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サンタくんと一緒!  作者: 梅津 咲火
ホワイトデーもサンタくんと一緒!
6/16

そのいち!   「し、締められる!?」

 ホワイトデー編です。

全部で3話ほどです。



 今日は三学期の終業式。

 登校してから体育館に移動して、そこで終業式があって、そのあとは担任の先生から通知簿と連絡事項を受け取るだけの日。


 いつもだったら通信簿にビクビクだけど、二月の試験はすごく良い点が取れたから、今回はそんな心配はしてない。サンタくんとの勉強会のおかげ、なんだけど……なんでかな、素直に喜べない。きっと、間違うたびにネチネチイヤミを言われたせいかも。


『こんな問題もわからないなんて、寝てたのか?』

『やっぱり小さいのは、身長だけじゃなかったか』


 なんて、次々色んなバリエーションの皮肉を言われちゃえば、誰だってそうなるよね?

 ……むぅ。思い出したら、ムカムカしてきた。

 まぁ、サンタくんの暴言はおいといて。


「はぁ……」


 体育館で校長のありがたーい(かもしれない)話を聞いて、教室に戻ったあたしは、自分の机に上半身をだらりとくっつけた。長いお話って、聞くだけでも疲れちゃうよ。まっすぐ立つのも、体力使うし。


「いーつき」

「あ、結美ちゃん」


 伏せてた顔を上げると、いつの間にか結美ちゃん、奈々ちゃん、サキちゃんの三人が傍に立ってた。


「どうしたの?」

「春休みに、みんなで一緒に遊ばない?」

「遊ぶ遊ぶ!」


 そっか、明日から春休みなんだ!

 考えたら、ワクワクしてきた!


 楽しみー! なにして遊ぼっかな!?

 さっきまでの疲れが、あっという間に吹き飛んじゃう。そんな場合じゃないよね!


「どこ行く!?」

「えっとねー奈々、みんなでショッピング行きたい!」

「私も、春用のスカートと靴欲しいわ」

「伊月も奈々も、あんまりはしゃいで、風邪ひかないようにね?」

「「ひかないよ!」」


 結美ちゃん達と遊ぶ予定を立てて、あたしはウキウキしてた。

 そう、春休みに気取られてたあたしは、すっかり忘れちゃってたの。

 ――あの日が近づいてたってことに。



 ***



「おい、伊月」


 ホームルーム後に、かけてきた声にあたしは振り向いた。

 見ると、堂々と仁王立ちしてるサンタくんが廊下で待ち構えてた。


 普通、他のクラスに顔を出すときは躊躇ちゅうちょとかするものだけど、サンタくんにはそんな素振りは一切ない。でも、遠慮なんてサンタくんには似合わないし、想像がつかないかも。サンタくんの神経はきっと、ワイヤー製だよね。


 じっと顔を眺めてると、サンタくんはクイッと親指だけ立てて握りこんだ手を動かした。


「ちょっと、顔貸せ」

「?」


 なにかな? ……あ、ま、まさか!


「し、締められる!?」

「違う。何を勘違いしてるんだ。バカか、ああ、バカだったな」

「な、バ、バカじゃないもんっ!」

「ああ、はいはい」

「おざなり!?」


 ちょっとした冗談のつもりだったのに! サンタくんのからかいに比べれば、可愛いものでしょ!


「むぅー!」

「フグになるな。ほら、さっさと行くぞ。ついでに、自分のカバン持ってこい。そのまま帰るぞ」


 怒ってるのに、サンタくんはしれっとしてる。これ以上ブーブー言ってても、きっとサンタくんは動じない。むしろ、早くしろって不機嫌になるに決まってるから、あたしは渋々カバンを手に取った。

 少しは謝ってくれてもいいのに。


 それにしても、あたしが予定ないって、決めつけてる? もし、あたしが誰かと一緒に帰る約束してたら、どうしてたのかな?

 ……サンタくんのことだから、そんなことかまわないか。

 あたしが近寄ると、サンタくんはそのままスタスタと歩き出した。


「行くぞ」

「あ、待ってよ!」


 少しは振り向いてくれたっていいのに!



 ***



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