こばなし! 「こ、こっちこないでぇえええええっ!!」
ゴールデンウィークまであと少し! というわけで、元気がわいたので執筆しました。
この前予告してた長めの話はまだです、すみませんm(_ _)m
時系列では、前話のエイプリルフールのすぐ後です。
嘘だよね……? こ、こんなのって……。
「あーこれは、また……」
「あら、フフフ」
「なにこれ! ありえない! 奈々、ちょっと職員室にOHANASHIに行ってくる!」
「こらこらこらぁっ! やめなって!」
「止めないでー! さっつん! これは負けられない戦いなのー!」
「や、もう決まってるから! 決定事項! あと勝ち負け関係ない!」
「フフ、楽しい一年になりそうね」
結美ちゃん達が騒いでる。いつもならそれに混じってたかも。だけど……だけど、今はこの事実しか頭にないよ!
だって、だって!
「よお、伊月」
声が後ろから聞こえた。すっごく振り向きたくない。でも、でも、このままじゃもっと大変なことになるのわかってる。
ゆっくり、ゆっくり向こうかな。うう、心臓に悪いよぅ。
「サ、サンタくん」
やっぱり。外れててほしかったけど!
視線が合ったサンタくんは、ニヤリと笑った。その指さした先には、あたしがさっきまで見てた掲示板。
「同じクラスだな」
「そ、そうだね」
結美ちゃん達全員とまたクラスメイトになれたことに喜んだ後に、気付いちゃったんだよね。
ううう、気付きたくなかったよ!
春休み前だったら、普通にあいさつくらいしてたと思う。あたしがこんな警戒しちゃうのは、あの1日のメールが理由。
ほんの冗談のつもりだったんだけど、サンタくんにすっかり読まれて、ある言質?を取られちゃったの。うう、あたしってば、なんであんなことしちゃったのかな!?
青いタヌキみたいなネコさんがいれば、こんなことにならなかったのに!
と、とりあえず! 身の安全が第一! だよね!
「あ、あのね! この前のって……?」
「この前の? ……ああ、1日のか?」
「そうそれ!」
あたしが話題を振って思い出したみたいだから、もしかしたら……もしかするかも!?
「あれって冗談だよね?」
「……」
「ね!?」
「…………」
「ね、ねぇ!?」
なんで、なんで無言なのぉ!?
ど、どうしよう、サンタくんに会ってからおなじみになってきた嫌な予感がするよ!
夢だったらいいのに! ううん、夢でも悪夢だけど!
ジッとドキドキして待つ。待つ。待ってる……んだけど。へ、返事は?
あ、やっと口開いたっ! ……や、やっぱり開かなくていいよ!
「……試してみるか?」
「!? う、うううううううん、いい! べつにいいから!」
「そうか、ぜひ試してみたいか」
「そっちのいいじゃないもん!」
って、絶対わかってやってるよね!?
それと、どうして両手広げてニヤニヤ笑顔で近づいてくるの!?
このまま捕まっちゃいけないってことくらい、あたしだってわかるよ!
でもでも、「来ないで」なんて言っても、逆にサンタくん速度上げて寄ってきそう。
後ろに下がっても、サンタくんがそのぶん近づいてくる。
な、なんか二か月前にもあったような気がするよ!
よし、ここは!
背中をサッと見せて駆け足! 逃げるが勝ち! だよね!
「え、えええええええ!?」
なんで追ってくるのぉおおお!? しかもサンタくん、絶対本気だしてないよね!? だってすっごく笑ってるもん! あたしは全然楽しくなんかないのに!
「こ、こっちこないでぇえええええっ!!」
「じゃあ逃げるなよ」
「無理だもん!」
「じゃあ俺も無理だな」
なんでこんな新学期早々、鬼ごっこしなくちゃいけないの!?
ううう、それも全部!
「サンタくんのバカァアアアアア!!」
「いや、単なるチビの自爆だろ?」
「違うもん!」
サンタくんに抱きしめられる、五分前のお話。
伊月ちゃん確保ー。そして、そのまましばらく離してもらえません(。-∀-)
「二か月前」と彼女が言ってるのは、バレンタインのことです。
あと、結局「来ないで」と言ってることに気付いてません。必死すぎて。
それから、長ーい一年間があることをわかっていないという。サンタくんはここぞとばかりに構うでしょう。伊月ちゃんに敬礼!(`・ω・´)ゞ