そのに! 「なんでそう思うの!?」
伊月とサンタくんのボケとツッコミがほとんどです。
ラブは次回。
サンタくんに連れて行かれたのは、公園だった。
そういえば、ここって、前にも一度サンタくんと一緒に来たところ?
あのときは確か、あたしが目に入ったオレンジのせいで、涙が止まんなんくなってた。やっぱり、ここって人気ない。サンタくんとあたし以外に人がいないってどういうこと? それとも、平日の昼だから?
こんなところまで連れてきて、一体どうしたのかな?
ハッ! や、やっぱり、締め――
「べつに俺は締めるわけでも、カツアゲをするわけでもない」
「そ、そっか! そうだよね!」
思ってからすぐにサンタくんに言われたけど、そんなにあたし、顔に出てたのかな?
あたしを見下ろすサンタくんは、渋い表情。青汁を一気飲みした後みたいだよ。
「ロクなこと考えてないよな、お前」
「サンタくんにだけは言われたくないよ!」
むぅう! ロクなこと言ったり考えるのは、サンタくんの得意なことなのに!
あんまり怒っててもしょうがないし、ここはあたしが折れなくちゃ、だよね。このままサンタくんの暴言にいちいち怒ってたら、いつまで経っても変わんないもん。
「それで結局、どうしたの?」
「今日が何の日か、知ってるだろ?」
「え、終業式だよね?」
「……毎回思うが、伊月のそれは、わざとか?」
「???」
わざとって……なにが?
サンタくんが言いたいことがわかんなくって、あたしは首を傾げた。
それを見て、サンタくんは特大の息を吐いた。毎回思うけど、サンタくんのその仕草、失礼だしすっごくムカムカするよ!
「一ヶ月前、何があった?」
「試験? あとは、節分とか……バレンタイン――」
あ、ま、まさかっ!
頭の中で日にちを確認。そして今日は間違いなく、3月の14日。
となれば、サンタくんの用事って……!
「待たせたな。受け取れ」
サンタくんがニヤッっと笑う。うう、ろくなことがないときの顔してるぅ!
「待ってないもん! それに、いらないよ!」
慌てて首をブンブン振るけど、サンタくんはニヤニヤ笑ったまま。
「遠慮するな。俺との仲だろ?」
「いらない、いらない、いらないってば!」
ジリッっと距離を詰めないでぇ!
ほ、本当に、嫌な予感しかしないんだけど。こんなに妙にグイグイ押してくるなんて、絶対なにか企んでるよ!
「そんなに警戒するな」
「け、警戒なんてしてないもん!」
精一杯強がってるのに、サンタくんにはそれがわかってるみたい。すっごく楽しそうだし。
ううう、この変態ドエスサンタ! 悪趣味だよ!
「特殊なチョコだったからな。なにをホワイトデーにすべきか、俺は悩んだ」
「特殊って! あ、あれは、サンタくんが勝手にしたことだよね!?」
あ、あああんなことするなんて、非常識だよ! 元々常識ないの、わかってたけど!
うう、感触思い出しちゃった。
つられてほっぺ熱くなってきちゃう。サンタくんのセクハラのせいで!
バレンタインの日。あたしは色々あって、サンタくんにチョコを渡さなかったの。
そのときに、サンタくんにかわりにって、ほっぺ……それも、唇にすっごく近いところを、な、舐められたんだよね。
こう、ベロッと。犬とかじゃないんだから、そんなことしなくてもよかったのに!
普通は、そんなことしないよね!? そんなことするから、サンタくんは変態眼鏡サンタなんだよ!
あのせいで、あたし、数日間サンタくんの顔、まともに見れなくなったんだからね!?
それなのに、サンタくんは全然気にしないで、いつも通り暴言吐いてくるし! ……気まずくなるのヤだったから、ちょっとは助かったけど。
「俺は事前に要求しておいただろ。その結果が、あのチョコだと思っただけだ」
「なんで!? なんでそう思うの!?」
どう考えても、その発想はないよ!
堂々とそんなこと言えちゃうなんて、サンタくんに恥って単語はないのっ?
そんな、わざわざ顔にチョコつけてプレゼントする人なんて、いないよ!
今回も読んでくださって、ありがとうございました。