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なんちゃって三国志(旧)  作者: 北神悠
1章 伝説の始まり
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第九話 夜は女の時間よ

 連合軍の北部本陣についた夜

 ほとんどの者は疲れて寝てしまい

 起きているのは見張りをしている兵士だけだった


 俺たちには5つの天幕が与えられ、一つをりゅうびとちょうひ、一つを荷物置きとし、残りが俺たち男連中の寝床になった。天幕はそこそこ大きかったが、なんせ鍛えた男10人で固まって寝ているのである、むさくるしい。更にジャンケンで負けてなぜか中央が俺の寝床になってしまっため、いびきは凄いわ、寝相悪いわで全く寝付けなかった


 下に薄い布を一枚引いただけというのも、影響しているだろう


 慣れない環境に、疲れているはずの体は全く眠気に襲われることがなかった


 本日十数回目の寝返りをうった時、入口が静かに開けられ、俺の名前が呼ばれた

 ただ目をつぶっていただけなので、すぐに身を起こして、入口の方を見ると、りゅうび軍の兵士が手招きしている


「なにかあったのか」


「こーめー、りゅうび様がお呼びだ」


「こんな夜遅くに一体何だ」


 俺がりゅうびの天幕に行こうとすると、兵士にがっしり掴まれた


 兵士は、ひとつ忠告しておくがと前置きを言ってから、ドスの効いた声で、りゅうび様に手を出したらどうなるかわかっているのだろうな、とすごんできた

 俺は、手をひらひらさせながらないないと軽くあしらっておいた


 確かにりゅうびはかなりかわいい部類に入るだろう

 しかし、あくまで小学生基準であって、俺は全くそういった対象とは見ていない


 本人は15歳だと言ってるが、それにしても俺の好みとはかけ離れている

 俺としては、もっと年上の大人の色気を醸し出し、出るとこが出た女性が好みなのだ


 間違っても、あのちんちくりんと間違えが起きるわけがなかった


 そんなことを考えながら、りゅうびの天幕まで来て、入るぞと一声かけてそのまま中に入ると、りゅうびの慌てた声がした


 そこで、気づけばよかった


 疲れていたのもあるし、油断していた


 天幕の中には、下着姿のりゅうびがいて、モロに目があった


「あっ……」


 俺はそんな間抜けな言葉を残して、りゅうびの渾身の一激をもらい、縄でぐるぐる巻きにされてりゅうびの前に転がっていた


「おまえは、一度ならず二度もあたしの着替えを除くとは」


「いや、しかし、人をこんな夜遅く呼び出しておいて、まさか着替えてるとは思わないだろ」


「くっ……まぁ、なんだ、こーめーが悪い」


「はっ? その理屈ずるくねーか」


「ええい、うるさいうるさい、かんう達を呼ばなかっただけ感謝しろ」


「くそ、俺の命を盾に取るとは」


 まさか、二度もりゅうびの着替えを除いたことがかんうさんにバレたら、俺は間違いなくあの時の帯と同じように、綺麗に真っ二つにされるだろう


「ふんっ、わかったら少しは反省しろ」


 りゅうびは、いつもどうり偉そうだった

 なんか、釈然としないがこのままこの話を続けていても、俺の寿命が縮まるだけの気しかしないので、言いたい事はたくさんあったが、ぐっとがまんした

 俺は、大人だな


「で、りゅうび、俺を呼んだには用事があるってことだろ」


「ん、ああ、そうだった、明後日鶏巾族の支部に総攻撃をかけるそうだ」


「ほう、それで俺たちは何をするんだ」


「明日、その会議があるんだが、お前も参加して欲しい」


「俺らも会議に出れるのか、言い方は悪いが、うちは弱小だからてっきりどっかの下につくと思ってたんだが」


「あたしも、そう思ってたんだがな、手土産が効いたみたいだ」


「あの、肉団子ってそんな重要なやつだったのか」


 ただの偉そうな小心者だと思ってたのに


「ああ、今回の総攻撃もあいつの情報がもとになってるらしい」


「なるほどな、了解した、他に誰か連れて行くのか?」


「いや、あたしとこーめーで十分だろ。まぁ、近くまではかんう達にも護衛としてきてもらうがな」


「っと、そういえばちょうひさんはどこいったんだ?」


 時間も時間だし、りゅうびと一緒にいると思ったら、いない

 あえて、ちょうひさんに聞かせたくないようでも話すかと思えば、今の話の内容を聞く限りそういうわけでもなさそうだ


「なんだ、こーめー、おまえちょうひが気になるのか? あいつはなかなか、気がきくし、強いからな。しかし、ちょいひはそういうことに疎いからな、振り向かせるのは難しいぞ」


 と、りゅうびがニヤニヤ言ってくる


「そういうんじゃねぇって、ただ、ここにいないのが気になっただけだ。いくらちょうひさんが強いとは言え、女の人が一人で外に出歩くのは遅すぎるだろ」


「まぁ、そういうことにしておいてやろう。だがこーめー、いつちょうひが一人でいるなんて言った。あいつは今かんうと修行に行ってる」


「こんなに夜遅くにか? 」


 現代の日本と違い、明かりがどこにでもあるわけではない

 ここの陣地の保守のためにかがり火はあるが、それでもちょっと先が見通すのがやっとだ

 そんな中で修行とは常軌を逸してる


「まぁ、夜にしかできない訓練もあるんだろうさ」


「そんなこと言ったてなぁ、こんな暗い中で怪我でもしたら」


「あら、こーめーくんわたしの心配してくれてたの」


 突然後ろから声がかけられた

 そこには、少しだけ汗ばんだちょうひさんがいた

 

 天幕全体に僅かに汗の香りと、甘い女性の香りが広がる


 ランプで照らされたちょうひさんは艶があって、いつもよりも色っぽく見えて、俺はドキっとした


「こーめー、何ちょうひに見とれてるんだ」


「見とれてるってなぁ、何言ってだよりゅーび」


「では何を見ていたのだ」


「俺は、ちょうひさんが怪我とかしてないかって心配で見てただけだよ」


 俺はドキドキを隠すために必死に取り繕う


 俺のその言葉に、ちょうひさんはどんと胸を叩き


「大丈夫ですよ、こーめーくん、わたしには筋肉がありますから」


 えへん、とちょうひさんが言う


「そうですか、それでも、汗をかいた服でいるのはよくないですよ。じゃあ俺は、りゅうびと話し終わったんで帰ります」


「なんだこーめー、つまらんな。ん、じゃあ、明日頼んだぞ」


「こーめーくん、おやすみー」


 俺は二人に手だけ上げて応え、そのまま天幕を後にした

 あのまま、あの姿のちょうひさんを見ていたら、やばかった

 女の人は格好や光加減が変わるだけで、あんなにも変わるもんなんだな


 自分の天幕に戻ると、かんうさんも戻ってきていて、既にりゅうびの抱き枕(自作)をかかえて眠っていた

 そのそばで寝ないといけないのかと思うと、すごい嫌だったが、やっときた眠気に負け、そのまま吸い込まれるように自分布団に引き込まれ、眠ってしまった 

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