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なんちゃって三国志(旧)  作者: 北神悠
3章 小沛太守補佐
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第三十二話 横領は罪になるんです

 小沛太守そんけんは、あの後調査をした結果、あの孫権とは別人だったことがわかった

 俺はその事実を知ったあと、すかさずりゅうびに頼み彼にあだ名をつけてもらった

 

 そして、晴れてここに新しい小沛の太守やまだが誕生した


 やまだは最初抵抗したものの、りゅうびから名前をいただくなんてこんな名誉なことはないとか言ったら、二つ返事で納得してくれた

 これもりゅうびの人徳がなせる技であろう


「なぁこーめー、とりあえず小沛の太守の権限は手に入れたが、これからあたしはどうすればいいのだ」


「まずは領内の状態を安定させる」


「ん?」


「まぁ、簡単に言えば小沛にはいくつか問題点があるから、それをまずは解決するってことだ」


「で、具体的には何が問題なのだ?」


 俺は、太守であるやまだと、その部下たちをギロッとにら


「い、いったいどうしたんですか」


 突然俺に睨まれたやまだ達が慌てふためく


「あんた小沛の税金の一部を横からかすめ取ってるだろ。後ろのお前たちもな」


「なに、それは本当か」


 俺の言葉を聞いたりゅうびも厳しい視線を送る


「も、申し訳ありませんでした」


 あっさりとやまだ達は罪を白状し、全員地に頭をついてりゅうびに許しを請う


「お前ら、そんなんであたしが許すとほがぁ」

「まぁ、りゅうび落ち着け」

 俺はりゅうびの口を塞いでから、りゅうびに小さな声で耳打ちする


「こいつらをここでクビにしたり、刑罰をかけるのは簡単だが、それじゃあ甘すぎるだろ。こいつらのやった罪は、しっかり体で返してもらおうぜ」

 俺が黒い腹の中を話すと、りゅうびもニヤリと黒い笑みを浮かべで俺の方を見返す


「あー、お前たちがやったことは本来であれば重い刑罰に処すところだが、今回だけは特別に挽回するチャンスをやろう」


「は、ははぁ、りゅうび様寛大な処置、痛み入ります」

 やまだとその部下たちは一様に安堵の表情を浮かべた


「それじゃあ、こーめー説明を頼む」

 りゅうびはこれでいいのかと視線を送ってくるので、俺は目だけで頷き返す


「はい。ですが、その前にまずはこの小沛にひとつの改革を提案します」


「改革?」


「はい、まずは小沛の税率を変更します」


「お、恐れながらこれ以上の増税は一時的に小沛の税収を上昇させますが、間違いなく払いきれない住民が出てきます。のちのちの反乱にもつながる恐れがあるかと」


 財務担当らしき役人が遠慮がちに口をはさんでくる

 しかし、彼の言ってることはもっともだ。太守のやまだを始めここの連中が横領をしているせいで、小沛の税率はかなり高く、毎年逃亡者も増えている

 このまま、税率を上げるどころか、現状の税率のままでさえ反乱が起こる可能性がある


「上げたら、そうなるでしょうね」


「も、もしかして」

 税務担当は俺の言わんとすることがわかったのだろう、目を見開いて驚きが隠せないようだ


「ええ、もちろん税率を下げます」


 部屋にいた全員が俺の話を聞きどよめく


「しかし、税率を下げるなんてそんなことをすれば、小沛はやっていけなくなります」


「問題ありません、税率は下げますが、税収は上がります」


「いったいどうやって」


「現在の小沛の税率は63%、そこからあなたたちが横領していた分の8%、横領の罰則として減給により2%の税収削減がまずは可能です」


「くっ」


「そして、軍備や接待、雑費として随分とおかしな費用がありましたので、それらの精査であと5%削減可能です」


「うっ」


「ついでに、横領して購入した贅沢品の売却益で今年に限りあと15%は下げられるでしょう」


「なっ」


 俺がここまで話すと役人たちからだらだらと汗が流れ落ちる


「もちろん文句は言わせませんよ。不服があれば、横領と着服の罪で財産全没収ですから」


「ぐっ、わかりました、その指示に従います」


 今まで贅沢していた役人達が全員虚ろな目をしている

 まぁ、ムチはこの辺にしておくか

 後で、りゅうびのライブチケット(アリーナ席)でも渡しておけば元気になるだろう


「それでは、現在の63%から今年は25%引いた48%、それ以降は10%引いた53%にするんですか?」


 財務担当者が話をまとめようとする


「いえ、そんな生ぬるいことするわけないじゃないですか」


「しかし、これ以上は」


「ちゃんと策はあります。今後小沛の税率は35%にします」


「35%ですかっ! しかしそれでは中央に納付す分の20%を除くと税収は元の三分の一程度になってしまいます。それではとても小沛の運営は立ち行きません」


「心配ありません。さっきも言ったように税率は下げても税収は上げます」


「そ、そんなことが」


「ええ、できます」


 俺は自信満々に答える

 やはり、この世界の連中は率と量の違いがわかっている奴はほとんどいないようだな

 見た目の数字に騙されていやがる

 俺の調査通りなら、小沛の税収は今の三倍以上に上げることが可能だ

 まずは軍を養うだけの地盤作りからだな

 俺達には奴らもいるしな

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