第七十三話 天空のりゅうび
時間がないので、誤字チェック簡単にしかしてません
あったらすみません
今夜直します
そうそう達が、汜水関の城壁前を制圧する少し前、そんけん軍は壊滅の危機にあった
そんけんの策は決して愚策であったわけではない
ただ、敵の方が一枚上手であっただけである
直前ではあるが、奇襲が来ることを見抜いていたかゆうは、そんけんの船による想像を超えた奇襲にもわずかにしか動じることがなかったため、そんけん軍が攻撃を始める頃には、ある程度自分の周りは落ち着かせることに成功していた
そして、自らを前面に出し、近衛兵を城門の方に迅速に送ることができた
すでに指示すべきことは、そんけんと当たる前に済ませていたので、多数の兵を持ってじっくりとそんけんの相手をすることができた
その為、かゆうを足止めして、指示を滞らせるつもりでいたそんけんは、目的を果たすこともできず、苦戦を強いられていた
また、そんけん軍の本命であった城門攻略部隊は近衛の捨て身の介入があったため、距離を稼ぐことができず、城門よりもはるかに遠いところで足止めを受けていた
ていふ、そぼうは敵の目を一時的に惹きつけることが目的であったため、兵も少なく非常に苦戦していた
ここまで、なんとか壊滅しなかったのは四天王の圧倒的な武力によるところが大きかったが、すでに全員致命傷はないものの多くの傷を負っている
打つ手もなくただやられていくのをじっと耐えるだけのそんけん軍に援軍が現れたのはそんな時だった
ズガァン
そんけん軍が奇襲を行った右側の山とは逆の、左側の山で突然大きな音が起こった
そして
「全員、注目っ!!!!」
突然響いた声に、汜水関で戦っていた者たちは、目の前の敵の存在も忘れてそっちの方に意識を向けさせられた
決して、威厳があるわけでも、特殊な出し方をしているわけではない、ただよく通る少女の声に敵味方関係なく兵士たちの心が動かされた
声のする方を見てみると、山の中腹に今まではなかったはずの木造の舞台が現れており、その真ん中に、ピンクの髪をツインテールにした少女が立っていた
ヒュン……スト
ズバァン
とうたく軍の指揮官がうちひとりが眉間を矢で打ち抜かれ、もうひとりの指揮官は馬もろとも高速で飛来する岩に吹っ飛ばされた
いつの間にか、彼女の横には二人の女性、ちょうひとかこうえんがそれぞれ弓と岩を持って立っていた
「ふたりとも、そんけんの援護だ! そんけん、あとは任せたぞー!」
りゅうびがそう指示すると、汜水関を守るとうたく軍に恐ろしいほど正確矢が雨のように降り注ぎ、高速で岩が飛来した
汜水関はそもそも対空戦闘を考慮していない
当たり前だが、上からの攻撃には圧倒的に弱かった
そして、階級を明確にするために指揮官がほかの兵士に比べ鎧の意匠が異なっていたのもこの時は裏目に出た
今まで統率が取れていたとうたく軍は、指揮官がやられて一気にまとまりがなくなった
そして、そんけん軍に対する攻撃の手もかなりゆるんだ
この隙を見逃す将はそんけん軍にはいない
かんとうは一気に敵の間を突破し、一気に城門の近くに接近する
それに気づいた、とうたく軍側の指揮官が対応するために大声を張るが、それで目立ってしまい、ちょうひやかこうえんの攻撃の餌食になっていくのであった
「なにをしている、早くあの女どもを討ち取れ、弓兵!」
城門に接近を許してしまったため、かゆうは一度そんけんから目を離し、周りに指示を出す
弓兵は、それに答えて舞台に向けて弓を放つも、さらに現れた影に全て叩き落とされた
「この方たちには指一本触れさせません」
身の丈よりもはるかに大きい槍を振り回すちょううんだった
その後もとうたく軍側は矢を撃つも全てちょううんに叩き落とされ、逆にかこうえんやちょうひの餌食になっていった
「たすけにきたよー!!」
そして、さらに右側からは、最後の四天王こうがいが残った兵を引き連れて、汜水関に現れた
彼女は、船の進路を自分の体を使って調整していたため、最初の奇襲時に参加することができなかった
その為、残った兵を集めて、ここまで船が切り開いた道を歩いてやってきたのである
こうがいの登場により、指揮官が減っている状況なため、かゆうは自らそちらに直接指示を出そうとするが、彼はそれをすることができなかった
りゅうびの方に気を取られているうちに、そんけんが目前まで迫っていたのである
「敵将かゆう、覚悟!」
「くっ」
そんけんの剣による一撃をかゆうはなんとか槍でそらす
「やるねぇ、あたしは建業太守そんけん」
「くそっ、とうたく軍汜水関守将かゆうだ、悪いがお前に構っている暇はない、そうそうに死んでもらおう」
「それは、あたしのセリフだ」
そんけんとかゆうは互の武器を持って対峙する
いよいよ汜水関の戦いも大詰めを迎えようとしていた




