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なんちゃって三国志(旧)  作者: 北神悠
1章 伝説の始まり
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第二十話 クラッシャーちょううん

 鶏の巫女一行は、ふもとで隠れているりゅうび軍と分かれて、鶏巾族の見張り用小規模陣地であるごうの入口までやってきた

 想像以上に兵士が配備され、麓からではわからないように、塹壕ざんごうや仕掛けも多数配置されていた

 ここら辺はこーめーの言った通りになっていた

 

 当初、ちょうひやりゅうびは奇襲作戦を提案していた

 りゅうびの言ったことには必ず従うかんうはともかくとして、新しいりゅうび軍の攻撃の要であるちょううんなどもこの作戦に賛成していた

 しかし、こーめーはその作戦を良しとはしなかった

 その理由は、まさに今りゅうびやかんう達が見ている光景そのものであった

 彼は昼間攻めれば、すぐに発見され存在がバレる。夜攻めても、罠に阻まれ、落とせたとしても多くの犠牲が出ると予想していた

 こーめーの予想が的中していたことがわかると、りゅうびたちは改めてこーめーという男に感心させられるのであった


 門の近くまで近づくと、囲めと言う号令がかかり、多くの鶏巾族兵に囲まれた

 かんうは、槍や弓を持った兵士たちにひるまず、一歩前に進み出た


「我々は、ゆう州より鶏の巫女様の護衛をしている。どうか少しのあいだ休憩させてもらえぬか?」


 かんうの言葉に鶏巾族兵達の中からどよめきが起こる

 彼らは、隊長格の証である雌鶏めんどりの被り物をしたかんうに対し、取り留めのない話として無碍むげに扱うわけにも行かなかった 

 鶏巾族兵達が戸惑っていると、砦の方からかんうと同じく雌鶏の被り物をした男が現れた


「我が同志達よ、遠路はるばるご苦労であった。本来であれば、我々は同志達を心よりもてなしたいのであるが、今は戦時中であるゆえ、申し訳ないが、ここではなくもう少し先にある高蓮こうれん砦まで向かってはもらえんか」


 出てきた、男の話を要約すると、我々では手に負えんから、高蓮砦に任せたといったとこであろう

 しかしこう切れ返されるのは予想済みである

 かんうは今の話を、りゅうびに伝える為籠のそばに移動する

 打ち合わせ通り、りゅうびが困った顔で先ほどの隊長に話しかける


「わらわは、鶏の巫女じゃ。ここまで、来るのに敵を心配し、獣を心配し、皆昼夜を問わずにここまでやってきたのじゃ。お主も鶏様に仕える身なれば、一晩だけでも休ませてはいただけないだろうか?」


「そっ、それは、いや、しかし」


 りゅうびの相手を貫く力強い視線は、隊長の心を揺さぶる


「どうか、どうか頼む」


 もうひと押しと判断したりゅうびは、そのまま地面にひざまずき、頭を下げる

 それに合わせて、りゅうび軍の面々も同じように頭下げる

 

「くっ、ならば一晩だけなら、この場所にとどまることを許可しましょう」


「鶏様のご加護に感謝致します」


 ついに根負けして、隊長が折れた

 ちょううんやちょうひなど若い女性が一緒にいたことや、りゅうび達に同情する部下たちの視線も彼に対する無言のプレッシャーになったことであろう


 中に通されると、一軒の小屋に案内された

 隊長いわく、もともとは倉庫らしいのだが、今はたまたま空いているらしい

 あす朝まで、ここから出ないように何度も念をおされ、隊長達は持ち場に戻っていた

 鶏巾族の連中がいなくなったところで、りゅうびが籠からひょこっと顔を出す


「どうやら、うまくいったようだな」

 と、小さな声で全員に話しかける


「はい、りゅうび様の迫真の演技のおかげです」


「何を言っている、かんう、おまえもなかなか決まっていたぞ」


「ありがたきお言葉」


 りゅうびのねぎらいの言葉に、かんうは号泣していた


 

 りゅうびたちが潜入してから、一時間後行動を開始した


 まず、かんうがトイレと称し外へ出ていく

 小屋の外には、予想通り見張りの兵士がおり、一人がかんうに付き添っていった

 それに合わせて、今度はちょううんがりゅうびがみそぎをするための綺麗な水が欲しいと見張りの兵士に頼んだ

 これで、三人いた見張りのうち、二人をいなくさせることに成功した

 そして、三人目はちょうひの筋肉によって、気づけば泡吹いて、小屋の中で簀巻すまきにされていた


「じゃありゅうちゃん、わたしたちも外に行こうか」


「うむ」

 ちょうひの言葉に、りゅうびはニヤリと頷いた


 

 りゅうび達が小屋を出る頃、先に外に出ていたちょううんは、付いてきた見張りをそこらへんに落ちていた棒で昏倒こんとうさせ、敵が来た時に音で知らせる鐘楼しょうろうに登っていた

 ちょううんは鐘の前に立つとあらん限りの力で叩いた


 がーんがーんがーんばきっ


 はっ、勢い余って叩いたら壊しちゃいました。ど、どうしよう、こーめー様怒らないですよね

 と、とりあえず、音は鳴らせたので、早くりゅうび様のもとに戻らないと


 

 ちょううんが、鐘を破壊しているころ、かんうは豪の中で最も高い建造物である、狼煙のろし台の前に来た

 この狼煙台は、暗くて狼煙が使えない夜間でも火を灯して通信可能な、昼夜両式の信号機であった

 かんうは、先ほどの見張りから奪った槍を持ち、精神を統一し、一気に振り回す

 カンと乾いた音が四回なり、そのまま土台を真っ二つにされた狼煙台は、無残に横の横転し、地面にぶつかった衝撃で粉々になる


 麓で待機していた、こーめーとりゅうび軍本隊は、豪から突然3回だけなった、鐘の音を聞くと、こーめーの号令の元、一気に山を駆け上がった


 豪内部では、突然の鐘の音と、狼煙代が倒壊したことにより、中の鶏巾族たちは大慌ての状態になった

 そして、間をおかず下から敵の攻撃である

 指揮官は状況を把握できず、そんな状況の中で兵士たちが落ち着ける訳もなく、右往左往している間にりゅうびたちによって、隊長格は全員のされ、そのまま降伏するに至った

 結果として、俺たちは一人も殺さずに、1300人の捕虜を捕まえ、一切情報を漏らさずに豪の制圧を成功させた


 

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