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なんちゃって三国志(旧)  作者: 北神悠
4章 時代の幕開け
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第四十七話 春の頭に

「ははっ、彼は随分と粘るね」


「あんまり勝手なことをすると、あの人に怒られるよ」


「このくらいの干渉は問題ないと思うけど」


「それは、僕たちの考えることじゃない」


「おいおい、そんなに怒るなよ。今はあの男が使い物にならなくなって、暇なんだからさ」


「もうすでにあの方は次の準備に移っているんだから、自重したほうがいいと思うよ」


「くくく、何今回はこれくらいにしておくさ、あいつに勘ぐられるのも困るしな」


「そう言う割には、未練がましい顔してるけどね」


「そりゃそうだ、あいつはこの世界に存在しちゃあ困る存在だからな」


「それは、僕たちも一緒でしょ」


「くくく、ああ、違いない」


「ほら、あの人のところに行くよ」


「わかったよ」





 小沛に流れた噂の問題は、りゅうびと兵士たちが帰ってきたことによって全て解決した

 今まで培ってきたりゅうびに対する信頼と、彼女の力の効果もあって噂はあっという間に息を潜めていった

 ただ、噂の出処だけは2ヶ月調査したものの全くわからなかった

 お金の余裕もでき、そこそこ兵士も雇える程になったおかげで、俺は定期的に近隣に兵士を送り情報を集めている

 もちろん俺自身も、親交を深めることも兼ねて商人や住民達からもそれとなく情報は集めている

 そのおかげで、出処と推測されるところはなんとなくわかるのだが、そのどれもが共通性がなく、しかもそう言った工作がなされているようには思えないのである


 まぁ、近隣の連中が全員グルであることも考えなくはないが、それにしては連携が取れすぎているし、不自然な点も多い

 もう少し調査を勧めたかったが、それもできない状況になった

 りゅうびの三回目の公演が始まってしまったのである


 何を隠そう現小沛の兵士は一人の例外もなく劉好団の一員である

 もちろん、国の警備もあるため全員が抜けることはないが、この期間は本当に最小限の人数でやることになる

 それに、かんうさんややまだを始め多くの役人もライブのために時間をやりくりしているので、数少ない俺や、一部の役人たちは他の部署の仕事までこなすはめになる


 そして、変態になってまで領地を救ったおかげか、最近俺への役人達の評価がすこぶる良い

 今までも、太守代理のような仕事をしてきたが、今では完全に太守の代理、いやりゅうび自体が代理みたいなもんだから、太守の代理の代理みたいな感じになっている

 というか、全く偉そうじゃない

 しかも、やたらと相談事を持ち込まれるようになった

 正直仕事量が何倍にも増えた

 その上、足が折れていたため、視察という逃亡手段もとれない

 さらにやたらとちょううんが、俺に対してかいがいしくなった


 俺が怪我をしたことが彼女の中の何かに火をつけたのだろう

 今までは、寝るときや政務の時など庁舎の中にいるときは俺のそばを離れることもままにしてあったのだが、あの一件以来自分のベットを引きずってきて番をしていてくれる

 さすがに廊下に女の子を寝かせるわけにもいかなかったので、結局は同じ部屋で寝食を共にしている

 なんとか拝み倒してトイレと風呂は勘弁してもらえたが、それ以外はピッタリと俺のそばから離れない

 まぁ、一生懸命俺を守ってくれるのはありがたいんだけどね

 

 そして、何故かりゅうびの俺への風当たりが強くなった

 今までは、ライブ中は政務が忙しくなるから基本的に呼び出しや、ライブ関連での仕事はなかったんだが、今回は何故か最低でも朝と夜に呼び出しを受け、肩を揉めだの、飲み物もってこいなどとパシらされる

 俺が微妙に難色を示すと、私の下着を~と言われ、何も言えなくなる

 いやいや、りゅうびさん、言い訳させてもらえるなら他の下着用意しても良かったんだけど、なんか匂いとか雰囲気で下着分別されたらやばいなとか考えたんですよ

 それに、奥にしまってあったクマの絵が書かれたやつはお気に入りっぽかったんで、回避したのに

 まぁ、この説明をしたら殴られたけどね


 本当に人使いが荒い

 こんなチンチクリンが本当にあの劉備なのかと疑いたくなるが

 悔しいことに、ステージに立った彼女は本当に魅力の塊だった

 りゅうびは決して目立つ程大きくもないし、顔立ちは確かにすごくいいが人間の好みなんて千差万別で、りゅうびが世界最高では決してない、それでもそんな理屈を全て打ち破る程の力がそこにあった

 実際のりゅうびをよく知る俺でも、魅せられ惹きつけられる

 

 ちなみに、ちょうひさんは相変わらず派遣と筋トレの毎日を送っています

 ブレない人って本当にすごいね

 でも、少しは政務も手伝って欲しい

 いやマジで



 

 その知らせは、俺が政務に忙殺され、りゅうびのライブが最高潮の時にもたらされた

「こーめー殿、大変です」

 やまだが慌てた様子で、俺の執務室に駆け込んできた

「どうしたんですか?」

「首都長安から早馬で知らせが届きました」

 俺はその話を聞くと、机を両手で叩いて立ち上がり、続きを催促する


「とうたくが反乱を起こし、長安を乗っ取ったそうです」


 ついに恐れていたことが起きてしまった

 三国志の幕開けが黄巾の乱とするなら

 群雄割拠の戦乱の幕開けであるのが董卓とうたくの反乱だ

 俺もざっくりとしか知らないが、ただひとつ分かっていることは大きな歴史の分岐点が来たということだ

 すでに歴史は大きく変わっている、鶏巾族なんていう俺の知らない農民の反乱が起き、結局首謀者であるちょうかくは見つからず仕舞

 りゅうびはライブという方法で人身を掌握し、国を発展させている


 その上で、董卓反乱である

 一体どれだけ歪んでいることやら

 それに、間違いなく強大な力を持ったあの人物が出てくる

 三国志上最強と誉れ高い呂布りょふ


少しだけこの世界の核心が出てきました

正直最初のシーンは当分先への伏線なんで、ここで出すべきかは迷ったんですが物語を動かすつもりで出しました


すみません、そのせいで更新が少し遅れました

今後とも宜しくお願いします

それでは第四章 時代の幕開けを初めて行きたいと思います

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