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5話:能力者

校外学習も終わり、俊はいつも通り学校に登校する。

「奥死路 俊。話がある。ついてきて欲しい」

「えっ? 俺?」

休み時間になったクラスに、一人の女子が入ってきた。失礼しますの一言もなく、勝手に他クラスに入ってきたのだ。

「あなたね。ついてきて」

何の用だかも分からず、俊は屋上まで連れていかれた。後ろからはこっそりとリスのフェラリーが跡をつけていたが、俊たちは気付かなかった。

「頼み事があるんだけど……」

屋上についた二人は、転落防止用の柵に寄り掛かって校庭を見ながら話を始めた。

「俺に?」

「そう。あなたに」

女子の顔が真剣な表情に変わった。

「あなたの能力を使って、助けて欲しいの……。あなたが、一瞬で何でも解決しちゃうあの能力を使って」

噂で知ったのか、時間を止めるのを見てしまったのか、目の前にいる女子は知っていた。

「いや、あれは……」

俊はごまかそうとするも言葉が思い浮かばない。

「私、……虐待受けてるの。今までいろんな人に相談したけど、誰も解決してくれなかった……。だから、あなたの能力を使って……」

長い茶髪の女子は、そう言って一枚の紙切れを渡してきた。

「こんなの貰っても、そりゃ無理だ。危険から命を助けることはできる。でも、そんな相談を解決するほど、俺の能力はすごいもんじゃない」

「……やっぱり……、そう言うんだ。みんな同じ答えばっかり……」

女子は、一枚の紙切れを俊の手の中に残して走って行ってしまった。屋上に一人取り残された俊は、自分の言った言葉を思い出した。

「もうこれ以上、俺の前で誰も悲しませない……。そんなこと言ったって、全然出来っこなかったのに……」

屋上から校庭を見ながら、俊は一人で呟いた。

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