スズは先程来た道を戻り馬車と衝突しそうになった場所に来ていた。

「謝ったけれど名前…聞いておけばよかったな…。」

そこで馬車に乗っていた少年を探していたが、当然いるはずもなく…。

1人ボーっとしていると

「スズ様!!」

後ろから聞きなれた声がした。

それが誰の声なのか見なくても分かるスズは、一瞬肩をビクつかせるとその場から逃げ出した。

すると、当然の如く後ろから走って来る音が聞こえてきた。

スズが走りながら顔だけで振り返ると、そこには鬼の形相のあいつが追いかけてきていた。

「ひっ…!!」

その顔を見たスズは全力で逃げた。通り過ぎていく人達は「まーた追いかけっこかい。」と笑っているけれどスズは内心(笑い事じゃなーい!!)と思っていた。

しばらく走っていると、いつの間にか人気(ひとけ)のない道まで来ていた。

「おいスズ!!待てゴラァ!!」

後ろから脅しのような声が聞こえてきたスズはヤバイと思いスピードをあげようとした。が、パシッと後ろのあいつに左手首を掴まれたため、それ以上逃げることが出来なくなり止ってしまった。

「おい…はぁ…はぁ…スズ。こんなことして…はぁ…この後どうなるか…はぁ…分かってるんだろうな…?」

後ろのあいつ…クロがそう言ってスズの腕をぐいっと引き、強制的にクロの方を向かせた。


「えっと…ほ、ほら!!久しぶりに体動かしたかったなぁー!!なんて…うっ…嘘です……。」

最初は笑っていつもの調子で言っていたスズだが、クロの表情があまりにも怖すぎて語尾が小さくなってしまった。

すると、クロが一歩スズに近づくと反対にスズが下がり、また一歩と近づくとスズが一歩下がるという変な状況になってきていた。

これを何度か繰り返していると、いつの間にか壁に追いやられていたスズ。

(うっ…。これはまずい…。)

そう気づいた頃には時既に遅し。クロがスズの顔の横に右手をドンッと音をたてておいた。(いわゆる壁ドン)

「スズ…。お前、俺をこんなに走らせたんだ。それ相応のお詫びはしてもらわなくちゃな。」

そう言うと左手でスズの顎を掴むと無理やりクロの顔の方…上を向かされた。

「と、逃走したのはわ、悪いともちろん思っている!!

し、しかし、私達が知らない所で苦しんでいる人達を助けずにはいられないんだよ!!」

スズが必死にそう言うと、クロはスズの顎に添えていた手を離した。

「それなら、自分の仕事を…!!はぁ…ここで言っても仕方ない。

とりあえず城に戻るぞ。」

「おう!!」

クロが呆れながら言うのをよそに、元気良く返事をしたスズだったが、この後城でクロに長時間説教されたことは言うまでもない。


城下町編 終わり  続く

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