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魅惑のトライアングル  作者: 変声期
第1章
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ー幕1ー

~プロローグ~

目の前に広がるのは、燃えさかる炎と倒れた兵から流れる血。

あたり一面を覆いつくす赤一色。

「お…か…あ…」

そして信じたくもないこの事実を私は忘れることはきっと一生ない…。


第1章

国を王が治める時代。1つの大陸に4ヵ国が集まるフォース大陸にある1つの国レーヴ国。

その国の中にある城内の一室。

その部屋の窓のカーテンから春の朝日がひっそりとのぞいている。

「スズ様。お目覚めの時間です。」

そう言って入って来たのは、執事の姿をした顔が整い黒髪が少しツンツンしている男だった。

「ん…。あぁ…もう時間か…。」

その部屋の窓際にある大人2人は寝れるくらい大きなベッドで寝ていた少女がそう呟きながら体を起こす。

寝ぼけ(まなこ)でスズと呼ばれた少女はボーっとしていると執事姿の男が

「スズ、早く目覚めないと…分かってるよな?」

妖艶な笑みを浮かべながらスズに顔を近づける。

「も、もう起きているぞ!!」

それに対して身の危険を感じたスズは勢いよく目を開きベッドから出る。

「それはよかったです。」

執事姿の男は先程とはまったく違った爽やかな笑みでそう言った。

「それよりクロ。お前、2人になると口調すぐ変わるよな。

 その二重人格直した方がいいんじゃないか?」

スズは腕を組み、自分より身長の高い執事クロを下から睨むように言う。

「スズ様にはご自分の言葉遣いを直された方がいいかと。」

すると黒い笑みを浮かべながらそのような言葉がかえってきた。

「うっ…べ、別に会議やパーティの時はちゃんとした言葉遣っているからいいだろ。」

「ふっ。甘いな。だからいつまでたっても剣術で俺に勝てないんだよ。」

「は!?今剣術関係ねーだろ!?」

いつものように始まる口げんか。


数分間続いたところでスズがハッと気づいたように「今日の予定は?」とクロに訊ねる。

「今日のご予定は、朝から大陸の王が集まりパーティが行われるようです。このパーティにはスズ様は参加なさらなくて構いません。しかし、同時に行われる王女や姫様方のお茶会にはご出席していただきます。」

「はぁー。またお茶会か。よくもまぁ飽きずに出来るよな。」

遊ぶことが大好きな貴族の婦人。それに付き合わされる17歳の女の子。貴族の間では、そのような付き合いは大切である。

幼い頃に十分と言っていいほどその事については言われてきた。

(まぁ、午後から書類の整理ならなんとかここから抜け出して町に出ることも出来るしな)

クロが今日の予定をつらつらと行っている中、スズはそのような事を思っていた。

それが顔に出ていたのか、クロは途中で予定を言うのをやめスズをじーっと見始めた。

「な、なんだよクロ。予定はそれでぜん…」

「スズ、お前今この部屋から抜け出そうなんて考えて…」

「ないないないない!!」

図星をつかれたスズは慌てて否定した。が、それが逆効果だったのか、クロはもっと怪しいと言わんばかりの視線を送り続け迫ってくることをやめない。

スズが一歩下がるとクロが一歩進むということを繰り返していると

「っ…!!うわっ…!!」

いつの間にかベッドの所まで来ていて、スズはベッドの端につまづきそのまま倒れてしまった。

「ふっ。今日は大胆だなスズ。自分からベッドへ行くなんて。」

「ち、違う!!こっ、これは不可抗力だ!!そ、そもそもクロが近づいて…」

スズがそう言うと、クロはスズの顔の両端に手をつけ、顔を近づけていく。

(はわわわわわ…!!こ、これっていわゆる床ドン!?ベッドの上だけど…)

「じゃなくて、近い近い近い!はっ、離れろ!」

あと少しで唇と唇が触れるか触れないかの所でスズが言うと、クロはピタリと近づくのをやめ顔を放しスズの隣に移動して座った。

一方スズは顔を真っ赤にして、体を起こしなんとか熱を冷まそうと手で顔を扇いでいる。

「あれくらいで顔赤くするスズ、可愛いな。」

「う、うるさい!!」

クロがイタズラな顔で笑うとスズはクロとは逆の方向へ顔をプイッと背けた。

するとクロがスズの顔を両手で挟み、強制的にクロの方へと顔を向かせる。

「こっち見ろよ。」

「え。」

先程とは違うクロの真剣な顔にスズはかなり戸惑った。

その空気が少し続いた後、急にクロが「プッ」とふきだし

「嘘に決まってんだろ。アハハハハッ!!ホントお前からかいがいあるなぁ~」

そう言いながら笑い出した。

「なっ!!かっ、からかうなよ、バカ!!もう、着がえるから早く部屋から出て行け~!!」

真っ赤な顔でスズが怒鳴るようにクロに言うと「はいはい。」と言いながらクロは部屋を出た。

1人になった部屋でスズはカーテンをシャッと音をたてて開ける。

そこから見える城下町はいつものように賑わっているように見える。

「今日も皆楽しそうだな。」

その様子を眺めながら1人優しい笑みを浮かべて呟いた。

(今まで何度城を抜け出してあの町に行ったことか。そして、見つかる度によく怒られていたな…)

1人になり昔の感傷にひたっていた。そして、あの日の出来事も…。

(ふう。そろそろ準備しないとまずいな。)

クロが出て行く際に置いて行った今日のドレス。

それを見るなりげんなりとした顔になるが、すぐに仕方ないと思い直しドレスに着替え部屋をあとにした。

不定期でありますが、長編ものです。

よかったら最後までお付き合いください。

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