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6話:双両親

「俺の寿命は、あとどれくらいなんだろう」

俊はベットに横になりながら、今までの事を思い出していた。

「寿命は、教えらんないな。法律で決まってんだわ。すまんな」

「わっ、いきなり現れんなよ。驚くだろ」

リスのフェラリーが俊の上に乗り上がった。驚いた俊は起き上がる。

「今日会ったあの女の子のことが気になって仕方ないんやろ? よく言うやんか、やらずに後悔するより、やって後悔しろって」

「でも、……俺には」

「やらないで、無理とか決めつけんなや。そんなんじゃ、生きてかれへんぞッ!!」

フェラリーがなぜか名言じみたことを連発してくる。

「お前はいつから俺の上司になったんだ? それと、なんであの女子のこと知ってんだ? まぁ俺にはどうでもいいけど。……お前の言う通りにする。俺はあいつを助ける。出来るか分かんないけどやれるだけのことはする。お前は鞄に入ってろ。いくぞッ!!」

俊はベットから出て立ち上がった。そして、机の上に投げ捨てていた鞄を持って部屋を出た。

「自分で決めたことは責任を持つ。そうしなきゃ、俺は一生後悔する……」

俊は暗い夜道を一人で走り出した。右手には、昼間にもらった紙切れを持って……。

「坂羅町11ー4ー6……」


「ここだ……。今行くから待ってろ……」

俊はそう言ってインターホンを押した。と同時に、家から叫び声が上がった。

「すいません。娘が騒いでて、お気になさらずに」

インターホンから母親の声が聞こえてきた。

「娘さんに代わってくれますか?」

「ちょっと待ってね」

俊は何か引っ掛かった。もし、今の悲鳴があいつのなら。今頃……、

「行くぞッ!!」

俊は左手を前に出した。そして、右手で星を書く。俊は家に入っていった。ただ、一秒でもこれ以上苦しんでほしくなかった。俊は、扉を開いてリビングを確認する。

「リビングにはいない。一階にはいない。……ということは、二階だ。くそッ!!」

視界に表示された残り時間は40秒。俊は、急ぎ足でつまずきそうになりながらも階段を駆け上がった。

「これ……、嘘だろ……」

二階に上がって、最初に目に入った部屋の扉を開けた俊は、口が塞がらなくなった。

「何でここにいるんだよ……」

二階の部屋には、二人の大人と一人の女子がいた。父親は、右手にベルトを持って大きく手を振り上げていて、母親は、火のついたタバコを娘に突き立て、娘は助けを求めているかのように壁にしがみつき、泣きながら抵抗しているようだった。そう、そこにいたのは昼間に助けを求めてきた少女の家族。でもあり、俊の……実の両親でもあった。

「何でだよ。何で、こんな所にいるんだよ……」

残り時間はどんどん短くなっていって、ついに残り10秒になった。それでも、俊は動けなかった。何をしたらいいのかまるで分からなかった。緊張で記憶していた事を度忘れするのと同じように、俊は頭の中が真っ白になった。

「何で……、何でだよ」

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