第2話 - 0歳 目覚め
今回のみ説明回です。
目が覚めるとそこは真っ白い空間だった。
あれ?デジャヴ……。
と思ったが、目が光に慣れていなかっただけのようだ。
眩しさも収まり、周囲の状況がわかるようになってきた。
オレは赤ん坊になり、豪華なベッドの上に寝かされているようだ。
近くには母親か乳母と思われる女性がいる。
これから新たな人生が始まるのかと思うと楽しみで仕方がない。
まずは叶えてもらった『願い』のことを整理しよう。
生まれに関しては、王族にしてもらった。
この世界でも屈指の大国、ガリア王国の嫡子だ。
といっても跡継ぎになる気はなかったので継承順位は低めでお願いした。
容姿に関しては金髪碧眼のイケメン風だ。
将来が楽しみだ。
そして不老不死を願った。
この世界にはスライムと呼ばれるモンスターがいる。
このスライムは群体という小さな生物の集まりなのだ。
小さな生物は分裂などにより増殖、分化し、それぞれの役割を果たす器官を形成する。
極端な話、スライムの一欠片でも残っていれば、増殖し元の形に戻れるのだ。
この体には群体生物の特性を組み込んでもらった。
もちろん脳が損傷したら思考できなくなるし、普通に骨折や怪我もする。
ただ、完全に消滅していなければ周囲の魔素を吸収し、いつか再生できるのだ。
これが不死の仕組み。
副次的な作用として周囲の魔素の吸収ができる。
魔素がある限り水分や栄養を取れるから飢えがこない。
それから群体を操作し、退行、再分化させ、任意の細胞を作り出せる。
つまり肉体を変化させ、若返ることができるのだ。
こっちの仕組みが不老だ。
ついでに人間以外の細胞にも変化可能で、スライムにもなれる。
肉体のスペックはとにかくハイスペックと注文した。
潜在能力が高いので成長するにつれて飛躍的に力が増していくはずだ。
もちろんトレーニングを前提とした話なので怠けていては成長できない。
武器も欲しかったので、魔導銃を貰った。
剣と刀と銃が欲しかったが一つしか選べなかったので絶対に作れなさそうな銃にした。
見た目はデザートイーグルの重厚なデザインを基本としてもらった。
色はホワイトシルバーで、全体に繊細な草葉の紋様(Rinceau)を施してある。
射撃タイプはセミオート(単発)、フルオート(連続)、ショットガン(散弾)の3種類だ。
魔導銃という名前から推測できるだろうが、弾は魔力弾だ。
発射前に魔力をチャージすることで威力を上げることができる。
周囲から魔素を吸収しリロードするので弾数は無限である。
魔力弾は、魔力の残滓を排出するためにブローバック機構が必要となっている。
デザートイーグルでのフルオートは、連続ブローバックがカッコイイのでお気に入りだ。
一番の特徴は、召喚武器であるので、いつでも召喚と送還が行える。
破損、消耗、消失しても再召喚すれば元通りだ。
さらに手の大きさに合わせてリサイズされるようになっている。
要するに子供のうちでも使えるということだ。
早く使いたくて成長するのが待ち遠しい。
魔法に関しては、魔法適性を最高にしてもらった。
この世界の魔法は精霊を媒介として行使する。
魔法のイメージを精霊に伝え、魔力を渡すと精霊が現象を引き起こすのだ。
精霊はこの世界に普遍的に存在する超自然的な存在だ。
高位次元とか反物質とかそんな感じなのだろう。
よく理解できなかったのだが、万能の力と思っておけばいいらしい。
魔法を使いこなすため、精霊との相性を最高にしてもらった。
妥協した部分もあるが、これで『願い』の上限ギリギリであるらしかった。
これだけわがままを聞いてもらったのだ、十分だろう。
あとは新たな人生を楽しむのみ!
頭を使ったら眠くなってしまった。
赤ん坊の体は不便だな。
不老不死のモデルは、群体生物のベニクラゲです。
実際に不老不死のクラゲとして研究されているそうです。